2008年のシネマ便り2009年01月03日 23時45分44秒

さて、2008年に劇場で鑑賞したシネマ227本の中から、
邦画・洋画、ドキュメンタリー、ベスト10を
独断と偏見に基づいて好き勝手に発表致します。

ただし、ご注意いただきたいのは、
仙台で公開された、ということなので、
首都圏やその他地方では差がありますことをご了承のほど。


昨年31日からの、私の煩悩ペルソナ108人衆と
日本野鳥の会による厳正なる集計と選考の結果、
途中、投票用紙の集計マシンがトラブルを起こすという、
ゴアVSブッシュの大統領選を彷彿させる事態に(以下略)。

なお、洋画についてですが、今年も部門を二つに分けました。
邦画を圧倒的に数で上回る洋画を少しでも多く発表したいと
去年から分けたのですが、単館系にしても、
大作にしても、境界線が実に曖昧。
国別も考えましたが、これも昨今の合作映画の増加で没。

そこで、仙台フォーラム、チネラヴィータ、セントラル劇場と、
ムービックス、シネマズ富谷、コロナのシネコン系で分けます。
でも両方で公開したものについては、やはり作品規模で分類。
結局は明確な境界線をひくことが出来ず。

では以下に発・・・・ゴンッ(堺正章がマイクに頭ぶつける音。)


<邦画>

1.おくりびと
2.その日のまえに
3.休暇
4.接吻
5.不灯港
6.闇の子供たち
7.ぐるりのこと
8.クライマーズ・ハイ
9.西の魔女が死んだ
10.実録連合赤軍・あさま山荘への道程

「おくりびと」と「その日のまえに」は同列一位と言ってもよく、
流した涙の量はどちらもバスタオルを取り替えるぐらい。
前者は特殊さを映画構成の完璧さで神秘性を纏う神の領域、
後者は映画的魔術でファンタジーに変わった、日常の光景。
どちらも生と死が密接に関わった作品であり、
5年後、10年後、もっとその先に見ても面白いだろうし、
現在とは違った感動が必ず得られるであろう、まさに不朽の名作。
「休暇」もまた、生と死を扱った作品であるものの、
こちらは死刑制度と人間の業について問うもの。
「接吻」はこの10作の中で最も緊張感溢れる脚本と映像。
そして、小池栄子と中村トオル、豊川悦司。
この3人の演技が素晴らしすぎる一作。
「不灯港」はPFFで鑑賞したスカラシップ作品。
近いうち、通常の劇場で鑑賞できることでしょう。
愛すべき男の愛の人情喜劇であります。
「クライマーズ・ハイ」は10作中最も大作と言って良いですが、
大作のふれこみに恥じぬ重厚な風格を持った期待通りの作品。


<洋画(フォーラム部門)>

1.ぼくの大切なともだち
2.幻影師アイゼンハイム
3.イースタン・プロミス
4.告発のとき
5.アクロス・ザ・ユニバース
6.DISCO
7.ジェシー・ジェームズの暗殺
8.ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
9.ノーカントリー
10.僕らのミライへ逆回転

「ぼくの大切なともだち」はこの中でもかなり佳作で、
シンプルながら他人事ではない人生訓のような作品。
「幻影師~」はエドワード・ノートンが最高の魅力を堂々発揮。
ラストの爽快感も非常に心地よい。
「イースタン~」はヴィゴ・モーテンセン史上最高。
アカデミー賞レース作品で最も観たかった作品。
「アクロス~」は最近の青春映画の中では最も華やかで心地よい。
ビートルズの魅力を存分に再現し、そして愛だよ、愛。
「DISCO」は新しき心の女神エマニュエル・ベアールのため。
「ジェシー・ジェームズ~」はブラッド・ピッドが最高。
と先ほどから最高を連発して誠に語彙に乏しい。
今年は特に贔屓の俳優の演技が素晴らしかった年だと思います。
最後に「僕らのミライ~」は映画が好きなら、その愛を確かめるべく。


<洋画(シネコン)>

1.インディ・ジョーンズ クリスタルスカルの王国
2.ダークナイト
3.ランボー 最後の戦場
4.バンテージポイント
5.インクレディブル・ハルク
6.スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
7.ドラゴンキングダム
8.28週後・・・
9.シューテム・アップ
10.ウォンテッド


