荒野に立てなかったロボ 「ジャンクウォーズ2035」2011年01月28日 23時06分10秒

映画なんてそんな高尚なもんじゃないですよ。~(云々)
などいうことを言ったのはかつてアルバトロス・フィルムに所属してた
バイヤーの叶井俊太郎がトークショーのチラシ上で言ってたわけですが、
(現在は漫画家・倉田真由美の夫でトルネード・フィルムがぶっ壊れた御方。)
確かに人一人の人生変えちゃう夏くらいの映画もあれば、
28年後・・・まで、もとい後世の教科書に刻むぐらいの芸術もあるけども、
アルバトロスゲテモノ部門?の様な、「ぐぇ」と呻くものもあるわけで。

そのように名作・秀作、ときには佳作に続く道には無数の屑の残骸が散らばる。
燦然と輝きを地上へ放ち続ける神々の住まう天上界が存在すれば、
光溢れる地平の下には無数に蠢く怨念渦巻く暗黒世界が存在する。

光あるところ闇あり、闇あるところ光あり。陰と陽ではじめて完全になる。
血の滲む想いでこの世に二つとない輝ける映画が生まれる一方で、
本当に関係者の人生血みどろにしてしまう様な無茶苦茶な映画も生まれる。

そのどちらも、映画だ。
綺麗な映画や自分の望む映画だけしか認められないならば、
いつか映画は情熱も勢いも輝きも失うだろう。

さて、前口上はこのくらいにして。
未公開映画祭で真面目な映画鑑賞ばかりしていたので、
反動で、どーでも良い映画に振り戻しましょう。

今宵のVHS映画は、1990年の「ジャンクウォーズ2035」。



キネマ旬報データベースにはこの様な紹介が掲載されています。
「B級SF映画の御大チャールズ・バンドが放つ近未来アクション。
2035年、荒廃した地球は多国籍企業ユニコムに支配されていた。
反体制を唱える地下組織の放送局を舞台に、ユニコムから送られた
アンドロイドと人間の緊張感溢れる対決が描かれている。」

パッケージの裏解説で、も少し詳細に。
「オゾン層が破壊され尽くし、強烈な紫外線が降り注ぐ21世紀。
政府はすでに機能を失い、国家は多国籍企業ユニコムの管理下に
おかれた。そこには砂漠の廃工場の設備を使い、反体制運動を
続けている一握りの人々もいた。果てしなく荒野が広がる近未来を
舞台に、暗殺アンドロイドと人間たちの死闘が展開される
SFアクション・ムービーの決定版!!
 独裁企業が送り込んでくるのは、シンソイドと呼ばれる殺人ア
ンドロイドたち。彼らの外観は人間と区別がつかない。誰が暗殺
者なのか?疑惑が疑惑を呼び、サスペンスは高まってゆく。そし
てついに正体を現す人造人間!クライマックスでは、うち捨てら
れていた40フィートの巨大ロボットが立ち上がる!!」

忍び寄る人造人間、甦る巨大ロボット!
いま始まる、荒野のハイテク・ウォーズ!

フルムーン・エンターテイメント社、最大のSF超大作!!

"B級SF映画の御大"と紹介されるチャールズ・バンドは
パッケージにはフィルモグラフィとして「死霊のしたたり」
「SFソードキル」「フロム・ビヨンド」がクレジットされています。

この御方の監督・製作総指揮として関わった作品は、
とにかく日本未公開のビデオストレートの映画が山の様にあり・・・

エンド・オブ・ザ・ワールド/死を呼ぶエイリアン脱出計画 (1977)
SFダンジョン・マスター/魔界からの脱出 (1985)
悪魔の寄生虫・パラサイト (1981)
宇宙異獣体トランザリアン (1988)
未来娼館ネザーワールド (1991)
地底人アンダーテイカー (1992)
スペース・リザード3001/宇宙の極道蜥蜴 (1994)

こんなテキトーな邦題を書き写してるこっちがジャンクしてしまいます。
おそらく今の人達はほとんど見たことないでしょうね。
安心してください、僕もほとんどまともに見てません。

