エクレール・お菓子放浪記ルポ2010年10月29日 23時30分35秒

台風が吹き荒れる中、10月29日は束の間の晴れ間に恵まれました。
ここは仙台市北部に隣接する黒川郡富谷町。
先日ご紹介しました、映画「エクレール・お菓子放浪記」の
撮影に使用するオープンセットが組まれたところに僕はきております。

前日28日に降り注いだ、韓国俳優が絶叫する様な激しく冷たい雨は去り、
撮影が出来ずに歯軋りをしていた、かどうか知らぬスタッフの皆さんも、
今日はやるべきことを成し遂げるため忙しく動き回っています。

富谷町の皆さんも昼食の炊き出しに、お握りやすいとん汁を提供し、
町長以下役場の職員と応援する会が総動員されて、
おらほの町で映画が作られる喜びと期待が隠そうとしても
隠し切れないほどにこちらへも伝わってくるのです。

■映画 エクレール・お菓子放浪記(富谷町HP)
 http://www.town.tomiya.miyagi.jp/html/eclair_okashi/index.html
■映画「エクレール・お菓子放浪記」公式HP
 http://www.eclair-okashi.com/


この日行われた撮影は戦後の街角の風景。
貧しさに耐えながら子供達の力で生き抜く主人公達。
GI相手のギブミーチョコレートとパンパン娘たち。
寒い冬の下での食堂の賑わいのシーンが撮影されました。

先日の舞台挨拶ではにこやかだった近藤監督もこの日は激を四方八方飛ばす。
さすがに子役に対して怒ることはないもののスタッフへは厳しい言葉が飛ぶ。
その変わり様には多少の驚きを禁じえません。
井筒和幸監督などが厳しいのは不動明王が怒るようなもので普通ですが、
近藤監督の場合は地蔵様が怒るようなもの。

しかし少なくともこの現場では監督はスタッフの意見も細かく聞き取り、
また、スタッフがエキストラに出した指示も信頼しているようで、
統帥軍事政権ではないように見受けられました。


建てられた時はピカピカだった映画館のセットも、
この日には既に空襲を受けて焼け跡になっておりました。
フィルム缶もひん曲がってボロボロになっています。

これは役者はもちろん、エキストラの皆さんが使う小道具の山です。
下駄、草鞋、足袋、帽子、ズタ袋等々、これらを身につけていくと、
だんだんと戦後間もなくの容貌になってきます。
兵隊さんはゲートルを巻いて水筒も提げ、全身が変わってきます。
見えないところまで気を配ることが大事だと改めて思いますね。


また、宮城県の方にはニュースです。
この映画には仙台放送の番組「あらあらかしこ」に出演していた
富谷町出身の、杜野まこさんが出演しています。
綺麗で気さくな方ですよ~。宮城県人は映画もまこさんも応援しましょう!

杜野まこ オフィシャルWEBサイト
 http://morino-mako.syncl.jp/
杜野まこ オフィシャルブログ「真実のくち MAKOのくち」
 http://ameblo.jp/morino-mako/


ロケ弁を食べています。なんでロケ弁を食べているのかって?
実は僕もエキストラとしてこの日の撮影に参加しているからです。

尊敬する香川照之さんがかつて自身のエッセイ上でその過酷さを
パレスチナの難民に等しい扱いと評したあのエキストラに。
僕は初参加してしまったのです。

参加して感じてしまったのは、「映画に出る」ということの魔力。
金銭的報酬などあるわけはなく、完成品に映る保証もなく、
午前11時から夜の21時頃までこの季節に屋外で拘束され、
待ち時間がその半分程度あるなか、昼の部と夜の部の間で、
自分の自由意志で切り上げることを許されたにも関わらず、
最後まで参加してしまうことの不思議さ。
香川照之が不思議に感じていることをまさに僕自身も
その身の体験を持って経験してしまった。

でも、衣装さんは防寒着にもなる厚手の衣装を用意してくれたり、
指導は穏やかに行って頂きまして、恵まれた現場だと思います。

映画はみんなで作るものであります。
物づくりは大勢の名もなき人々の力によって支えられている。
たとえ、全体の何百、いや何千分の一にしかならないものであっても、
まごう事なき構成要素として結ばれているはずなのだ。
そう責任ある仕事と信じて、心して参加致したに候。
こんな僕を参加させて頂いたことに深く感謝致します。

夕焼けがまっこと綺麗でありました。
天は町のみんなの努力の撮影を讃えていると思いたい。


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