作品的にも評価的にも「ダークナイト」が圧倒的に、
今年のトップであることはほぼ間違いはないはず。
しかし、スピルバーグの多大な洗礼を受けて育った身として、
そして彼の原点の復活を観た自分にとって、
やはり「インディ・ジョーンズ」は別格であります。
「ランボー」は現実に起こっている戦いに対する、
怒りによって涙がこぼれることを改めて知った渾身の作。
「バンテージ~」は90分の中に濃密な時間を詰めこんだ、
サスペンス、アクションにして無駄の無い中規模作品。
「ハルク」他、アメコミの質が格段に上がった年でもありました。
「スウィーニー・トッド」はティム・バートンの頭の中を
最も忠実に再現することに成功したと思われる映像美。
「ドラゴンキングダム」はジャッキーとジェットが共演した、
そのことだけで十分に意味のある映画です。
「28週後・・・」は監督が交代したにも関わらず、
前作をしっかりと継承した正しい続編と呼べる珍しい例。
こうして見るとアクション映画に力作が生まれた年かもしれません。

<ドキュメンタリー>

1.ブロードウェイ♪ブロードウェイ/コーラスラインにかける夢
2.ミスター・ピリペンコと潜水艦
3.ゲート/ア・トゥルー・ストーリー
4.ヴィットリオ広場のオーケストラ
5.鳳鳴/中国の記憶
6.おいしいコーヒーの真実
7.未来を写した子供たち
8.靖国/YASUKUNI
9.カルラのリスト
10.ヘンリー・ダーガーの謎/非現実の王国で

今年はドキュメンタリーの本数が減ったような気がします。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」以降の
奇を衒った演出やアニメーションを多用したものが、
落ち着きを取り戻し、従来の記録に戻りつつあるように思います。
その中で「ブロードウェイ♪ブロードウェイ」は
元の舞台「コーラスライン」とオーディション記録が
一体となって新しい「コーラスライン」を創造している逸品。
「ピリペンコ」は山形国際ドキュメンタリーで公開されたきり。
面白すぎるもうひとつの「世界最速のインディアン」
という感じなので、一般劇場公開・DVD化を切に願う。
「鳳鳴」は3時間、一人の女性が語る中国の歴史を、
ほぼ固定のまま変わらないカメラワークで撮り続ける驚愕の作品。
これこそDVDで観たい映画なので、是非実現して欲しい。
「ヴィットリオ広場のオーケストラ」はサントラに惚れこんだ。
「カルラのリスト」は旧ユーゴ国際刑事法廷で働く国連検察官、
カルラ・デル・ポンテの戦争犯罪人を追う執念の記録。
そして今年、映画の中で追うカラジッチが逮捕されました。


以上が2008年に鑑賞したシネマ自己ベスト10です。
もちろんこの他に忘れられない映画が沢山あります。

アニメ「崖の上のポニョ」「スカイ・クロラ」「ペルセポリス」
狂気の衝撃作「片腕マシンガール」。
笑劇の作品「ホットファズ/俺たちスーパーポリスメン」
「俺たちフィギアスケーター」「トロピックサンダー」
映画少年なら絶対わかる「グミ・チョコレート・パイン」
他、「ダージリン急行」「潜水服は蝶の夢を見る」「ヒトラーの贋札」
「迷子の警察音楽隊」「ゼロ時間の謎」「マンデラの名も無き看守」
「インビジブル・ターゲット」「12人の怒れる男」
「モンテーニュ通りのカフェ」「TOKYO!」「コレラの時代の愛」
「わが教え子、ヒトラー」「アキレスと亀」「アフタースクール」等々・・・。


映画に優劣などつけられない。まさにその通り。
分かっていながら数々の映画祭が選考して
一喜一憂身悶えるこの矛盾。
しかしこうすることで改めて見直すこともでき、
また改めてその魅力を感じることともなるのであります。

2009年、早くも1月は「チェ/28歳の革命」「チェ/39歳別れの手紙」
「マンマ・ミーア!」「007/慰めの報酬」「20世紀少年/第2章」
「アンダーカヴァー」「ラースとその彼女」「マルタのやさしい刺繍」
など、楽しみな作品が目白押し。
今年は本数を減らしていくと言ったものの、果たして。

これで年始の恒例行事も終わりましたので、
明日からは通常のブログに戻ります。
では改めて2009年、皆様にとって幸多き年でありますよう。

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