愛すべきステイサム ~「トランスポーター3/アンリミテッド」2011年02月21日 23時18分34秒

先日まで日曜洋画劇場で「トランスポーター」を
1~3まで3週連続放送しておりました。

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■トランスポーター3 アンリミテッド 公式サイト
http://tp3.asmik-ace.co.jp/
「トランスポーター」はリュック・ベッソンプロデュース、
ジェイソン・ステイサム主演で製作されたカーアクションシリーズ作品。
並外れた戦闘力と超人的ドライビングテクニックを武器に、
やばい"ブツ"を運ぶ"運び屋"稼業の主人公・フランクが
今日もいわくつきの仕事でトラブルに巻き込まれるストーリー。

同じリュック・ベッソンプロデュースのカーアクション物では
「Taxi」シリーズがありますが、あちらはハイテク装備の愛車を駆り、
コメディ色を強めているのに対して、「トランスポーター」では、
愛車のハイテクを極力抑えてドライビングテクニックに力を注ぎ、
コメディよりも大人のユーモアとダンディズムを描き出します。


愛すべきハゲ、ジェイソン・ステイサムについては何度か触れてきましたが、
ロンドン出身の彼は1992年までイギリス代表の水泳選手として活躍、
その後、ファッションモデルになり、1998年より映画出演を始めます。

こういう経歴を踏んだ俳優にはたまに、適当に稼いだら会社を興してなどと、
映画にあまり本腰を入れないタイプがいてやれやれと思わせるのですが、
ステイサムは今、本人的にも真摯に向き合っている様です。
その甲斐もあって今ではスタローンの眼鏡に叶うエクスペンタブルズ。
いやいや、使い捨てってことじゃないよ。マジで。

端役から重要な役まで主にアクションとサスペンス分野で精力的に活動、
2002年に「トランスポーター」の主役を手に入れ、自分の看板作品としました。

今では若い層にカリスマ的存在が少ないアクション映画界において、
彼を抜きには語れない非常に重要なポジションにいる御方です。
と言っても彼も38歳なのでこれから踏ん張りどころですが。


今回は「2」と「3」を比較する様に見ましたが、「3」の方が遥かに面白い。
「2」ではダークヒロインが下品なのが僕の好みではない。
というより、スマートでシャレたセンスのフランクとバランスが悪い。
これはピアース・ブロスナン主演の「007/ゴールデンアイ」にて
悪側のダーク・ボンドガールの品が良くないばかりに、
ブロスナンの方まで落としてしまう様な状況に似ています。

車体下部に取り付けられた爆弾を、車体を大ジャンプで飛ばし、
空中でフィギアスケーターよろしく半回転ひねりをくわえて
工事現場のクレーンにボムだけ引っ掛けて着地するなどなど、
フランクが駆る愛車のアクションを曲芸までに強化。
それも悪くはないものの、若干マンネリ感も出たことは否めず。


バラク・オバマが「チェンジ!」を掲げていた頃、
このシリーズも監督がルイ・レテリエからオリヴィエ・メガトンに交代。
アクションの質は「トランスポーター」を踏まえながら前作と大きく変化。

「2」では抑えられていたステイサム本人のアクションが大増量。
フランクの隠れ家兼車両整備アジトで悪漢達を蹴散らす際には、
ムキムキ背筋を見せつけ「おお!まだ衰えていなかったか!」と我々に叫ばせます。
「1」では元水泳選手の経歴をアピールと見られる潜水と筋肉を披露しましたが、
その時よりもむしろアクション体型になっていて惚れ惚れします。

何故そこで身体を見せ付けるかと言えば、この主人公の性格でもある。
この主人公・フランクは様々なこだわりとルールを持って生きており、
そこもまた魅力なのですが、その一つに、服はダークスーツに拘り、
いつ汚れても良い様に愛車の中には完璧にクリーニングされた
着替え用スーツのストックを完備している徹底さ。

つまりは、彼が裸になるのもそこから着替えに移るのも、
全てはこのシリーズのお約束&魅力という背骨なのであります。
ユーモアとかっこよさを巧みに馴染ませ両立するのは一仕事です。

この映画にはユーモアもふんだんに盛り込まれていますが、
アクションでその辺の物を武器にするとか(ジャッキーアクションですね。)
台詞での笑いには頼らず、一見カッコよく見せるスタイルに潜ませます。
大体、ヤバイ運び屋稼業があんなに黒光りするアウディに乗りますかって。
裏街道のプロフェッショナルなのに目立つことは好きなんだから。

ジャッキーと言えば、ジャッキー映画でもその昔使っていた
「007」のジョーズの様な(人食いサメじゃないよ。)巨漢がこのシーンに登場。
そんな映画的思い出の交差もたまりません。


「3」の仕事はまたまたある"ブツ"と謎の美女を乗せた愛車で、
指定の場所まで向うというものですが、ここで一工夫。
今回のヤバイ依頼主ジョンソンはフランクの手首に腕輪を装着。
その腕輪、軍の秘密兵器で車から20m以上離れると爆発するというもの。

これで、彼は何時も車から離れることはできない高まる緊張感。
それによって、今まで以上にフランクと愛車は一心同体。
そして、製作側もフランクと愛車アウディA8を引き離すことができない。
自らかけた縛りのなかで活路を見出したその心意気!

このヤバイ依頼主を演じるのはロバート・ネッパー。
TVドラマ「プリズン・ブレイク」のこれまたヤバイ、ティーバックで有名。
ジョンソンがティーバックのコピーの様な役ではないのは幸いで、
プライドを持ち、かつ冷静にある意味では信頼を重んじるダークヒーローで、
フランクとの同じレベルでのぶつかり合いが互いの魅力を引き出す。
(彼に比べると「2」のボス、アレッサンドロ・ガスマンは小物だった。)
吹替えはしっかり若本規夫なわけですが。


アクション映画たるもの、やはり原点に帰るべきはまず俳優の魅力。
CGでも生のアクションでも、それを160%引き出さねば成り立たない。

以前、「3」を劇場に行くほどではないかな~と言ったことは撤回。
ステイサム、やっぱりあんたは最高です!
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