時空を超えた試合 「カンフー・ダンク!」2011年02月15日 23時52分27秒

グリーン・ホーネットに出演しているジェイ・チョウの主演作
2008年の台湾作品「カンフー・ダンク!」についてのこと。

何故かこの映画、レンタルで三度借りたことがあるのに時間がなくて
三回中二回は見ないまま返却することになったのですが。


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ダンク!というのはバスケットボールのダンクシュートのことで、
それにカンフーと付いているのはその名の通り、
「もしもカンフーの達人が大学のバスケットボールをやったら」
という「もしバス」映画であります。ってなんじゃそりゃ。


香港のチャウ・シンチー主演・監督の「少林サッカー」よろしく、
スポーツとカンフーの融合映画でお国を問わずにたまに作られる
バカ映画の類ですが、バカをどれだけ突き抜けられるかが勝負。
台湾映画といえば輸入されてくるのは香港ほどバカらしい物でもなく
韓国ほどギラついたりドロドロしたものでもなくと、
韓流の次は「華流(ファンりゅう)」だと言われながらも
あまり大波には乗らなかった気がして、アート方面の佳作や
こじんまりした青春映画などが入ってくる気がしています。

そんな台湾発のおバカ映画(香港・中国合作ではありますが。)、
かつ主演はアジアトップアイドルのジェイ・チョウ。
そのアンバランスがなんだか如何わしい匂いが漂ってくる。

ジェイの役は赤ん坊の頃に捨てられてカンフー学校で育てられた孤児。
あるとき学校からつまみ出された彼は怪しい中年男と出会う。
レストランのあまり物でディナーを拵える生活を送っているが、
男はカンフーの腕をスポーツに活かして一攫千金を狙おうと持ちかける。

この怪しげな男を演じているのはこれまた多彩な役を演じて
怪しい役ならお手の物というエリック・ツァンだから益々良い匂い。
(香港界で出演・人材育成ともに確かな腕を揮う重鎮なのですが。)
Wikipediaで検索すると実に楽しげなピースサインを贈っています。


当然ながらジェイはバスケで大活躍し、数々の試合で「ありえねー」技を披露。
順調に勝ち進んだ彼らの決勝の相手は筋肉ムキムキの殺人マシーンの様な
怪しいコスチュームに身を包んだ地獄から来た極悪非道軍団だった!
彼らの非情なプレイの数々に次々に傷つき倒れていく仲間達。
そのピンチを救ったのはかつてカンフー学校で世話になった恩師達だった。
明らかにオッサン&オバサンだったが大学編入手続きを済ませた立派な"学生"。

ここまで観客も審判も何もつっこまないのでさらに暴走。
恩師達は胴着に身を纏い(注:バスケの試合です。)、
試合相手を吹き矢や気孔術を堂々と使って破竹の勢いで蹴散らしていく!
「少林サッカー」「HERO」などのアクション&CGを
そのままバスケの試合に持ち込んでやりたい放題。

しかしそこまでならまだスポーツの技へのカンフーの関与という範囲ですが、
爆笑ものなのはそこまでやっておきながら試合に僅差で負けてしまい、
そこからジェイが何をするかというと、極めたカンフーの秘儀の力で、
なんと時間を操り時空を超えて、"負ける前の時間に戻る"。
つまり、タイムスリップして試合に勝つ!おいおい。

まあ、ここで負ける理由も超絶な破壊力を持つシュートから
ゴールが破壊されるのを防ぐために審判が身を挺してボールを弾く、
という驚愕のものなのですが。この映画、みんなオカシイよ!

タイムスリップして悪い奴から世界を救うアクション映画などはあるけれども、
スポーツマン精神としてそれはアリなのかと言えば、なしでしょうかね。やはり。
「まった!」で手を戻して仕切りなおして勝った様なものだから。
それで締めは「何より大切なのはチームワークだ」とどこ吹く風なのだから。
大好きですけどね。こういうの。タイムスリップの際のCGは必見。

そんなヘンな気合の入った馬鹿らしくも素晴らしい映画ですが、
なぜかジェイ・チョウは表情をあまり変化させません。
感情的を顕にしてカラカラ笑ったり大泣きすることが少なく、
目を細めて達観した様な姿勢で、すーっとそこに居る感じですが、
ある意味揺さぶられないニュートラルな印象でそこが魅力なのでしょうかな。
出演作を選んでいるのか選んでないのかよくわからない
ジェイの今後も実に気になるのでありました。

たまにこの様な、少年ジャンプやコロコロコミックから抜け出た様な
やりたい放題映画を見ると心が綺麗に洗われて生きているって素晴らしいと、
アスへの希望も沸いてくるのでありました(そうか?)。
映画ってほんとうに良いものですねえ。

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