男のセンチメンタルなのか? ~ ザ・クリーナー/消された殺人 ― 2009年08月15日 23時32分08秒

「サンシャイン・クリーニング」の批評を読むとほぼ確実に
「ザ・クリーナー/消された殺人」が引き合いに出されているので、
以前にチェックしたこともあって早速借りてきました。
2つの作品の共通項は「自殺・殺人などの事件現場の清掃業」。
「サンシャイン・クリーニング」のクリーナーが
エイミー・アダムス&エミリー・ブロンテの女性二人に対し、
「ザ・クリーナー」はオッサン、サミュエル・L・ジャクソン。
2つの作品の違いはコメディとミステリーというだけではなく、
現場清掃に対するスタンスは対極であります。
「ザ・クリーナー」での事件現場は有毒な細菌の宝庫であり、
サミュエルオリジナルの消毒ガスを散布し、
べっとりと粘り気のある血液をサンプルとして採取し、
事件現場の状況を克明に記録するなど物々しい。
「サンシャイン~」でも細菌感染の注意はあるものの、
基本的に"陽"に向かうストーリーにより、
「洗えば落ちるわよ!」などと軽口まで飛ばしてしまう。
もっとも、「ザ・クリーナー」においてもサミュエル親父が
ウィルスに感染してワクチンを打たないと死ぬなどという
アウトブレイク的なバイオハザード的な要素はありません。
ときに飛行中のジャンボの中で大量の毒蛇と格闘しても
怪我一つ負わないこの親父ならば感染の心配もなさそうですが。
むしろ、「ザ・クリーナー」が「サンシャイン~」と
対極にあるのは「現場の清掃を終えても悲しみは拭えない」
という、いつまでも疼く心の傷を抱くような視線です。
最初はサイドストーリーに思えたサミュエルの家族の、
サミュエルの妻を殺人事件で失ったトラウマから、
その娘が未だに逃れられない悲しみを抱えていることが、
本来のメインストーリーなのだと思います。
「サンシャイン~」が自分の心の傷を笑って涙で洗ったあとは
すっきりと立ち直っていくポジティブ思考という印象からすれば、
哀切と呪縛のネガティブで溢れています。
「サンシャイン~」においても、主役の女性二人の母親が
幼い頃に自殺によって死別しているというのに。
作品の筋は、ある日サミュエルが清掃に行った事故現場の
請求先の住宅を訪ねていったら全く知らぬ顔をされ、
その事件を元警官のサミュエルが調べ始めると、
警察の汚職体質が見えてきて・・・・。
犠牲を出しながらも事件は解決をみるも、
その度に新たな悲しみは重なっていき・・・・と、
やはりポジティブにはいかないやりきれない話。
やはり某誌批評でも指摘される様に、
「女性よりも男性の方がよりセンチメンタルである説」は有力?
「サンシャイン・クリーニング」は女性監督・女性脚本家、
そして女性二人の主演と女性パワーに溢れているのです!
対して「ザ・クリーナー/消された殺人」、
主役がサミュエルならば、その親友役もエド・ハリスと渋い。
監督は・・・・なんとレニー・ハーリン。
最近はどうもいい話を聞かない御仁でしたがこれはなかなか。
こちらは皆、50代以上です。がんばれオヤジ!
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