何が生まれる ~『若手映画作家育成プロジェクト2011』ndjc合評上映会 in仙台2012年03月22日 23時43分18秒

映像分野の多方面に関わる、映像産業振興機構 (VIPO/ヴィーポ)の
事業のひとつ、『若手映画作家育成プロジェクト2011』ndjc合評上映会が、
近日、3月26日(月)、仙台で初めて開催されます。

『若手映画作家育成プロジェクト』をざっくり説明すると、
その名の通り、映像の作り手として若手を育てる事業ということですが、
もう少し具体的な中身はいろいろと面白い。

資料によれば、若手作家達はまず、学校や映画祭団体等から推薦を受け、
そこから選考が行われ、十数人がワークショップに参加し、
さらに5人程度が最終的に制作実地研修に挑む。

選考には、数分の映像作品の制作などの課題を課せられるなどがあり、
また、数日間での短い制作作業、限られた予算など、
当たり前と言えば当たり前ですが、幾つもの制約のなかで
課題をクリアしていかねばならないとのこと。

最後の制作実地研修もまた同様に、制約のなかで作られるわけですが、
なかでも興味深いのは、35mmフィルムで撮影することが必須ということ。
そこには、このプロジェクトが、映像分野の熟練の大先輩達から
フィルム撮影により培った技を若手に継承させていきたい
という意図もこめられているようです。

多くの人が言われていますが、フィルム撮影はデジタル撮影よりも
簡単にやり直しがきかない、いわば一球入魂の心構えを常に要求されるもの。
一見すれば効率が悪い、今の世の中には逆行しているように思えますが、
しかしときに、「失敗しても大丈夫」と気持ちが緩みやすくなるものと、
「これを失敗はできない」という気持ちで挑まなければならないものと、
比べればどちらが何かを生み出せるかはおのずと見えるのではないでしょうか。
無論、技術的や表現的にも多くの違いが出てるでしょう。

先輩達から教えを受けて作るというのも、必然的にみえますが、
それも馴染みの仲間同士で作られやすい自主映画環境から、
仕事としてニーズに応え、制約に挑みあるいは掻い潜り、
ときに意見のぶつかり合いを経験し、映像の世界で
「生き抜く」ための精神を修養することにもなりそうです。

ndjc合評上映会は、そんななかで作り上げられた若手監督達の
血と汗の結晶たる作品を一般上映し、講評を行うというもの。
今回の上映作品は以下の5本、各30分。
リンク先より、作品画像や詳しい監督プロフィールが見られます。
なかでも個人的には、『ここにいる・・・』のスチールは目を惹くものがあります。

■ndjcホーム 合評上映会 仙台
http://www.vipo-ndjc.jp/project2011/monitar_detail.html#sendai
■映像産業振興機構(VIPO)
http://www.vipo.or.jp/ja/

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『ここにいる・・・』 監督:七字幸久 
出演:蒼れいな、蒼あんな、井上肇、角南範子、太田美恵、澤山薫、河原健二

『あかり』 監督:谷本佳織
出演:七海薫子、古谷ちさ、東康平、まつむら眞弓、福本清三

『パーマネント ランド』 監督:中江和仁
出演:佐藤貢三、喜多道枝、春木みさよ、古川慎、森下能幸

『嘘々実実』 監督:藤澤浩和
出演:尾上寛之、小野健斗、久野雅弘、山﨑真実

『UTAGE』 監督:やましたつぼみ
出演:つみきみほ、奥瀬繁、小田部千夏、山田真歩、安井真理子、岡田達也
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入場無料
日時:3月26日(月) 17:45~入場受付
          18:15~21:15 上映・講評
場所:せんだいメディアテーク7F スタジオシアター
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新人の作品とはいえ、キャストには著名な俳優の名前も並ぶ。
いろいろな工夫と奮闘の成果がそこにも表れているのでしょう。

作品を鑑賞して講評を行うための上映会ですので、
当日は監督たちも来場してお話を聞けるとのこと。
前述のように選びに選び抜かれた監督達が、
多くの制約を受けながら(創作は、えてしてそうではある)、
必死の思いをぶつけたのならば、そこには何かが生まれる、
何かが生まれても不思議ではないかもしれません。

何が生まれて映像に焼きついたか、上映と講評の場から何が生まれるか。
とくに映画制作を志す人達や、映画の裏側に興味がある方は面白いかもしれません。


映像産業振興機構について恐縮ながら別件での補足をさせて頂くと、
一昨年から昨年にかけ「コ・フェスタPAO」というプロジェクトを行っています。
そのなかのひとつ「movie PAO」は久万真路監督、真利子哲也監督、黒崎博監督の
3人の若手監督それぞれによる中篇作品を制作したもの。

なかでも、真利子哲也監督の作品『NINIFUNI(ニニフニ)』は、
ももいろクローバーの本人役出演も話題になっている秀作。
3篇のなかの1篇という位置付けから、単独での公開が決まり
全国各地の劇場で順次上映、そして近日、3月24日から仙台での公開も始まる。
(こちらについてはまた後日の記事でご紹介させて頂きます。)

■『NINIFUNI』
http://ninifuni.net/

というようにいろいろと興味をひくプロジェクトを行っている映像産業振興機構。
仙台と近隣にお住まいの方は、3月26日の上映会をご覧になってみてはいかがでしょうか。

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