ドリームス2007年03月09日 22時17分29秒

夏目漱石原作の小説「夢十夜」の
オムニバス映画化「ユメ十夜」を鑑賞。

<構成>
十篇の短編をベテランから若手まで11人の監督で映像化。
プロローグ&エピローグは清水厚監督。()内は主な監督作。
第一夜:実相寺昭雄      (帝都物語)
第二夜:市川昆         (犬神家の一族)
第三夜:清水崇         (呪怨)
第四夜:清水厚         (蛇女)
第五夜:豊島圭介        (宇宙の法則)
第六夜:松尾スズキ       (恋の門)
第七夜:天野喜孝・河原真明  
第八夜:山下敦弘        (リンダリンダリンダ)
第九夜:西川美和        (ゆれる)
第十夜:山口雄大        (魁!クロマティ高校)

天野喜孝は言わずと知れたデザイナー。ファイナルファンタジー等。


ベテランは手堅く自分のスタイルで原作を包み込み、
若手は原作を破壊し再構築する、と別れた感があります。
それをバランスが悪いととるかバラエティに富むと見るか。

松尾スズキの作品は一番好きです。
普段はクセのある俳優ですが、やはり感性が突出しています。
現代風過ぎるダンスアレンジと、ネット文体のセリフ、
何故か英語の字幕など現代の奇妙な文化の多用が見事。
芯をだけを残してここまでやると清清しい。

逆に天野喜孝・河原真明作品は?。
完全にファイナルファンタジー等のスタイルになり
粉々に粉砕されてしまった感があります。
これが清清しくないのはFFというよく似たものがあるせいでしょうか。

市川崑は観客が期待するスタイルを判を押して見せたようなものかと。
あの明朝体スタイルから開始、さらに面白いのは
岩井俊二の「市川崑物語」を彷彿させる構成であること。
巨匠の遊び心が見られるこれも好きな作品です。

一番安心して見られるのは実相寺昭雄と清水崇だと思います。
ちょっと不思議な話の再現には丁度良い収まり具合です。

最近このような複数監督のオムニバスがよくあります。
その中で長編より唸るものもあれば肩透かしもありますが、
立て続けに様々なスタイルが見られるのは単純に面白いです。

ただ、一本一本は面白いですがまとめて長編にした時に
プロローグからエピローグまで美しい流れになるか否か。
それぞれが好きに撮るのも良いですが、ある程度の制約と
編集の仕方で全体を形作るのも重要かと思います。
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