バンド一家は映画一家で、しかも一作を皆で手掛けることも多く、
1986年の「トロル」ではチャールズが製作総指揮、
オヤジのアルバートが製作、弟のリチャードが音楽を手掛けています。
それでもって皆が皆、携わるものがB級・Z級ゲテモノ映画。
さすがにナニやってんだこの家族は、という感じです。

環境破壊が進んで国家も壊滅的危機に陥ったいわゆるデストピアもの。
「オゾン層が破壊され尽くし、強烈な紫外線が降り注ぐ」
という表現も凄いですが、じゃあ外はどうやって歩くのよというと、
細菌系の研究室所員の様な宇宙服めいた防護服に身を包んで動きます。
加えて熱嵐という自然現象が発生し、昼間は灼熱地獄になるのだとか。

でも、安心してください。どこぞの荒野と廃墟の風景を映した後は、
舞台はラストの脱出までずっとテレビ局として使ってる発電施設の中。
設定だけぶちあげれば後は建物内で、という低予算映画での常套手段です。

なお、登場人物が10人ぐらいしかおらず、反体制組織もユニコムも名前だけ登場。
他のメンバーはほぼ登場しないので、どこで何してるか本当に存在するのか。

周りにはただ荒野が広がるのみ。非常食も乏しい密閉空間。
そこで謎の殺人事件が起こり、嵐で電気系統が故障。
しかも、犯人は人間になりすましたロボットらしい・・・
殺人鬼と迫り来る死の恐怖のなか、死のサバイバルが始まる!

感覚的には、「ターミネーター」×「遊星からの物体X」と思われ、
中盤ではお約束のメンバー全員集合での犯人探しテストがあります。
ヒロインの女の子アロンがナイフで指をピッと切って血が出たら人間、
という判定方法で、ここで犯人が割れたら本当に物体Xのままです。

と、いうか血を一滴垂らすぐらいなら簡単に騙せるし、
血の色の液体を流すロボットだって作れるよ!

主人公・タイソンの推理で、技師のクイン(演:ビル・モーズリイ)が正体を現す。
人間になりすましているということから、無表情・無機質ではなく、
叫ぶし笑うしサイコなアンドロイドで、顔からオイルを流してますが
動きも人間の様に機敏で「遊んでやるぜ!」と背を向けてどこぞに駆け出し、
生存者の片腕をもいだりシャワールームで感電死させていく。
ショットガンでどてっ腹に穴開いてしまう脆い奴ですが。

最大の見せ場の様に謳われる巨大ロボットでアンドロイドと決戦かと思いきや、
なんと、倒れてきた鉄塔に足を挟まれたタイソンを救出するためのレスキュー!
その直後に胴体真っ二つのクインをペチャンコに踏んずけて南無ー。

シュワちゃんをプレス機で圧殺する方がまだかわいいけど迫力は遥かに劣る。
スクラップが眠りから覚める劇的復活劇のカタルシスめいたものになるはずが、
なんとまあ燃えないシチュエーション巨大ロボの無駄使いといいますか、
ロボのかっこよさを優先できない合理主義の性か。
いかにもリモコンで動いている様な動きなのが笑いを誘います。

ちなみにこれ以前に彼らは「ロボ・ジョックス 」(1986)を生み出し、
「地球最終戦争ロボット・ウォーズ (1994)」と類似作を放ちます。
ロボットの風貌は1982年の日本のテレビアニメ
「戦闘メカ ザブングル」に登場するウォーカーマシンに近い様に見える。
予告編は他のビデオに収録、なんだか猛烈に見たくなってしまうんだなあ。

この映画を楽しみにしている人も世界で3人ぐらいだと思うので、
もう一人の殺人アンドロイドがエヴァ・ラルーが演じるパリス。
彼女は後にTV「C:S:I マイアミ」にレギュラー出演する。
アロン役のミーガン・ウォードも後にTV「ダークスカイ」にレギュラー出演しますが、
「X-ファイル」のパクリというレッテルを貼られ視聴率低下で打切り。
現在はテレビドラマ出演が続きますが「ダークスカイ」は惜しかった。

