清く正しくB級を ~「ファイアー・マックス」2011年02月18日 23時10分54秒

前回は地獄のチャックランボーもどきでしたが、
今回は、こりゃあもう分かり易いどう見ても「マッドマックス」であろう、
「ファイアー・マックス」についてのこと。

「マッドマックス」「マッドマックス2」は多方面に多大な影響を与え、
そして"もどき作品"も大量に生み出したことで歴史に名を刻みます。
今ではメル・ギブソン本人がマッドマックス状態ですが。

なんか主人公はこころなしか楽しげです。
今回はイラストだけのパッケージなので、写真が無し。
完全に絵と解説のイメージだけで買わなければならない!

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原題:Wheels of Fire
1984年 アメリカ映画 <日本未公開>
製作・監督: チリオ・H・サンチャゴ
脚本   : フレデリック・ベイリー
音楽   : クリス・ヤング
出演:ゲイリー・ワトキンス、ローラ・バンクス、リンダ・ウィスメイヤー
   リンダ・グロヴナー、ジョセフ・アンダーソン、スティーブ・バーヴィン

<物語>
時は未来、核戦争後の荒廃した世界を支配するのは、
要塞カーを乗りまわす<ハイウェイ戦士>たちだった。
狂気と暴力のまっただなかで文明の掟を守るひとりの
ヒーローがいた。その名はトレース。
妹をさらった<ゴロツキ軍団>を追跡して、
トレースは美女戦士とともに、要塞カーを走らせる。
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うんうん、よろしいよろしい。わくわくしますねえ。
これで中身が「マッドマックス」じゃなかったらこっちが燃やしてやるとこです。

しかもパッケージに燦然と輝く、B級映画のプレジデント、
ロジャー・コーマン"プレゼンツ"、なんて言われたらもう見るしか。

で、見た結果。本当にそのまんまでした。イイネ~。実にいいね~。
解説そのまんまというよりも、それ以外にないもの。
それ以上のわき道を膨らませようと言う気合無く、ただそれのみを追求。

「マッドマックス」というより「マッドマックス2」の方に近い。
石油がさらに貴重資源だったりトゲ付き服も改造マシンもそのまんま。
仮面の兵士軍団にナタ奮う蛮族、ふんだんな火薬と吹っ飛ぶ車、
期待通りのソックリ焼き直しに思わず「うっしゃあ!!」と叫びますよ。

トレースは妹のいるキャンプに立ち寄ったところでゴロツキ共に反抗し、
奴らからの逃走中で二手に分かれた妹を奴らにさらわれます。
妹の彼氏は憐れ車で引き回された挙句に、ゴロツキを追い払ったトレースには
殺してくれと頼むと、妹を守れなかった罰と言わんばかりに躊躇い無くズドーン。

トレースは追跡の途中、鷹を操る美女戦士と平和主義者の美女と出会い、
温厚な人々が暮らすキャンプに送り届けますが、そこもゴロツキ共が襲撃。
怒りが頂点に達したトレースは敵のアジトを掴み勇猛果敢に突撃。

なんでファイヤーかと言えば、トレースの自慢の武器が火炎放射器なんですね。
加えてマシンガンも格闘もハンドルさばきも超一流のスーパーヒーロー。
彼が守ろうとする文明の掟というのは具体的にはなんにも説明されません。
まあ、文明社会たるもの云々かんぬん能書きを垂れなくとも、
悪逆非道の敵は誰だろうとバッキバキにぶっとばす、それだけで十分ですね。

アクション映画の後追いはやろうとしてもアクションは残り10分程度しかなく、
残りは退屈でのったりした時間が続くことが多いのですが、
そこは王者コーマン先生の旗の下、並みの仕事ではありません。
アナタのもやもやも、あの手この手の"ダイナマイツ"でスッキリふっ飛ばします。

本家のマッドマックスの過激な戦闘とエロ"だけ"を抜き出して、
まさにロドリゲスの「マチェーテ」のキャッチよろしく
「5分に一人は死んじゃうの♪」を地で行っているが如く、
寝ても覚めても銃が火を噴くか他が火を噴くか(なんのこっちゃ)。

ドラマを語らず只管バトルで、81分中最初の40分だけでおなかいっぱい。
「マッドマックス」のドラマが要らない人はむしろこちらを見たらどうでしょう。
ただ、オーストラリア製とアメリカ製の違いか?
飛び交う銃弾と倒れる敵は多いものの、飛び散る血飛沫と肉片はごく少量。
しかし、作る人が作ればそこらのパクリとは違うものだなあと実感します。

以下はサンチェゴ監督のフィルモグラフィのごく一部。

レディ・スコルピオン3/必殺女刑事 (1994)
デューン・ウォリアーズ/砂漠の勇者たち (1991)
未来戦士伝メタルガン (1991)
ラストプラトーン2 (1991)
彼女がトカゲに喰われたら (1987)
ジマター/法力妖怪大戦争・半魚人の復讐 (1987)
アマゾネス刑事(デカ)/死の標的 (1986)
お色気吸血鬼 (1978)
じゃじゃ馬殺し (1976)
アイアンマンと不思議な仏像 (1973)

どっかで聞いたことがあるようなないような邦題。
いやあ、見たいですねえ。見たくないですか?

スタッフの中でクリス・ヤングはクリストファー・ヤング名義でも活動、
「スパイダーマン3(07)」「ザ・ハリケーン(99)」「シッピング・ニュース(01)」
などなど現在では有名タイトルでも活躍中の大出世でございます。まあ昔は、

「ザ・フライ2/二世誕生(88)」
「地獄のエージェント/緊急指令"究極兵器を追え!"(86)」
「エルム街の悪夢2/フレディの復讐 (85)」
「野獣女戦士アマゾネス・クイーン (85)」
「地獄の大惨事/墜落!飢餓砂漠 (84)」
「ザ・パワー/肉体を喰いつくす古代の呪い(80)」

と、これまたサンチャゴ監督に負けじ劣らずなんですが。
今でも「スペル(09)」「ブラックサイト(08)」などに参加してるので、
その精神は忘れてはいないのでしょうね。それ大事。
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