想いは空へ向って ~「地上より愛を I.F.O」2011年06月04日 23時26分30秒

さてそれではこちらの企画も復活させましょう。
世の中に埋もれたVHSビデオを掘り返す、
良いことなのかほっておいた方が良いのかわからない、
ただ、映画への偏愛を籠めて進めるのみ。

しかし、遂にVHSを大量に置いているお店も閉店し震災も重なり、
この企画も手持ちのVHS以外に範囲を広げることはまずないでしょう。

さて、今日の作品はハートフル・ジュヴィナルSF
「地上より愛を I.F.O」についてのこと。

原題 :IDENTIFIED FLYING OBJECT.
制作国:アメリカ
1987年 85分 日本未公開

監督:ウーリー・ロメル 
出演:ケリー・ジェーファー 
    キム・キンケイド 
    ポール・ロウ

高校生マックスはローカル飛行場のアルバイトをしていた。
滑走路の一角に警戒厳重な格納庫があった。"一体なんの為?"
マックスはセキュリティコードを盗み出し格納庫に潜入した。
そこでは人工頭脳を持ったミニ・ヘリコプターの極秘実験が
行われていた。ミニ・ヘリコプターはレーザー銃を持ち、自己
判断でターゲットを攻撃できるものだったのだ。そして、感情
さえ持ち始めていた。しかも、人間に対する憎しみを・・・・・・
ヘリコプターが感情を持つという奇抜なアイデアの「地上より
愛を I.F.O」。監督は「死霊の鏡 ブギーマン」等のホラーの
才人ウィリー・ロメル。今回、初めてのラブ・ファンタジーに
挑戦している。マックス役のテリー・ジェイファーは5千人の
中から選ばれた新人子役である。

<以上、VHSパッケージ裏面の記述より>

「I.F.O」とはなんぞや?と思うでしょうけども、
原題の単語の頭文字の略ですね。なぜそうしたのかは分かりません。
ただ、意味は「飛行物体との心の交流」とでも言うべきでしょうか。

そして「地上より愛を」、地上はやはりというか「ここ」と読むそうです。
でも1953年の「地上より永遠に」から取ったということは考えにくく、
むしろ、1984年の「スターマン/愛・宇宙はるかに」などの、
なんとなくのイメージからつけられたものではないかと推測します。

しかし、そのなんとなくハートフルでしっとりした神秘性のある響きも、
パッケージ裏面で「死霊」という単語をもちだし、監督の過去を
ばらしてしまえばみもふたもないことだと思いますし、
フィルモグラフィのなかではやはり異彩を放っています。

サム・ライミなど引き合いに出すまでもなく、妙な仕事を映画界がさせるのか、
はたまたホラーばかりじゃないのだよそれは腰掛よという野心の表れなのか、
一作ぐらい子供に胸張って見せられるもの作りたいよな、
ということなのか想像するだけ想像しておいて次に行きましょう。
とりあえず、ウーリー・ロメルのこれ以後の方向性はまた戻っていった様です。

さて、そんな本作の中身ですが、前述のストーリー紹介では
なんともホラー的な殺人マシーンのご登場をねがうかのような記述ですが、
実際のモノ、ミニ・ヘリコプターの「レム」はまるで違います。
感情を持ったレムは、研究者達から思わぬ副産物として抹殺されかけていました。
レムが人間に対して敵意を見せたのは、あくまで、その研究者にのみ。
すなわち、自分に危害を加えられるから身を守るための攻撃です。

その攻撃手段にしても、ただレーザー光線で焼き尽くすのではありません。
照射した相手の感情などに作用する特殊なレーザーを放つのです。
このレーザーによって研究者達はあたまが少し影響を受けてしまいます。
だからレムが感情を持つことを研究者たちは危険視したのです。


むしろお話は、壊されるのを待つレムを救出して格納庫から連れ出した主人公との、
温かい交流を育む様子を追っていくハートウォーミングな展開すらあります。

80年代のアメリカ映画で描かれたロボット達と言えば、
「ターミネーター」の半分人間の様なロボットの殺人マシーンや、
「ブレードランナー」の様な感情面でも人間に迫るアンドロイド達、
その一方で、「ショートサーキット」「ニューヨーク東8番街の奇跡」など、
小型で愛嬌のある、人間のトモダチの様なロボットもいたものでした。

