見逃された悪意2007年03月24日 01時19分53秒

ウガンダに実在した恐怖の独裁大統領イディ・アミンを描いた
「ラストキング・オブ・スコットランド」を鑑賞です。
主演:フォレスト・ウィテカーは
今回のアカデミー主演男優賞を勝ち取っています。

<物語>
1971年ウガンダ。前政権をクーデターで倒し
大統領に就任した将軍:イディ・アミン。
同じ頃、理想を抱いてウガンダ入りした医師の卵、ニコラス。
二人は偶然出会い、ニコラスはアミンに気に入られ主治医となる。
アミンとの交流は医師の立場を越えて側近へと発展していく。
だがアミンの闇に気づいた時にはニコラスは
脱出不可能な深みに落ちていたのであった。


在任中に恐怖政治をしき失脚後国外に亡命し、
2003年にサウジアラビアで死亡したアミン。
死亡記事を読んだとき、怪物がやっと死んだかと思ったものです。
作中、「自分は人喰いと呼んでいる」とアミンが言いますが、
過去、人肉ブームに映画界が湧いた(?)頃に
「食人大統領アミン」と言うまことに・・・な映画もありました。
とにかく血なまぐさい話には事欠かない人物です。

映画はそんなアミンを青年医師ニコラスの視点から追います。
そのアミンは人懐こく豪快な笑いで周りを取り込んでいきます。
ゲリラの攻撃によりパラノイアに陥り徐々に狂気が見えてきますが、
虐殺シーンはラスト近くまでほとんど登場せず、
写真や報道によるものが大半です。

それはニコラスの視点が、何も真実を見てこなかった
先進国の視点を表しているからでしょう。
それは政府首脳のみならず我々一般国民をも指します。
アミンの悪行を知るのが写真によってと言うのが象徴的です。
我々もまた新聞やニュースにより始めて知るのです。
そして知ったときには手遅れになっています。

「ルワンダの涙」も罪悪感に満ちていましたが、
今作はまた別の種の罪悪感に満ちています。
何も出来なかったのではなく、目を逸らし悪を育てたことへの罪悪です。
本性を知らなかったことの罪悪感はより圧力を伴います。

ところでアミンが暴走した理由は様々に考察はありますが、
一つは貧しい出だったことにあるのではないでしょうか。
貧民・平民から出世するパターンは民衆の支持を得やすく、
強いカリスマ性を発揮しやすい人が多いです。

しかしこの場合、精神的成熟が伴わないと地位を失うことに怯えます。
アミンの異常なまでのパラノイア傾向が例です。
その結果、自衛のために僅かな異物を排除していきます。
日本では豊臣秀吉が太閤就任後に狂い始めたことが良い例です。
人間には分相応というものがあります。
恐竜化した人間はやがて必ず滅ぼされるのです。
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