その後もバイブレイヤーとして活躍するラルフ・ウェイト、ジャック・マクギー。
とくると、この手の作品ではその後主役が目立たなくなっていく。
ポール・ガナス、ルックスも悪くなく、そこそこマッチョなのだが。

ところで突っ込みと言いますか、劇中で西暦を現す表記が、
ガソリンスタンドに貼られたカレンダーの「2030年」しかない様な・・・。

戦慄のドライブ 「ミッドナイト・ライド」2010年12月17日 23時28分05秒

マーク・ハミルを知ってますか?
映画ファンならば知らないはずないだろ!と言うのでしょうけども、
ハリソン・フォードに対する一般の認知度と比べれば全然低いはず。

さて、二人の共通点は。
もちろん「スターウォーズ」初期三部作のメインだったということ。
しかし主演であるはずのルーク・スカイウォーカー役の
マーク・ハミルのその後はパッとせず、
ハン・ソロ役のハリソン・フォードはどんどん出世してしまった。
もともとは現場で大道具の手伝いをしてた男だと言うのに。

とはいえ、マーク・ハミルがパッとしなかったのは
あくまでハリウッド俳優としてでありまして、
コミックや声優の分野では活躍を重ねて賞も獲得しています。
最近では自身が関わったコミックの映画化で監督を務めるとか。
俳優を引退したわけではなく、ときどきB級作品で名前を見かけます。
そんなマーク・ハミルの俳優キャリアにスポットを当てましょう。

今日のVHSは「ミッドナイト・ライド」
1990年アメリカ製作 サスペンススリラー
ボブ・ブラルバー監督作品

仕事熱心な警察官の夫・ローソンへの愛情を失ってしまった
妻・ローラは彼女を愛している夫の制止を振切り家出してしまう。
彼女は車で友人の家に向う途中、ジャスティンという
人懐っこい青年を気まぐれに乗せてしまう。
だが彼は精神異常をきたした連続殺人鬼だった。
彼の異常性に気づくローラだったが時すでに遅し逃れることができない。
その頃、ローソンも後を追っていた。連続殺人鬼と警察官の対決が始まる!

マーク・ハミルは警察官役・・・ではなく、連続殺人鬼役です。
危険な香りを漂わせた穏やかな笑みを浮かべながら、
ちょっとしたことでデンジャラスなスィッチが入る情緒不安定さ。
照明を顔の下から当てるような演出も古典的であるものの、
心のうちの不気味さを一層引き立てています。

精神不安定な親の元で育った彼は最愛の妹を失い心を病む。
そのためか女性への愛情と憎悪を極端に併せ持つ。
貸出を拒否したレンタカーショップの女性店員を殺し、
ローラとの道中で勘に触るモーテルの女主人を殺し、
言い争っていたカップルの女性を助けた後に殺す。

ローラを解放すると見せかけ車のタイヤに仕掛けをし動けなくする様に謀り、
丁度よく通りかかるバスに彼女が乗ると運転手は殺されており、
代わりに運転していたのは悪魔のジャスティン!
どっから来たんだ?と思うのは置いといてこの陰湿さがたまらない。

彼はローラを思う様にするため精神病院の信頼する医師を訪ね、
彼女を電気ショックにかけようとするに至る。
この医師を演じるのがロバート・ミッチャムで、
いくらローラを人質として取られた様な状態とはいえ、
何とかしてよ!と思うのですが何もしてくれません。

一方でローラの唯一の救いの手であるローソンもジャスティンと対決。
一度目は路上で引かれたフリをしていたジャスティンの罠にはまり、
「グラインドハウスinデスプルーフ」よろしく、
車のボンネットに括り付けられトレーラーに体当たりの恐怖を味わう。
狂喜の形相で体当たりし続けるジャスティンがなんとも言えない。

そしてリベンジのカーチェイス&ガンアクションを経て、
病院内での肉弾戦からが二人の本領発揮。
ジャスティンはどこから調達したかバギーに跨りローソンに体当たりと、
走行中に長い獲物を地面に擦り火花を散らせる。
「ブラック・レイン」の松田勇作のパクリでしょうか?
そう言えばなんとなく唇のつり方が似ていなくもありません。