本作のヘリコプター・レムも、そのような"ともだち"の一人と言って良いです。
ヘリコプターの全部に搭載された二つのレンズが目玉の様に動くのは、
まさにそんな表現の現われに他なりません。

コンピュータオタクの主人公のマックス少年の両親は離婚しかけており、
家庭内の問題に悩まされ、もやもやとした学生生活を過ごしていたところ、
レムに出会い、全てが丸く収まる方向へ回っていきます。
レムの戦意を喪失させる感情制御レーザーで
両親の不仲も万事解決させてしまうのでした。

外を飛び回る自由を得たレムに自分の想いを重ねたマックス少年。
二人の間には友情のようなものが芽生え始め、というところで!
もっと飛び回りたいレムはマックスから離れて方々でトラブルを起こし、
開発者の手で格納庫の主電源を切られ、帰還途中にパワー不足で失速、
ついに空軍によって回収されてしまいます。

ピンチに陥るレムとマックス。あわやレムは解体されてしまうのでしょうか。
と、思いきや軍はレムの予想外の進化を評価し意外とあっさりハッピーエンド。
レムとは分かれることになるものの、この一件を通じてラストは、
マックス少年がひとつ成長した様子を漂わせる感で清々しく幕を閉じるのでした。

たぶん、ラストはハッピーエンドにもっていかなければならなかったと思いますが、
その後の時代の「Xファイル」などの洗礼を受けた僕には、
そう簡単にはこの後ハッピーな結末にはあまり思えないのですよ。


この作品で特徴と言えば、空撮浮遊映像がかなり多いこと。
気持ちよく飛び回るレムの視点から見たアメリカの風景と、
マックス少年のどこかへ飛んで行きたいという表情に重ねて挿入されます。
このあたり、もっと丁寧にやっていればと想うのですが、
後者はかなり不思議な映像というだけで終わっているように想うのでした。

85分という尺は恐怖に慣れるか慣れないかのホラー映画には適した尺ですが、
人間ドラマに重きをおく本作には少し短い尺で、もう一山必要だったように思うのです。
マックスとガールフレンドや、マックスと警備員の関係、空軍たちも希薄であり、
例えば前述の「ニューヨーク東8番街の奇跡」などはヘンテコ住人たちも魅力でした。
面白いのはレーザーを照射されて奇天烈なことを口走る開発者の二人。
あれが台本のないアドリブなら結構なものです。
レムの存在は目をひくものですし、この様に惜しい作品は山の様にあります。
こんな作品があったね、といつか語る日が来ることを。
ところで、レムの名前の由来は、スタニスワフ・レムなのでしょうか?

ほっと一息で、オランダカツ ~「とんかつ 福助」2011年06月05日 23時48分30秒

台原のドンキホーテの2Fにある、とんかつ屋さん福助にて食事です。

ドンキホーテのようなお店はオカシな商品の積み重ね方をしているので、
この震災でむちゃくちゃになっていると思いましたが、
わりと立ち直りは早く、こちらのお店もすっかり元通りに戻っていました。
駐車場がボコボコしているのは昔からという声もあります。

福助さんに行ったのには、名物ぶらっくチキンカツが食べたかった、
ということもあったのですが、何やらこの日はメニューにありませんでした。
なので、オランダカツ定食を注文。

オランダカツ、という名が聞きなれない方もいるかもしれませんが、
普通のとんかつではなく、豚肉をミンチにしてチーズを巻いて揚げたカツです。
肉の間からとろけるチーズが混ざり合う、なかなかクセになるカツなのです。

バリエーションとしては例えばシソや海苔が巻かれていたりとか、
チーズがスティック型だったりキューブ型だったりします。


福助のオランダカツは、豚肉をミンチにはしておらず、
何層かの薄切りの豚肉の間にチーズを織り込む形になっています。
このため、歯応えある肉の食感も合わさって美味しく頂けます。

ゴマをすり潰す、というのは最初はどうやったら良いのか分かりませんでした。
すり潰すまでは良いのですが、はてさて、これをカツに塗すのか・・・?
正解はすり鉢の中にソースを入れ、カツをつけるつけダレ方式らしいです。
でもカツにゴマを塗してその上からソースをかけてしまいました(笑)。

