碧の光を身に受けて ~宇都宮美術館2010年10月26日 22時52分51秒

さて、宇都宮駅から宇都宮美術館行きのバスに乗り、北上すること約30分。
バスが途中で帝京大学に停車するとまもなく終点・宇都宮美術館につきました。
バスは乗客もまばらで大学に行くと思しき学生と途中下車の人たち数人。
美術館で降りたのは僕の他に二人だけでした。

■宇都宮美術館
 http://u-moa.jp/jp/index.html

地図で見ると美術館の周囲は森林公園の様になっており、
郊外の緑が目立つ風景なっていくので予想はしていましたが
降りたところはこんな自然のなかでした。
てっきり美術館の目の前かと思いきやここから建物はよく見えません。

道路の傍には丈の短い草の公園が広がり、子連れの家族がシートを広げたり、
高校か大学の運動部が練習に励んでいたり、思い思いに過ごしています。
美術館の関連のオブジェも点在し、アートと自然の調和を楽しめるようです。

緩やかな坂になっている道を上ると見えてきました。
なかなか良い外観ですが、中に入るとさらに洒落た内観で驚きました。
仙台市にももちろん美術館はありますが、緑が多いとはいえ街中の区画にあり、
また、美術品を展示する建物ではあるものの、建物そのもののアート性では、
こちらの美術館ほどのセンスではないと思います。
通路や憩いのスペースは外の光を存分に取り入れる構造になっており、
この日のようなよく晴れた天気には室内でも緑の香りも漂ってきそうです。

こちらは良い具合の配置になっている、入り口脇のオブジェ。
この角度から見ると分かりますね。

現在開かれているのは「ロトチェンコ+ステパーノワ - ロシア構成主義のまなざし」。
1910年代のロシアで活躍した芸術家、というのはここで初めて知ったのですが、
「芸術に生産性を」のもと、服飾・家具・建築等々の生活に根ざしたものに
デザイン性を積極的に取り入れて行った様子が展示されています。

旧ソ連の国営デパート等のポスターをデザインした様子も追っており、
彼らと社会主義との関わり方も見ることもできます。
「どのアパートからも二歩で行ける」などというコピーが、
微笑ましくも政府の宣伝手腕と政策的側面に唸ります。


そうしたシリアスな面がある一方で、ロトチェンコとステパーノワの二人が、
お互いを高めあいつつ信頼関係を深めていく様に感じられます。
二人のことは知ったばかりですが互いを必要とする良き関係の様に思います。

展示を見終えると14時ごろになったのでグッズコーナーを眺めつつ、
カフェ「ジョワ・デ・サンス」で昼食をとることにしました。
すると、今回の企画にちなんだロシア料理が期間限定で食べられるとのこと。
見るとライ麦パンと前菜にボルシチ、デザート&ドリンクでなかなか良いお値段。
ええい、せっかくここまで来たのだからエイヤートーのウーヤーターと、
飛び降りたつもりで注文した次第。

こちらがイカ・エビ・ホタテと野菜の前菜。
ライ麦パンは焼きたてのように香ばしく、バターもいらずそのまま美味しい~!

メイン料理のボルシチ。赤ワインのようなスープが美しい。
ニンジン、ブロッコリ、肉をかなり柔らかく煮込んでいます。
こんなにほぐれ易く煮込まれているのはCONNUcafeのクスクス以来かも。


デザートのシャーベットはちょっとアートチック。
ほんのり酸味と紅茶がよく合います。
お値段だけのことはあります。ボルシチのスープも全てごちそうさまです。

入り口に見本があったこのランチプレートも美味しそう。
緑に囲まれたテラスのようなカフェで陰りかけた日差しがなんとも言えません。
このスペースは結婚式にも提供しているとのこと。
こんな自然とアートに囲まれたステキな空間でなんて・・・良いですねえ。



バスを待つ間は美術館の周辺をふらり散歩。
時間があれば森林公園内のハイキングコースを散策したり、
この丘を南下したところの長岡百穴古墳まで行きたいところでした。


いつの間にやらもうこんなに落ち葉が落ちる時期になりましたか。
今回の旅はここで終了。
小旅行という規模でもなく探索ポイントは少ないですが、
歴史に触れ自然に触れ芸術に触れ、そして人に触れ。充実した2日間でした。
難しいことは言えませんが興味のアンテナを巡らせ、
ちょっと変わったところには積極的に飛び込み、
見たものを素直に喜び微笑み感じていきたいです。

宇都宮の友と人々に感謝を。やっぱり宇都宮、好き。

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