ガンダムOOとの対話2010年10月18日 23時06分33秒


噂の「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」を見る。

「機動戦士ガンダムOO(ダブルオー)」は、2007年10月~08年3月までファーストシーズン、
2008年10月~09年3月までセカンドシーズンがTV放送されました。
そして、セカンドシーズンの最終回ラストで2010年の映画化が予告され、現在。
物語は全て繋がっており、約3年をかけた長期作品になりました。

ナニが噂のガンダムOO?、といいますのは
「今回の作品には地球外生命体が登場するらしい??」と囁かれたからです。

これまでガンダムシリーズでは地球以外の勢力との闘いは描かれたものの、
それは木星周辺に移住した人類であったりしたので、
基本的には同じ地球人・人間同士の闘いに徹していたのです。
(SDガンダムシリーズでは地球外生命体との接触がありました。)

以前にガンダムの世界観に大きな風穴を開けた衝撃の快作「機動武闘伝Gガンダム」でさえ、
地球外生命体を登場させることはなかったというのに。
ホントか嘘かを確かめるために劇場で作品を鑑賞すると・・・本当だった。
一昔前の自分であれば、なんじゃこりゃー!と叫んだであろうと思いますが、
劇場の椅子に座っている間にすぐに受け入れてしまいました。
途中何度か、「今見ているのは現実なのか?」と問い続けたけれども。

ここで描かれる「地球外生命体」とは、リトルグレイのような人型宇宙人でもなく、
なんらかの言語を解する知的生命体ではありません。
接触したものを金属の様に変えていく怪獣のような生命体です。
しかも、それらは無限に生まれてきて宇宙空間を覆いつくすような数で襲ってきます。
1988年にガイナックスが製作したロボットアニメOVA作品
「トップをねらえ!」に登場する宇宙怪獣を彷彿させました。

そのかつてない、地球上の小競り合いなど蟻の闘いのように思える大災厄に、
数機のガンダムとMS達で立ち向かう様は、シリーズ最大級規模の闘いといえましょう。
その1VS無限大の闘いの中、ガンダムマイスター達は相手との対話を試みる。


それは非常に荒唐無稽に感じますが、誠に正しいことなのかもしれません。
巨大な敵をさらに巨大な力で抑え付けていく闘いは消耗と疲弊を生み、果てしがない。
しかし、相互に理解しあい、闘いをやめる意思が生まれれば、
どんなに巨大な力も鉾を収めることができるのでしょうから。

「対話」と聞くとそれは甘いようにもフラストレーションを貯めるようにも感じられます。
ただ、ガンダムシリーズはその物語の中で常に相手との対話ないし
議論を試みてきたとも感じられるではないでしょうか。


闘いを描いた多くの作品のなかに共通するのは、
どうすればみな争いをやめることができるのかという問いだと思います。
それを模索した結果として銃を取り相手を倒すことに行き着くため、
安堵は束の間の安らぎであり、やりきれない思いと次世代への課題を残して終わる、
それがガンダムシリーズに共通して感じられることだったのではないでしょうか。


もし、今回の作品において、地球外生命体への対話を放棄すれば、
それは、「自分達と違うものは排除する」という結局は
地球上の争いを生み出す思考と運命をともにすることになっていったのかもしれません。


地球外生命体との対話というガンダムではあり得なかった超ウルトラCをやってのけたことで、
シリーズの願いのひとつの到達点として達成したのかもしれません。
あるいはそれは、かつて多くのSFがその空想世界の設定の中にひそかに籠めた、
人類の歴史と現状の世界情勢の比喩という手法なのかもしれません。

■劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-
  公式サイト http://www.gundam00.net/

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