何もないことの意味2008年12月01日 23時18分39秒

堺雅人・鮎川誠主演、原作は長島有
映画「ジャージの二人」についてのこと。


なんともストーリーを物語るのも、語りようのない映画です。

会社を辞めた息子と、グラビアカメラマンだという父が、
何故か二人で北軽井沢の山荘でのんびり夏を過ごす。
婆ちゃんの集めた古い小学校のジャージを着て。
筋はそれだけの話。

しかし、都会生活は大変だということも強調してはいませんし、
スローライフも大変ねという皮肉にも踏み込んでいない。
ゆるゆる脱力系映画と思いきや笑いに徹してもいない。
素晴らしき映像美も無く音楽も奏でない。
物語の起承転結もはっきりしなければ大変動も無い。
ミニシアター・アート系映画の多くが持つ自己主張も無い。
それらが隠れていたとしても表には出てこない、
なんともつかみどころのない映画です。

予告編からしてゆるゆるスローライフという感じが漂っていた
映画「めがね」の中に「ここね、携帯電話が繋がらないの。いいでしょ」
という、私も好きなセリフがありますが、
「ジャージの二人」では逆に携帯電話の電波が唯一入る場所、
という山の中の穴場を登場させ、そこで近所の少女が
毎日一生懸命電波を捉えようとする、
初々しい場面が登場し、ほっと心和ませます。
なるほど、山地と携帯電話ではこういう演出もあったか、
と、なんだか先の「めがね」のセリフが途端にベタで捻りのない
ものに感じられてしまうくらいのシーンでした。


鮎川誠はロックバンド「シーナ&ザ・ロケッツ」のリーダーだそうで、
私は初めて名前を聞いたのですが、面白い人だと思います。
予告編で観たとき最初は大杉蓮かと思った程、役者だと思いました。
NHKドラマ「ちゅらさん」にも出演していたといいますが、
全然覚えていません。

面白ことは面白く「何もおきないことが意味がある」
という意味も感覚的に理解はできますが、
これを約90分座って集中してみることはかなり大きな懐を要し、
また多少の疑問を抱かずにもいられないと思います。

カフェ・ド ギャルソン2008年12月02日 23時33分05秒

11月28日、「トウキョウソナタ」と「ジャージの二人」を
仙台フォーラムにて鑑賞する間に時間があったので、
ちょっと足をのばして定禅寺通りの「カフェ・ド ギャルソン」へ。

カフェ・ド ギャルソン
http://gourmet.yahoo.co.jp/0003055151/

狭い階段を2階に上がり、入口から右がカウンター席、
左に行けば薄明かりの半個室スペースと、
その先に定禅寺通りに面したテーブル席。
テーブルから通りを望みたくもなり、
半個室で自分だけの時間を楽しみたくもあり、
温和そうなマスターと対面で飲みたくもなります。

「仙台のカフェ」によると、四半世紀の歴史があるとのこと。
その名の示すとおり、店内はフランス色が自然に現れています。
この日は雨模様の天気も相まって照明を抑えた店内は、
憂いがちに外を眺めたくなるような静かな雰囲気。

ランチはクロックムッシュとメニューの一部の飲み物のセット。
ここのクロックムッシュはホットサンドタイプ。
日頃は「CONNU cafe」のクロックムッシュに親しんだ私には新鮮。
ちょっと照明の光量が足りないので暗い画像ですが、
ちゃんと専用器でプレスされた綺麗な焼き目のついた、
ゆで卵を潰したふわふわのタマゴサンドでほっとする味です。

ただですね、当初の目的であったレアチーズケーキが
品切れとのことで食べられなかったのが実に残念。
オーシャンズの仲間から「マジ美味いです!」と
プッシュされていただけに腹がレアチーズモードだったというに。

