太陽の塔2008年11月14日 23時00分47秒

浦澤直樹原作の同名コミックの
映画版「20世紀少年 第1章」についてのこと。


ざっくり第1章の物語を述べると、
20世紀の末に、"ともだち"と呼ばれる人物を中心とした
新興宗教と思しき集団が現れる。
そして諸外国の大都市で細菌テロが起こり、
日本では空港が爆破される事件が起こる。
すべては、うだつの上がらないコンビニ店長・ケンヂと
その幼馴染が少年時代に空き地の秘密基地で描いた、
「よげんの書」のシナリオ通りの事件だった。
"ともだち"は幼馴染のうちの誰からしい。
浅からぬ因縁で巻き込まれていくケンヂと同級生達は、
やがて1999年の大晦日に"ともだち"が計画する終末を
止めるために立ち上がる。


全22巻+21世紀少年2巻のうち10巻以前ぐらいのところまでが
今回の第一章として映像化されました。
原作はこの後、1999年の大晦日から月日が流れ、
幼かったケンヂの姪・カンナが高校生に成長し、
彼女を中心に日本の統治者として君臨する
"ともだち"勢力と対決していきます。

おそらく、第2章は死んだと思われたケンヂが
ギターの渡り鳥のように再登場する時までを描くと思われます。
最も、まとめきれるかはまだ微妙なところであるため、
原作とは全く違う展開となるという噂もまことしやかに囁かれます。

10巻以前ぐらい、というのはこの原作はケンヂの少年時代から
20世紀末のケンヂ達、そして21世紀後のケンヂ達と複数の時代を、
あえて順序を前後させて組替ながら描いている一方で、
映画版はそれを少年時代の回想以外は概ね
時系列順に再構築しているためです。

とりあえずはこの再構築は正しい判断だと思います。
好きに読み返し、スピードを調整できる本と違って、
映画はどんどんシーンが流れていき、
意図的に時系列を崩した作品はごまんあれど、
この作品はこの後、先の3つの時代のみならず、
"ともだち"の少年時代を再現したバーチャル空間が登場しつつ、
さらに現実世界にもその頃を再現したテーマパークが登場するため、
漫画通りに崩していたら映画から入った観客を
悪戯に混乱させるだけになります。

その他、映画はケンヂの仲間達、オッチョの海外での活躍や
マルオ達の今昔のあれこれをざくっと削ぎ落とし、
主人公ケンヂと第2の主人公カンナに極力焦点を絞り、
また"ともだち"の正体を探るミステリへと密度を濃くしています。

と言っても、映画鑑賞時には原作を読んでいなかったので、
その後に全巻読み終えて改めて振り返ったものです。
にもかかわらず、映画版鑑賞終了時には
続きが気になって仕方がありませんでした。

もちろん謎を残して話が終わらないからという理由もありますが、
何よりも、ラストで登場する女子高生になった遠藤カンナ、
平愛梨のなんと浦澤直樹的なビジュアルであることか!
プロフィール上の24歳ではちょっと大人過ぎないかと思いましたが
さすが3000人のオーディションから選ばれたのは伊達じゃない。
あのシーンを見た瞬間、期待は一気に膨れ上がりました。
2009年1月31日の第2章公開が待ち遠しい。
そして第3章が2009年秋等とはなんと殺生な!
そのタイミングなら普通はGWのはず!

原作を読んでしまうと、良いと思っていた
佐々木蔵之助のキャスティングに物申したくなったり、
佐野史郎の双子役は、ニコラス・ケイジの双子(「アダプテーション」)
に匹敵する映像だなと、いろいろ思うところがあります。
何にせよ、次回が楽しみ。
Loading