現実と虚構の交錯 ~ 帝都物語・帝都大戦2009年08月05日 22時58分33秒


先日、ミヤギテレビの土曜深夜映画枠「映画の王様」で
二週に渡り荒俣宏原作シリーズ映画
「帝都物語」「帝都大戦」を放送していました。


「帝都物語」の映画版を初めてみたのは小学校の頃。
平将門の怨霊を蘇らせて帝都・東京の破壊しようとする
呪術をも身に付けた謎の軍人・加藤保憲。
それに立ち向う切り札として
人造人間・ロボットとされる學天則の活躍。
この二者のインパクトが強烈なために、
幼い記憶にはそれしか記憶されておらず、
原作の小説は現在まで読んだことがありませんが、
改めて見返すと新しい発見があります。

当時は役者の名前など知りませんでしたが、
加藤を演じているのはいまや個性派俳優・嶋田久作。
しかもこれが映画初出演とは信じられんほどの存在感。
この「低音」「不気味」「感情の起伏が無い」というのが
未だに嶋田久作の役の特徴で、本人のイメージとイコールと
なっているため、役者の幅としてはどう思っているのか
気になるところですが個性がありすぎてコメディ路線にも
そのまま出演しているところがあるので仕事は多い様子。

「ハゲタカ」などでもそんな役を演じていますが、
何に出演しても裏の顔がありそうなイメージが拭えないので
私などは勝手に「和製ドナルド・サザーランド」と呼んでいます。


佐野史郎は当時もこの手のジャンルに出演しているのだなあ、とか
石田純一は今のイメージからは考えらない配役だなあとか、
桂三枝やいとうせいこうのキャスティングは
今の芸人のキャスティング路線になるのだろうかとか、
いろいろ感心したりツッコミを入れたり楽しく鑑賞しました。

実相寺昭雄監督、一瀬隆重プロデューサー、
木村威夫美術監督、コンテ・樋口真嗣、H・R・ギーガー、
今だからわかるBIGネームが沢山。
脚本の林海象も「濱マイク」を書く前ですよ。


史実や歴史上の人物を登場させ、
そこに呪術も科学もどんどん詰め込んでいく
現実と虚構が交錯する世界観は、私が触れたものの中では、
「女神転生」や「東京魔人学園」などの作品に
影響を与えていると思うのです。

ヒトラーが占星術を・・・とか、聖櫃・聖杯を探していた・・・とか
歴史の裏にちらつく怪しげな影、そんな話好きですからな。


「帝都大戦」は今回初めてみました。
監督は交代し、「帝都物語」でプロデューサーだった
一瀬隆重がメガホンを取ることに。
舞台は明治時代末期の前作から昭和・第二次大戦末期へ。
呪術で連合軍指導者達を呪い殺すという政府のトンデモ作戦と、
復活して再び帝都壊滅を目論む加藤の闘い。
ヒトラーまで登場してわくわくする話ですが。

でも、こちらはね。あまり。
嶋田久作の加藤以外は・・・特に印象に残るものは無かったです。


原作は昭和73年という架空の時代まで突入するらしいです。
と、いうか小説発表当時はまだ陛下はご存命であらされたのだ。
そして、昭和73年とは西暦1998年。もうそれすら過去のことだ!


ところで・・・・ね。
嶋田久作さんのブログがあるのですよ~!!
これを読むと凄い・・・・。
何かって、「え!?本人なの?」というのが最初の印象です(笑)。
ぜひ、お読みください

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