悪を裁くは爽快に ~「ハード・リベンジ」 ― 2011年02月24日 23時30分05秒
さあさあ、楽しい楽しい(?)VHS作品観賞シリーズです。
今回もまた筋肉マッチョ野郎アクションでした。
今回もまた筋肉マッチョ野郎アクションでした。
今度は聞いたことないとは言わせない、マックイーンです!
息子の方ね。スティーブじゃなくて、チャド・マックイーンです。
え?若い子はやっぱり聞いたことない?そんなあ。
息子の方ね。スティーブじゃなくて、チャド・マックイーンです。
え?若い子はやっぱり聞いたことない?そんなあ。
「ハード・リベンジ」
原題:MARTIAL LAW
1990年 アメリカ作品
監督:S.E.コーエン
脚本:リチャード・ブランデス
音楽:エリオット・ソロモン
出演:チャド・マックイーン、シンシア・ロスロック、デビット・キャラダイン
アンディ・マッカッチョン、フィリップ・タン、トニー・ロンゴ
原題の"MARTIAL LAW (マーシャル・ロー)"は"戒厳"という意味ですが、
(デンゼル・ワシントン&ブルース・ウィリス出演、エドワード・ズウィック監督
の「マーシャル・ロー」(98)もありましたね。)物語に沿って意訳すれば、
"(悪を倒すため)俺が法だ!"となりましょうか。
つまりはデンジャラス・マッポ野郎のプレゼンツ、手前ら"死刑確定"な作品で、
テレビ放映時に「地獄のリベンジャーコップ」とも呼称されたらしい。
<物語>
ロス市警最強の刑事、ショーン・トンプソンは元格闘技チャンピオン。
彼にとって、凶悪犯など敵ではない。鋼のような肉体は銃弾を恐れず、
黄金の拳は一撃必殺。今日も彼は、その拳で完全武装の強盗犯を退治
した。彼がいる限りロサンゼルスは平和なはずだった。しかし、平穏な
この街に、強大な地下組織の手が伸びつつあった。
黒幕の名はダルトン。大規模な武器密輸を操る、闇の犯罪王。
彼はその力を誇示するため、毎晩のように殺人を繰り返していた。
そんなある夜、ショーンの弟がダルトンの標的にされた…。
数時間後、帰らぬ人となった弟を前に、悲しみと怒りに震えるショーン。
彼は一人でダルトンの犯罪組織に潜入すると、正義の復讐戦を開始した!
故スティーブ・マックィーンの愛息、チャド・マックィーンのパワーが
炸裂するハード・アクション。
(パッケージ裏の解説より)
作品を観た後に改めてこの文章を打ちながら振り返ると、
これは実際よりもかなり誇張された文章だなあと思います。
完全武装の強盗犯、という程でもなく統率も取れていないチンピラが
うっかり銃を少し持っちゃった、という程度なのでして。
大体大筋は合っていますが、これだけ読んでいるとシュワルツェネッガーや
ヴァンダム、スタローン級の筋骨隆々男が、俺の筋肉は世界一ぃ!と
バッキバキに敵をなぎ倒していきそうな気合を匂わすトンプソン刑事。
ヴァンダム、スタローン級の筋骨隆々男が、俺の筋肉は世界一ぃ!と
バッキバキに敵をなぎ倒していきそうな気合を匂わすトンプソン刑事。
実際には「リーサル・ウェポン」(87)のメル・ギブソンをやや叩いた様な容貌、
マックイーン(親父)の引き締まったシルエットからは少し離れた、
むしろちょっぴりメタボじゃないかなというチャド・マックイーンで、
冒頭で立て籠もり強盗を倒すためにピザ屋店員に変装したときが初登場ですが、
はっきり言いまして、このときは少しもかっこよくはありません。
空手などのチャドのアクションは冴えていますが、シャツとかなんとかしましょう。
アクションのかっこよさはコスチュームでも左右されるものです。
人の名前をどうこういうのは失礼ではございますが、
僕はスターが大成するかは名前で70%は決まると思っています。
名前の語感が人に与える印象は言霊の様なもので無視できない力を持ち、
名前からして成るべくして成る人はいるものだと思うのです。
アメリカではともかく日本では、チャドはスティーブほどは望めないと思う。
配給側もそう考えたのか、この短い名前を「C・マックイーン」としています。
香港映画の影響を受けていると見られ、何故かヌンチャクを振り回す黒人、
仙人の様な顎鬚の巨漢、それでもってアジア系悪役の常連、
フィリップ・タンがダルトンのナンバー2&懐刀として、
鍛えた肉体を披露しチャド達を苦しめ、最期の対決まで奮闘。
パッケージでは何故かいっちゃってる顔のフィリップですが。
チャドとともに捜査する女刑事ビーリーもこれまた、
「香港レディ・レポーター 」(89)、「機動女戦士ハリケーン・コップ (88)」
「女ドラゴン・コップ チャイナ・オブライアン (88)」等々の、
香港映画に出演して主演もこなすシンシア・ラスロックが演じ、
香港流の男女関係無しのファイト&攻撃受ければ胸元のナイスなラインがチラリ、
と本場仕込のアクションと健康的サービスを披露して頂けます。
チャドよりもむしろ彼女の方が凛々しい。
ダルトン役は無く子も黙る、B級映画の大御所デビット・キャラダイン先生。
御大、50歳前後でありながら大男相手にダンスの様な華麗な蹴りを、
その左胸に必殺の掌底打ちを叩き込み、戦う闇のビックボスをアピール。
御大、50歳前後でありながら大男相手にダンスの様な華麗な蹴りを、
その左胸に必殺の掌底打ちを叩き込み、戦う闇のビックボスをアピール。
トンプソンの弟マイケルは彼の用心棒として雇われてるものの、
兄が刑事ということが災いして"サツの犬"と疑われることになる。
「お前を信用するから嘘を吹き込む奴を殺せ」と、にこやかに殺し合いをさせる。
こんな悪党はキャラダインだから良い。
兄が刑事ということが災いして"サツの犬"と疑われることになる。
「お前を信用するから嘘を吹き込む奴を殺せ」と、にこやかに殺し合いをさせる。
こんな悪党はキャラダインだから良い。
解説に描かれてる最後の方まではちょっと良いのですが、
常々気遣っていた弟を殺され母を悲しませた復讐に燃え殴りこむかと思いきや、
ダルトンのアジトに用心棒として潜り込むところからがやや緩慢。
さらに、なぜか今更、サンドバックにジョギングに修行するシーンが。
たぶん、チャドが過去に出演した「ベスト・キッド」に倣ったのではないでしょうか。
正体を明かすまでもなく、キャラダイン先生に見抜かれているのがなんとも。
なし崩し的に最終決戦に持ち込まれ、雑魚を拳でなぎ倒す"儀式"もなく、
キャラダインVSチャド、シンシアVSタンの対決へ。
それまで拳から生まれたかのようにぶん殴りまくっていたチャドが、
心機一転じっと機を窺う潜入捜査をすれば観客のストレスを溜めてしまうのでは。
そこはもう、敢えて何も考えていないデンジャラスコップに徹して、
物を壊しまくり人殴り捲くりの方が清く正しくアクション映画だと思います。
アクション映画は何を求められているか?
この1990年代は無法地帯の80年代から変化していく時代。
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