震災の地へ、春が落ちてきた2011年04月12日 23時17分40秒

仙台の桜の見ごろまでもう少しかかるので、梅の写真を

余震が続いているなかですが、僕自身は大丈夫なのですが、
同居している両親は少し精神的に疲れています。

なにか気晴らしの気分転換に連れて行きたいところですが、
いざ考えてみると、どこに連れていけるだろうかと思います。
海の方はだめ、山の方もところによって危なし、
桜がやっと本日開花で咲き始めましたがもう少し多いと良いですね。

映画館がもう少し開いていると良いのですが。
フォーラムの今のラインナップですと両親はあまり楽しめません。

ガスの関係で閉店しているお店もありますが、
明日明後日はお休みなので何か美味しいものを
食べられるところに連れて行こうと思います。


原町商店街を歩いているとちょっと風景が変わっていることに気づきました。
この折、復旧作業に尽力して頂いている工事車両が駐車しているのは、
多くの場所で見る光景ですが、原町商店街で取壊し工事が行われていました。

その取壊している建物、正確にはもう取り壊された建物、
まさかと思いよく見ると、やっぱり映画「重力ピエロ」のロケ地のひとつだ!

「重力ピエロ」は仙台在住の作家・伊坂幸太郎原作の、
仙台で重点的にロケの行われた「仙台シネマ」認定作品です。

■重力ピエロ オフィシャルサイト
 http://jyuryoku-p.com/

かなり古い建物だったのでこの地震で、と思ったのですが、
近くの人に聞いてみると、地震のせいでというわけではないそうです。
持ち主の方がご高齢のためにその維持が難しくなっており、
歴史がある建物だったものの、保存の援助も見つからなかったので、
取り壊しを決められたということだったそうです。

左側のスペースが、映画のなかでアートの描かれた家屋のあったところ。

ずっと僕は隣の家と一体の家なのだとばかり思っていました。
お隣の家もかなりの年数が経っていますが、
近所のかたのお話では持ち主は別の方とのことです。

映画のなかでは岡田将生がグラフィックアートの落書き消しをするシーンに登場、
アートそのものは映画のなかだけで撮影後は残されませんでしたが、
頻繁にその前を通過していると、気分はまんざらでもありませんでした。
そうか、もうあの風景は見られないのか。

今回の地震が直接の要因ではないとはいうものの、
やはり震災後に間もなく無くなったということが、
震災後も建っていたのに、という思いが心に深く残ります。
「お菓子放浪記」もそうですが、ほかにもこのような、
無くなってしまった風景はあると思います。

当然ながら、時代が進むことによって無くなっていく風景はありますが、
天災やまたそれに関連があると思えるような無くなり方は、
自然淘汰、自然の摂理の様なものとはまた異なる寂しさがあります。

「重力ピエロ」にはボウリング場の多賀城スターレーンも登場、
多賀城もまた大きな被害を受けている地域です。
同じ伊坂原作映画「アヒルと鴨のコインロッカー」には東松島が登場します。

フィルムに風景を"刻む"ということ、
今また作品を見直し、再考したいと思います。


印象深い台詞の多い、「重力ピエロ」のなかでも忘れがたき台詞。
「ほら、あんなに笑顔なんだもの。落ちてもきっと大丈夫!」
今はまた、心に染み入る重さを伴います。
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