ホテル・ルワンダ2006年04月04日 21時41分45秒

人にはああだこうだ言っていても、
自分のこととなると途端に脆くなる自分でございます。
そんな自分に問いかける映画、「ホテル・ルワンダ」です。


1994年のルワンダで起きた、ツチ族による100万人のフツ族の大虐殺。
大国が黙殺する中、4つ星ホテルの支配人ポールは
避難民をホテルに匿い、虐殺者たちを翻弄し1200人の避難民を救う。

民族間の対立、平和維持軍の機能の問題等々、
考えることは様々ありますが、
一番問われることは非常にシンプルなこと。
「レッテルを無視した人と人同士の絆を結べるか」ということだと思います。

そもそもポールのようにツチ族とフツ族間での
結婚も珍しいことではないようで、
過去には明確な区別はなかったとあります。
それが20世紀初頭に大国にそそのかされ、利用され踊らされ、
いつの間にか民族対立を「教育」されるようにまでなってしまいました。
「憎め」と言われて憎むほど愚かな憎み方はありません。

映画の冒頭のちょっとしたやり取りですが、
事情をしらない外国のカメラマンが酒場で
飲んでいる客にこんな質問をします。
「彼女は何族?(ツチ族)」
「友達は?(フツ族)」
何気ないやり取りですが、二つの民族の全てが
憎み殺しあっているわけではないことが窺えるシーンです。
一部の過激派が過剰に相手を危険視しているだけです。
そんな図式は、何もこのツチ族・フツ族に限ったことではないでしょう。

アイツが憎んでいるのだから、俺も憎まなければならぬ。
無意識にそんな思考に陥ることがどんなに愚かしいことか。

ふと、こんなシーンを思い浮かべます。
「君は何人?(日本人)」「友達は?(韓国人)」「その隣は?(中国人)」

人と人は何をもって友となり、信頼を築くのか。
民族も国境も宗教も越えて、人と人が友となれるなら、
友が不当な扱いを受けているとき、
求められる行動はポールのように「隣人を守る」
というシンプルな行動だけでしょう。
それは決して、遠い大陸の果ての話ではないはず。


ところで、主役はあくまで「テーマ」であるため、
名優達はスターのオーラを消し、普通の人間を演じています。
そしてホテルのティレン社長はフランスの誇るあの名優です。
しかし、その名はパンフレットやポスター等宣伝には一切登場しません。
明記すれば間違いなくビッグネーム。
しかし、それはこの映画の主張することではありません。
スター達の控えめな姿勢、私は好きです。

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