散歩してきた惑星2008年11月01日 23時39分40秒

それにしても昨夜は当初の予定では
「千の風になって」の新井満さんの朗読の如く
紳士にいこうと思ったのに、
どうもあの場に漂ったカオスの歪が
私のダークフォースを増大させて暗黒面に陥れたような気がします。

おかげで今日は脳みそが頭の2、3m上ぐらいに
浮遊しているような靄がかかった1日でした。

夜になってようやく標準にチューニングできてきたので
心落ち着けて折り鶴でも。
色々凝った折り紙は数あれど、やはり鶴ほど華麗で
奥が深い折り紙はそうそうないと思います。

今日の鶴は「二重の鶴」と「五色鶴」
折り方はこちらのサイトを参照しました。
http://www.kvision.ne.jp/~bird/orituru/orituru.htm


五色鶴は五枚の折り紙をあわせますけど、
1枚1枚の大きさは千羽鶴用の小さい紙の方が
最終的な大きさが丁度良いものになります。

逆に二重の鶴は標準サイズの折り紙で
ミニサイズになるかと思います。

五色鶴の五色は「ゴレンジャー」のカラーに合わせてます。密かに。


さて寒さも一層深まるばかりの11月1日。残すところあとわずか。
何まで?そりゃもちろん地球が終(以下略)。

11月の映画はハリーポッターが来年に延期されたので、
12月にディカプリオ主演「ワールド・オブ・ライズ」が当てられたものの、
仙台の11月はというとカオス化が目立ち逆に楽しいかも。
私の鑑賞予定は以下の通り計20本。

「レッド・クリフ」「TOKYO!」「アイズ」「七夜待」
「放送禁止 劇場版 ~密着68日復讐執行人」
「ハンサム・スーツ」「まぼろしの邪馬台国」
「櫻の園」「彼が二度愛したS」「トウキョウソナタ」
「ジャージの二人」「ベティの小さな秘密」
「ホット・ファズ/俺たちスーパー・ポリスメン」
「ブラインドネス」「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」
「1408号室」「僕らのミライヘ逆回転」「D-WARS」
「俺たちダンクシューター」「コレラの時代の愛」

1番楽しみなのは「ホット・ファズ/俺たちスーパー・ポリスメン」。
イギリスのコメディですが日本劇場上映のための
署名活動まで行われたという逸品。
署名活動をしたのは近年では全く違うテーマの「ホテル・ルワンダ」
が記憶に新しいですが、コメディでそこまでさせるものとは?


明日は午前中から昼にかけて
仙台市内の古本市と「火星の庭」へ出没予定。

仙台通りのカフェ2008年11月02日 22時56分15秒

気づいてみれば3、4日ぐらい前は新月だったようで、
ちょっとカラダもココロも?な面があったのはそのせいでしょうか。
それがこれから満月に向かって月が満ちていくので
たぶんだんだんよくなっていくと思われる。

というのは話半分に聞いてくれて良いですけどね。
別にアブナイ話をしようと言うわけではないので。


予告通り仙台古本市の会場の一つ「火星の庭」に出没しました。
今回の古本市はこの火星の庭と、以前このブログでも紹介した、
「古本とコーヒーあります」の「マゼラン」と、
青葉区一番町の「stock gallery&atelier」(まだ行ったことがありません)
の3店舗で、市民の提供する古本が販売されるもの。

「火星の庭」

http://www.kaseinoniwa.com/

愛宕上杉通のCATVが角にある交差点をアエル方面に曲がると、
パン屋「カスクルート」の左隣にあるブックカフェ。
看板は遠目には分かりづらいのでそのパン屋を目印に。

存在は数年前から知っていましたがちょっと行きにくいので
そのままになっていたところ丁度良いイベントがあったので、
念願かなって拝見することができました。

本とカフェの関係は珍しいことではありませんが、
その両方が売り物となると両立が難しいもの。
ですが、ここは入ると直ぐに良いバランス・良い雰囲気と感じました。
初めての古本屋では棚を隅から隅まで眺める私ですが、
なかなかディープなものがあります。
それでいてブックオフなどとは違い、
物の価値を相応に分かった値段がふられていると思います。

そしてカフェスペースは思ったよりゆったり目の8人収容。
なんちゃって的なところは微塵も無く、
メニューも一般のカフェと十分競う種類が並びます。
入ったときから店内に漂っていた香辛料の香に誘われ、
オリジナルのセイロンカレーを頂きました。
ひよこ豆とレンズ豆のココナツカレーで、
肉無しのベジタブルですが辛味濃厚で美味い!
食事だけのために来ても全然大丈夫。


さて、その店内で気になった本が「仙台のカフェ」という
プレスアートのS-stye臨時増刊号。
以前、職場の仲間のタマさんから聞いた雑誌ですが
ここで現物を初めて読みました。

