伝えすぎた男 「アウトフォックス ~イラク戦争を導いたプロパガンダTV~」 ― 2011年01月20日 23時44分44秒
世界に支配を広げる巨大ネットワークの暗黒面を暴く
「アウトフォックス ~イラク戦争を導いたプロパガンダTV~」
についてのこと。
「アウトフォックス ~イラク戦争を導いたプロパガンダTV~」
についてのこと。
■「松嶋×町山 未公開映画祭」作品紹介
http://www.mikoukai.net/021_outfoxed.html
原題:Outfoxed
2004年 アメリカ (78分)
監督:ロバート・グリーンウォルド
アメリカで視聴率№1のニュース、FOXNEWS。
その広大なネットワークを所有するメディア王ルパート・マードック。
1954年に新聞社からスタートした彼の勢力範囲はいまや、
衛星放送、テレビ局、新聞、雑誌、映画と支配を広め、
全世界の人口の4分の3に及ぶ人々が彼の影響を受けているといいます。
この映画の冒頭はマードックの絶大な権力から導入部を開き、
本論はそのFOXNEWSの、特にブッシュ政権下における
極端に共和党寄りの偏向的な姿勢を糾弾していきます。
本論はそのFOXNEWSの、特にブッシュ政権下における
極端に共和党寄りの偏向的な姿勢を糾弾していきます。
大げさなテロップや速報の挟み方の乱用などはまだ、
視聴者をひきつけるための必死のテクニックではあるものの、
共和党側と民主党側のパネリストの討論のメンバーの構成比を
共和党側が6割以上の勢力になる様に比重を置き、
民主党側は中道・穏健派を集めてくるなど確かに狡猾なやり方です。
なかでも辟易するのはFOXきってのトップキャスター、
ビル・オライリーの番組内におけるゲストに対しての姿勢であり、
自分のもって行きたい方向のシナリオを用意しておき、
もしゲストが彼の意にそぐわない発言や態度を示したりすれば、
機嫌を悪くするなどというレベルではすまされず、
声を荒げて憤激し相手に発言の機会を与えず「黙れ!」と言い放つ。
あるいは最初から相手を怒らせることを計画しており、
わざわざ招いて番組内で叩き潰すことを目的としているとも言える。
日本でこんなことをすれば即刻解雇になるところですが、
このようなあきらかに人格に問題があると思われる人物が君臨し続けるのは、
多数の視聴者に求められているということの表れでもあり、
あらためて、そのような一部のアメリカ人の志向には唸ってしまいます。
(共和党支持だろうと、民主党支持だろうと、どちらであっても
相手に対する礼節を欠いた言動ならばそれを批難すべきでしょう。)
このようなあきらかに人格に問題があると思われる人物が君臨し続けるのは、
多数の視聴者に求められているということの表れでもあり、
あらためて、そのような一部のアメリカ人の志向には唸ってしまいます。
(共和党支持だろうと、民主党支持だろうと、どちらであっても
相手に対する礼節を欠いた言動ならばそれを批難すべきでしょう。)
キャスターが、またはニュース番組自体が意見を持つこと、
あるいは持った意見を主張して良いのかということを、
日本では「とくダネ」の小倉キャスターがその是非について
以前話していたのを耳にしたことがあったと記憶しています。
その話の詳細は注意して聴いていたなかったので忘れてしまいましたが。
FOXほど極端なものではありませんが、日本のテレビ局においても
番組とキャスターごと、同じ事実を伝えるニュースであっても
微妙な差異が現れており、各々右だの左だのとも言われています。
ジャーナリズムとしては中立が本来のあるべき立場なのでしょうが、
残念ながらというべきなのか、古来より中立を保つことは難しく、
社会情勢下で巧みに利用されたり、逆に利用したりもしてきました。
番組とキャスターごと、同じ事実を伝えるニュースであっても
微妙な差異が現れており、各々右だの左だのとも言われています。
ジャーナリズムとしては中立が本来のあるべき立場なのでしょうが、
残念ながらというべきなのか、古来より中立を保つことは難しく、
社会情勢下で巧みに利用されたり、逆に利用したりもしてきました。
番組ごとに特色を出す必要があるかということについては、
報道の中立性とは本来別種の次元の事情であると思いますが、
複数のTV局、ニュース番組が共存していくためには必要でしょう。
同じ様な番組ばかり用意するわけにはいきません。
また、一局だけの報道はそれはそれで偏ってしまう危険があります。
そのような経営などの事情からの悩ましい模索の中で、
視聴者に別の側面からの見方を示す目的ならばそれはあって良いわけで、
むしろ視聴者の視野を広げるべくそうあるべきだと思うのですが、
ただ、FOXNEWSは公正中立を謳いながら、押し付け、自分達こそが正しい、
そう言い切ってしまうかの様なやり方はやりすぎであったと思います。
忘れてはならないのは、偏ってはいても、事実無根の捏造ではないのだから。
危ういのは、彼らの事実の伝え方によって新しい事実ができあがること。
民主党と共和党という思想の異なる二大勢力が鬩ぎ合いながら
政治に臨むというのも、本来は一方の考えに偏り過ぎないように
均衡を保つためという視点からも成立していたはずではないか。
政治に臨むというのも、本来は一方の考えに偏り過ぎないように
均衡を保つためという視点からも成立していたはずではないか。
ところで、この映画を見るとFOXNEWSがとんでもない悪の権化で、
「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」の様なメディア帝王に見えますが、
(実際に一番最初の映像は「ゴッドファーザー」から使用しています。)
この様な操作をFOXが行っていたのだなと思うとハッとさせられます。
この映画そのものも冷静に見つめなければ見えてこないものもあるはず。
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