特攻野郎Aチーム/THE MOVIE2010年08月23日 23時08分08秒

「特攻野郎Aチーム/THE MOVIE」のパンフを読んでいると、
存命であれば、みのわあつおさんが原稿を書いたのかなと
勝手な想像を膨らませてしまいます。


「特攻野郎」

ああ、「特攻野郎」

なんと良い響き。「特攻野郎」

タイトルだけで魅了されてしまう。「特攻野郎」

ちなみに「冒険野郎マクガイバー」も良い。


「特攻野郎Aチーム」は1983年~1987年に放送されたアメリカのTVドラマ。
スミス、ペック、マードック、バラカスの4人組野郎どもが
人を泣かす悪をぶっとばす痛快娯楽アクションシリーズ。
日本では1985年~1988年に放送され、
羽佐間道夫・安原義人・富山敬・飯塚昭三という、
今では絶大なる信頼の面々で吹替えられてる。

僕が特にこの頃の(今でもだけど)海外ドラマやアメリカ映画で好きなのは、
一にも二にもウィットでエスプリの利いた(ときにダーティでもある)台詞回し。
「こちらブルームーン探偵社」の那智ウィリスももちろんのこと。
最近ではカナダの「リ・ジェネシス バイオ犯罪捜査班」が良い。
ただし、日本語吹替版に限る。特に野沢那智や安原義人なら言うことは無し。

故に今回の「Aチーム」も敢えて日本語吹替版を選びました。
菅生隆之、堀内賢雄、乃村健次、多田野曜平。良し!
おまけに羽佐間道夫も安原義人もちらと出ている。


さて、監督はジョー・カーナハンと聞いて「そうか!」と膝を打つ。
そしてこの監督が「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」
を監督したと初めて知る。映画は劇場で見ていたのに。

カーナハンはデビュー作「ブラッド・ガッツ」で鮮烈なデビューを飾る。
100万円相当の予算で1987年に制作し高い評価を得る。
日本では劇場未公開作品とされており、僕は10年ぐらい前に深夜放送で見ました。
いかにも低予算の香漂う作品であるものの、妙に記憶に残る作品ではあった。
そのため、今年の初めのワゴンセールでDVDを購入してしまいました。

DVDにはこう書かれている。
「ネオ・タランティーノ、ポスト・ロドリゲスの登場!」。確かに近い。

しかし、その後とんと噂を聞かないと思ったら2007年の「スモーキン・エース」。
監督の名前は意識せず、アリシア・キーズしか見てなかったから。
それに、カーナハンは「Aチーム」で長編作品4作目らしくやや寡作。
それでも確かな的を外さない腕を揮っているから素晴らしい。
エースの後にAチーム。こりゃ良い巡り合わせだ。
(間に「M:i:3」の監督になりかけたけども。)

監督2作目の「NARC」は未見ですが、「スモーキン」「ガッツ」もまた
流れるような演出で台詞回しとアクション&バイオレンスが惜しみなく盛込まれてる。
ならばこの「Aチーム」の出来も納得できようというもので。
近頃、ノンストップアクションムービーと銘打っておきながら、
途中途中ヘタなラブやらベッドやら親子愛やらいれたおかげでダレるものがある。
本作は少なくとも山は4つ、間の谷では緊張とユーモア、全体の流れを乱さない。
長さも118分で丁度良い。90分台では小品だし、150分越えでは疲れる。

目玉はやはり刑務所からの脱出→空中戦の逃亡劇。
「プリズン・ブレイク」の苦労も吹き飛ばす脱獄のあと、
空に逃げ、そこから積荷の戦車に乗り込んで"空を飛ぶ"。
実際、あんな方法で空は飛べないだろうし、
一歩間違えれば「TAXI」シリーズのネタになる。
しかし、理屈で考えては楽しめない。
ハイボルテージな溢れるアドレナリンで望まなければならない。
あそこで笑い、血が滾らなければ、この先の人生もきっとツマラナイだろう。


舞台は現代に及ぶ脚色はあるものの、「Aチーム」の男達の絆があれば、
いつの時代でも良い、そう、いつの時代でも彼らの友情と信頼はかっこいい。
「Aチーム」はアクションと笑いだけではありません。
人間の本当の信頼が底流に流れているドラマです。


特にバラガスとマードックのケンカ組を見ていれば分かるように、
まず信頼がある。そして絆がある。それ故、任務達成ができる。
どんなクレイジーな奴でも困ったことをしでかす奴でもいいから、
ただ相手を信じてさえいれば良いのだ。それこそ達成への道。
気に入らないことをするからと言って疑念を抱きはしない。
それがプロであり、真に強固なチームです。

彼らはとてつもなく幸せだ。
人生のうちに背中を預けられる人間が3人も、それも一同に揃っているのですから。
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