ローソンを演じるのはB級アクションスター、マイケル・ダディコフ。
フィルモグラフィを観るとそれまでは"ニンジャ物"(忍者ではない)など
イロモノばかりやっているのでこれがまともな現代人の役かもしれない。
いやいや、まともかは知りませんけども。
「エグゼクティブ・デシジョン」を安っぽくした様な
「エグゼクティブ・コマンド」などにもこの後主演しています。

この二人のぶつかり合いがやりたい放題見せてくれます。
消火器、手術用の切断機など手当たり次第に武器にしての流血の戦い。
そうだなあ、1990年頃のアクションと言えば、
なんだか知らないうちに手が折れるは足が折れるはあちこち血流し、
ボロボロの殴り合いになっていくのが定番だったなあと思い出し、
この作品もその懐かしい日々を裏切りません。

そして何故かこのダディコフ、とくに物語上の意味もなく最初から足を負傷して
ギブスまでつけているのですが、もしや本当に折れていたのか?

マーク・ハミルのそのアブないキレぶりが良い。
まさか溜まっていた鬱憤を全解放したのではないかというほど
演じるのを楽しんでいる感すら感じられます。

こんな危険な人物を乗せることもあるかも知れないということで、
現在のアメリカでは治安維持のためヒッチハイクを禁止する州が多数の様です。
旦那さんが追いかけてきてくれて良かったなあ。
喧嘩しても行きずりの男を乗せてはいけませんぞ。
「テルマ&ルイーズ」のブラット・ピッドの様な男などいない(あれも財布スッたけど)。

時を超えて巡り逢う 「タイムソルジャー/ 時の侵入者」2010年12月10日 23時12分37秒

結局、VHS観賞のシリーズ題名はつけないことにしてしまいますか。
後でまたつけるかもしれませんが、当面はカテゴリ分類することにします。

さて、今日ご紹介するVHS作品は日本未公開作品。
未公開映画祭やら未公開作品やら、最近そんな方向にばかり。
今回の作品はちゃんとしたものだと思いますし僕は好きです。
というより、前回までが敢えて地雷を踏みに行ったに過ぎませんが。
そんなわけで。

「タイムソルジャー/時の侵入者」のご紹介。
■1986年 アメリカ映画 96分


<物語>
1986年。暴走車による不幸な事故で妻と子供を失った大学教授のジョー。
彼は地元のオークション大会で古びたトランクを手に入れる。
その中に収められた約100年前の銅版写真に写っていた男の手には、
1980年代に製造されたマグナム357が握られていた!

妻子を失って依頼抜け殻だったジョーは想いを紛らわす様に調査を始める。
そこへクロフォードと名乗る謎のブロンド美女が手伝わせて欲しいと現れる。
彼女は1886年の写真に写っていたマグナムの男を追って、
西暦2586年の未来から父の作ったタイムマシンによってやってきたという。
彼女は父の発明を奪い悪用しようと1886年に跳んだ科学者を追ってきた。
その科学者こそ、マグナムの男・コール。


この頃にタイムトラベルといえば、1985年の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。
個性的キャラクターやイカしたマシンが登場する若者向けの作品と比べれば、
「タイムソルジャー」は華々しさは無いもののノスタルジイと色気が漂う。

ジョーを演じるのはどこかで見た顔だと思ったらウィリアム・ディヴェインで、
(ビデオパッケージの表記は、ウィリアム・デバーン)最近では
「24 -TWENTY FOUR-」でオードリー・レインズの父・ヘラー長官を演じた
渋みのある俳優さんで、この映画では知的な面と銃を取る勇ましい面を好演する。

クロフォード役はローレン・ハットンという女優さんで
僕は始めて名前を聞きましたがファッション雑誌「ヴォーグ」のモデルで
1970年代には化粧品会社と巨額の契約をした先駆けだったそうな。
40歳半ばのウィリアムの相手で失礼ながらトウがたった感があるものの、
美しさは損なわれず、品のある大人の落ち着きを放っています。
双方ともに上の歯の白さが美しく二人並ぶと非常によろしい。

タイムマシンは野球ボールぐらいの大きさ、ダイヤモンドのような形状で、
淡いピンクがかった透明なボディにデジタル文字で時間が表示される。
行きたい時間を入力し握りしめて時を超える、一人・二人用のタイムマシン。
時間を超えるときには焼け焦げた様なサークルが出来上がります。
なかなか洒落たデザインで、小物のタイムマシンというのは珍しいかな?