そんなわけで近くまた再トライです。
今度はよく晴れた日に窓際の席でゆるりと。


ところで、表のギャルソンの白い看板と
隣り合うように白い看板があり、そちらもコーヒーショップ。
その名も「珈巣多夢(かすたむ)」

http://www.coffee-custom.com/

こちらも、30以上の歴史があるとのことで、
ご主人はヒゲ面のまさにマスターという井出達です。
同じヒゲ面としてこちらも気になるお店であります。

DVD便り2008年12月03日 23時21分06秒

師走なのでデザインで走ってみました。
週に一度、でもない今回のレンタルDVDについて。

まず、「HEROES/シーズン2」を全て鑑賞終了いたしました。
今回は23話あったシーズン1と異なり、11話で終了だったので直ぐ。
この短い話数については何回か書いていますが、
当初予定されていた全24話のシーズン2を
全米脚本家ストライキの対策として11話で
一旦区切ったことが理由とされています。
12話以降はシーズン3から語られている模様で、
シーズン3は26話の予定らしいです。

序盤の展開が遅い、と一部では説明されていますが、
これはあくまでシーズン1のラスト近くの盛り上りに
相対する形だからだと思います。
一旦事件は区切りをつけられており、そこから新たな登場人物、
既に登場した人物達の秘密等、シーズン1序盤の「予兆」を
思わせる「HEROES」的な展開であり、そのじっくりと描く姿勢が
昨今のCG過多の超能力戦争モノとは一線を画するものに
仕上げた理由だと思います。
もっとも視聴率が低下した等の理由で11話にして急展開します。

ヒロの存在がクローズアップされ、
我々世代の田村英理子が重要な役どころで
出演しているのはやはり嬉しい。



続いて、マシ・オカ繋がりで
「ブルース&ロイド ぼくらもゲットスマート」。
10月に日本公開されたスティーブ・カレル、アン・ハサウェイ共演の
スパイアクションコメディ映画「ゲットスマート」に登場した、
スパイグッズ開発担当のブルースとロイドが主人公のスピンオフ。

スピンオフに望むことは人それぞれあるでしょうが、
まず、派生元の世界観を損なうことなく、

スピンオフ主人公やその周囲のサブキャラの魅力を一層引き出し、
また派生元の強化を図ることができる様、
いわば大将を立てつつ自分の実力も発揮する副長役、
それを十分に考慮した作品であることが必要だと思います。

本作はDVD用として当初から作成されており規模は小さいですが、
そこがサブらしく控えめに、かつ遊びの幅は本家より広くです。
加えて本家にも登場するスパイグッズの裏事情、
本家時間軸の裏側で展開するシナリオ等、補完情報もあり。
単体でも気軽に楽しめる佳作だと思います。
マシ・オカの新たな魅力?をあなたに。



最後は「こわれゆく世界の中で」。
監督は今年3月に逝去したアンソニー・ミンゲラ。
主演はジュード・ロウ、ヒロインにはミンゲラと
「イングリッシュ・ペイジェント」で組んだジュリエット・ビノシュ。

現代のロンドンを舞台に、
パートナーとその娘と家族同然に暮らすジュードが、
夫と別れ子を連れてサラエボから逃れてきたビノシュと寄り添っていく。
ジュードとビノシュの二人は法的には結婚することは
できるかもしれませんが、状況はそう単純ではありません。

娘は自閉症でパニックを起こし、
ビノシュの息子は学校へ行かず不法侵入と窃盗を犯し、
サラエボの傷跡がビノシュ母子に影を落とすなど、
過去と現在と未来にあろう様々な痛みが彼らに影響し、
恋人、子供、隣人への同情・愛情・苛立ちが
一度に彼ら彼女らを呑み込み割り切れない感情が募っていきます。

問題に雁字搦めとなりゆっくりと崩壊していく、
二つの欠けた部分を持つ家族・親子の状況は、
監督の見つめる世界の縮図であり、
二人の女性、二人の子供達に最後にジュードが出す回答は、
その世界を修復する希望の行為なのかもしれません。


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