似たようなテーマの雑誌は最近DCの影響もあって何冊か
推されていますが、これが一番「行ってみたくなる」と思います。
いつも前を通っていてどんな店内か気になっていたけれど
結構渋い雰囲気のようだったりと発見は多かったです。
ポップなのよりもアンティークが多いのも私好み。
行きやすいところが多いので何個か実地見分に行きましょう。
もちろん資料として購入致しましたよ。


ところで、どの情報誌を読んでも、
我が心のマイフェイバリット・カフェにして、仙台で一番のカフェ、
「ni vu ni CONNU cafe」が掲載されていないようです。
ブログ等の口コミで来る人も多いみたいですし、
ライターの耳にも当然入っていると思いますが、
もしかして敢えて断っているのでしょうか。

これまでにタウン情報に載っていたときも、
当時公開されていた映画にちなんだ限定メニューの紹介、
ぐらいのものであの店がピンで紹介されているのを
見たことがありません。

でも名前の意味がそもそも「ひっそりと」というような意味なので、
大々的に紹介されない方が良いですね。
いつも静かにそこにある。そんな神秘性に私も惹かれるのですから。

しあわせまで2008年11月05日 23時15分46秒

藤竜也、中谷美紀主演の「しあわせのかおり」についてのこと。

<物語>
王さんが営む、街の小さな中華飯店「小上海飯店」は、
ほっとする味と王さんの人柄で地元の人々からの信頼が厚い。
ある日、店に訪れた貴子はデパートへの出店を要請するが、
王さんはあくまで店に訪れるお客さんを第一に考え断る。
貴子はその後、毎日店に通いメニューを次々に食べていく。
そんな時、王さんが脳梗塞で倒れ、医師の診断では、
もう店に立つことは無理だとされ、事実、鍋も持てなくなってしまう。
そこで貴子は会社を辞め、王さんの料理の業の継承を望むのだった。


始まったときの空気感が良い。
季節は冬、登場人物も厚着をしていますが、
冬の冷たい空気がこちらまで漂ってきます。
太陽の光が強調され、日が当たらないところの冷気も感じます。
そして、この低温の空気感漂う空間こそが、
王さんの料理の温もりを最大限に強調する効果をもたらします。

料理は基本的に温かいうちに頂き、口に入れて胃に落ちるときに、
体温の上昇のみならず、安堵感と幸福感を味わうことが楽しみです。
また、作った人の人柄とその場にいる人間が作り出す雰囲気が、
料理の味わいを大きく左右するものだと私は信じます。

もちろん、王さんの料理の腕、人柄はまさに街のあかり。
ちょっと頑固ではあるものの、実直さが伝わってきます。

貴子は娘が一人いる母子家庭ですが、実は過去の出来事で
精神が不安定になりやすく、お役所が見守っています。
この所員が貴子に心無い発言をする時の王さんの怒号が凄い。
藤竜也はこういう眠れる獅子が咆哮を挙げるような、
堅固な信念の上にがっしりと立つ親父さんを演じると実に上手い。
ちょっと中村嘉葎雄と似た声色があって混同することがありますが。

貴子を演じるは中谷美紀。この人の顔はちょっとクセが強いので、
時々強烈すぎる場合がありますが、こういう線の細い、
やや薄幸そうな役はまたよく似合います。


この話は、料理のお披露目の場などが登場するものの、
料理修業の話でも普通の庶民からスターになる話でもありません。
そのためか、初めにあんなに重たくて振れなかった中華鍋を、
終盤ではあっさり振っていて、腕がめきめき上達する過程は
案外あっさりとすっ飛ばされているように感じます。

それよりもこの映画は、中国から渡ってきて数十年、
妻と子を亡くしてひたすら料理に身を捧げてきた人間が、
人生の終わり近くにおいて、自分の生きた証の継承者に出会えたこと。
「大河の一滴」のようであり(それほど大袈裟ではありませんが)、
そのしあわせを描いていると思います。
それは後半で王さんが中国の故郷を訪ねることにも
表れていると思います。

しかし、この監督は「村の写真集」でも藤竜也を、
技を伝授する側へ起用していますが、
その際も今回も、最後には藤竜也の出番を用意し、
継承者に対して「まだまだ青いぞ。お前はまだ卵だ」と
言わんばかりなのがにくい。

あくまでそれが庶民レベルで慎ましく描いているのが、
ほっとあたたかくなる理由ではないでしょうか。
最後の山場の、王さんの恩人の子供の結婚の祝いの席で
料理を振舞う場でも、この恩人が名士であっても八千草薫が演じると、嫌味でもけばけばしくもなく、市民感覚と離れない品のよさが出ます。

鑑賞後には温かい料理を食べた後のような安堵感があります。
「王さんの料理は飽きがこない」と劇中で評するような、
飽きがこない、じんわりとささやかな幸せ、
それでいてその幸せにいたるまでは長い道があるのです。
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