久し振りにとんかつ屋さんのとんかつを食べ、とっても美味しかったです。
現在はドンキのなかにありますが、福助さんは創業30年以上を重ねた老舗。
おばちゃんが「スリランカの紅茶美味しいよ~!」と、
(なぜ、とんかつ屋で"ハイカラ"な紅茶なのかは言いますまい。)
きさくにカップを置いていってくれる雰囲気がほっとしますね。


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<とんかつ 福助>
■住所  ;仙台市青葉区台原1-7-40 MEGAドンキホーテ仙台台原店2F
■営業時間:11:00~15:00、17:00~21:00(20:40L.O.)
■定休日 :不定休
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時の涙は再び見えるのか・・・ もうすぐガンダム新作発表へ2011年06月06日 23時55分34秒

なにやら、ガンダムの最新作が発表になるとのことですね。
ガンダムUC(ユニコーン)の新しい発表かと思いましたが、
正真正銘、まったく新しいガンダムになるようです。

■ガンダムインフォ
 http://www.gundam.info/topic/5700

まさか、封印されかけてる劇場版ガンダムSEEDじゃないですよね?

さて、ガンダムと言えばもはや巨大コンテンツであり神話であり、
アニメのなかでも玩具の中でも別格の存在です。
特撮においてはウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊シリーズが
長い長い歴史を築き上げてきましたが、アニメにおいて30年以上多くの人に支持され
継続的に新作を発表してきたのはガンダムだけということになるのでしょうか。
(中断が無かったというわけではありませんが。)

ウルトラマンやライダーの様に形を様々に変えて現在に至るシリーズの様に、
ガンダムもまた形を変えて現在まで至っています。
戦争を描くストーリーを根本から大きく変えた「機動武闘伝Gガンダム」。
額にアンテナ、後は口があればガンダムという記号を大幅に変えた「ターンAガンダム」。
主幹となるテレビシリーズに加えて昨今はコミック、小説、ゲームでも
独自の進化と派生を生み出して世界観を広げていくその巨大な地平は、
最早、一人のファンの頭の中だけで処理しきれないのではと思います。
(そんなことを言ってしまうのは、もうついていけないオジサンかもしれない)

同じことだけをやって否定されるのも常のことであれば、
逆にあまりの変化球を投げたゆえに否定されてしまうのもまた常です。
支持されるのは常に、時代に合っているか、人々が求めているか、だと思う。

しかし、ウルトラマンやライダーや戦隊シリーズと、ガンダムの変化の違いは、
前者が表面上の変化があってもその芯は実にシンプルであることが多く、
勧善懲悪と一概には言えないにしても、それに近いとは言うことができ、
人々を守り平和を祈り、友を愛し絆を育み、それを脅かす者に立向かう、
その根本の部分はほぼ一貫していて、変わることはそうそうない。
あくまで対象年齢は低くしているため、ついて来れないものは基本的に作らない。
ついてこないときには作品のカラーさえも積極的に軌道を修正していく。

対してガンダムの変化は、根本をも揺るがすことも辞さず、
ときとして僕らの違和感を煽り誘う様にすら思えるほど、
積極的に示すのは先へ促すことで、ついてくるのを待とうとしない様に思える。
深いということではない、変化に対する考え方が根本から異なっているのではないか。
それが、作品ごとの姿勢に大きく影響し、ときには定番を捨てることも辞さず、
時代にあうものよりも、支持されるものよりも先を目指すか回避しようともする。
だから一方で熱烈な支持を受け、一方で過剰な拒否反応を示されることが多い。

キャラクターやメカニックも魅力のひとつだが、30年前と違い、
昨今、それらはビジネスと密接に関わりをもち、性格付けや造型にも影響する。
事実、バンダイの屋台骨を支えている商品ブランドなのだから、
そしてバンダイが傾けば当然、ガンダムにも影響が出てくる。
ここまで恐竜化もしたのだから仕方がないように思う。
あとは、どう付き合ってくかによるのであって嫌うほどのものでもない。


現在の僕はガンダムに一定の距離を保ち、ドライに見ながらも楽しみに見守っている。
自分でもノッて見ていたのは「ターンA」まで、それ以降は「一応」観たという感じです。
とはいうものの、新作が発表されるとなればやはり心は湧き立つし、
プラモを店で眺めれば作りたい血も騒ぐこともある。
次はどんな作品になるのかは全く未知ではあるけども、まず、楽しみに待ちましょう。
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