このタイムマシンで可能なのは時間の移動のみで、空間の移動はできない様子。
つまり、今立っている場所の100年前に移動するということ。
「ドラえもん」ならばタイムマシンではなくタイムベルトというところ。


ジョーはコールの目的は過去でクロフォードの祖先を殺し、
彼女の父が生まれない様に歴史を改変し、技術を独占することだと推理する。

ジョー達は100年前の写真の撮られた場所、周辺の歴史を調べ、
「星の銃を持った男がならず者を倒し青の男を救った」
という伝説のガンマンを讃えたカントリーソングを見つけ出す。
青の男とは当時の重要人物・クリーブランド大統領を指していた。
そして大統領の側近として随行していた人物こそクロフォードの祖先。

大統領と彼女の祖先と星の銃を持った男が出会う瞬間、
それこそがコールが狙う、祖先を暗殺するチャンスが到来する瞬間だった。
その日を割り出したジョーとクロフォードは暗殺を阻止するために時を跳躍、
川の畔で大統領一行が野党の襲撃を受ける場面にたどり着く。

大統領の乗った馬車が動きを止められ、護衛が一人また一人やられていく。
そのとき、白馬で川向こうから駆けてくる男がいた。
彼こそが歌に歌われた伝説の男!と思った次の瞬間、銃声が轟く。
コールのマグナムが男を射抜き、男は絶命してしまう。

駆け出すジョー。彼は男が持っていた星の紋章の銃を取り、
大統領と祖先を救うために馬を駆って駆け出す!
実は序盤に銃の腕を披露し西部劇に憧れていたという、
ジョーの肉付けがここにきて鮮やかに生きてくる。
じりじりと相手の出方を伺う間の取り方、太陽を背に受けた呷り。
鮮やかにならず者を倒し、コールとの早撃ち対決まで全くの西部劇です。

1990年の「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3」より早く、
タイムトラベル&西部劇をやっていた!ってもっと早いのがあるかも。
「バック・トゥ~3」はクリント・イーストウッドだからややマカロニ、
対して「タイム~」はアメリカ西部劇への憧憬が漂っている様に思えます。

そしてお分かりだろう。未来からやってきたジョーこそが、
歌に歌われる伝説のガンマン・星の銃を持つ男だったということが。

なお、この狂気に満ちた白髪の強い印象を残す未来からの暗殺者
コールは、あのナターシャ・キンスキーの父であり、
ヘルツォークの盟友であるクラウス・キンスキーが怪演。

時を超えた事件が解決し、ジョーはクロフォードに現代に残らないかと誘う。
しかし、彼女は首を横に振る。それはルール違反になるわと。
助けが必要になったら再び協力することを約束し抱擁する二人。
実にいい。衝動に任せない大人の自制を保った温もりある別離の場面です。
彼女はゆっくり離れ、語りかける。「ルールは破るためにあるの」
握り締めたタイムマシンが輝き、その手を差し出す。

ジョーは目覚めた。妻と子供が車で出かけていく。
そうだ!ここは"あの朝"だ!車を追って駆け出すジョー。
間一髪。それはクロフォードからのかけがえない贈物だった。


アップテンポにはせずに品よくしっとりとした大人のドラマとして丁寧に紡ぎ、
郷愁漂う別れに至るため、妻子を救うラストもご都合ではなく心に染みてくる。
時間旅行はロマンであり、西部劇も本来は大人の憧憬なのだとそっと見せてくれる。

「さようなら、教授」。優しく語り輝きに消えたローレンを僕は忘れることはできない。

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