山形再び2008年02月10日 22時43分30秒

そんなわけで(どんなわけで?)土曜日は山形にいました。
昨年の秋の山形国際ドキュメンタリー映画祭より数ヶ月。
その受賞作品を主としたアンコール上映会が9日、10日と開催されました。
映画祭では1本しか観られなかったため、
これは行かねばと泊りがけでホテルを予約して山形入り。

当日は仙山線での山形入り。
車で行こうかとも思いましたが、雪の通行止めを考えたり、
高速バスは最近、居眠り運転やらキナ臭いので却下。
陸前落合から950円で山形へ向かい、1時間もせず到着。
山脈を越えるため、遠いイメージでしたが思いのほか近いものです。
これなら山形から仙台にちょっと買い物に来るのも分かります。

とりあえず初日の上映は17:30から観ることにしていたので、
ゆっくりと山形に入り、前回あまり観なかった街並みを眺めることに。
まずは山形市駅より会場へ直行し、何はともあれチケットを取ります。


会場は映画祭のメイン会場と同じ、山形市中央公民館。
通称「アズ七日町」。表には「az」と書かれている建物。
公民館というと仙台ではそれほど大きなものは想像しませんが、
こちらのメディアテークぐらいの規模はある、
ショッピングセンター部分も有する大きなビルです。

山形市駅の東側の七日町や十日町と呼ばれる付近が
賑わいを見せており、大体2箇所ぐらいで繁華街を形成しています。
大沼デパートというこちらの藤崎のようなデパートと、
こちらにもある十字屋が幅を利かせている感じ。

この繁華街は山形市駅を南西端に、山形市役所を北東端に、
ほぼ長方形を描くような形になっており、各目標の場所も把握しやすく、
複雑な路地も無いので徒歩の移動も容易です。
長方形の中央を突っ切る形で会場に辿り着き、
上映まではホテルに一旦チェックインし、休むことにしました。
何しろ2作品連続鑑賞の予定なので、終了は20:40。
いくらビジネス・ホテルとは言え、
それからチェックインというのも少々気が引けます。

ちなみにホテルは山形駅近くの飲み屋街にあるサンルートホテル。
ビジネスホテルの割りになかなか安心できます。
旅行先ではとりあえずここを探しますもの。

写真はホテルの部屋から見渡した蔵王連峰。
白く雪化粧して昔話の山のよう。
なお、白い光点はカメラのフラッシュの反射です。
決して山本譲ニ撮影の未確認飛行物体ではありません。

浪漫の欠片2008年02月14日 22時35分34秒

続き物を書き始めて途中で間を空けてしまうのは心苦しい。
いつの間にやら週刊から月刊に移動したマンガみたいで。

こちらの雪景色は山形市駅の北側にある
霞城公園前の最上義光記念館の前の池。
周りはお役所やら銀行やらかなりビルに囲まれていますけど、
ここだけ切り取れば静かな風情ある風景。

ここへ実際に行ったのは滞在2日目の午前のこと。
初日2日目はちょっとホテルで休んだ後に
17:30より2本続けて作品を鑑賞しました。

まず最初は「ミスター・ピリペンコと潜水艦」。
タイトルからして面白そうな語感を持っています。

ウクライナの農地に住む、ウラジミール・ピリペンコ。
彼には壮大な夢がある。
それは年金を工面して20年間コツコツと製作してきた
「潜水艦」で黒海に潜り海の生き物達とコミュニケーションすること。
これは彼の奮闘を追った笑いと涙のドキュメンタリーである。

手作りでヨットやらロケットやらいろいろ製作している人のことを
たまに聞くものの、潜水艦は滅多に聞きません。
ウクライナは南は黒海に接しているものの、
ピリペンコがいるのは見渡す限り草原地帯。

そんな環境で20年の悲願がやっとかなう時が来る。
奮起してバッテリーを2つ購入して意気揚々で歌も絶好調のピリペンコ。
溶接のバーナーを操る彼の眼鏡に炎が映り、
まるで彼の目に情熱の炎が宿っているようであります。

でも堅実な奥さんには不評で悩みの種。
少ない年金を使って私たちの暮らしはどうするの!
凹むピリペンコがまたカワイイ。
女にはわからんさ。ブレーキの利かないロマンを追うのは男の性よ。

しかし希望の海へと向かう時には奥さんも見送ってくれる。
しょうがない人なのよ、あの人は。
旅立つ男の背中にはロマンの欠片が欲しいのさ。
って、それじゃ「宇宙戦艦ヤマト」だ。

夢の理解者か単なる巻き込まれか、腐れ縁の友人と共に、
ピリペンコと潜水艦を乗せたトラックが草原地帯から海に向かう。
潜るために、潜れる場所である黒海へ向かう。
なんだかアンソニー・ホプキンスの「世界最速のインディアン」みたいです。
あの老ライダーも年金でコツコツと最速のバイクを製作し、
最高の走りを体感するため、走り屋の聖地へと向かうのでした。
バート・マンローのような記録は刻めないが、
ピリペンコの一点集中の情熱は負けやしない。

そしていよいよ潜水!おお潜る潜る。いや、沈む?
多少浸水するもなんとか止めたからまあいいや、と。
ピリペンコ、緻密なようでなかなかアバウトでもあります。

で、ゆったりと海の風景を見せてくれるかと思いきや、画面は暗転。
次の瞬間には丘に上がっています。
エンジンがオーバーヒートしたらしい。残念無念。
でもそこそこいけることは照明されました。
次は紅海へ向かうですって。陰ながら応援するぞピリペンコ!

要は潜れる潜れないが話の主題ではなく。
そこに傾ける情熱のロードムービーなのでした。
夢は追い続けるのが楽しいんですもの。
皆も何かやりつづけようさ。
しょうがない人、と言われるくらいまで。

あの日見た君2008年02月14日 23時23分23秒

こちらの画像は霞城公園に建つ最上義光公の騎馬像。
寒空の下でも勇ましく建っております。

公園の中には美術館や博物館が建っていますが、
隣の家の垣根はよく見えるというか、
どこへ行っても美術館・博物館は宮城のそれよりも立派に見えます。
仙台は文化的な目利きが弱いと言いますからな。

さて鑑賞作品の2本目は19:15頃から始まり20:30頃まで。
やや遅い時間となりますが、作品は「遭難フリーター」。
聞くだに寒々とした気分になります。

<物語>
仙台から東京を夢見て埼玉に出てきた青年。
工場系労働派遣会社に登録し、某メーカーの製造工場で働くフリーター。
正社員ではないことに不安を抱きつつ、
毎日の仕事と生活をやりぬくことに忙殺され過ぎ行く日々。
ナントカしないと、と思いつつもなんともできない、
悶々としたフリーターの一年を追う。


自分はこんなところにいつまでもいたくない。
でも、就職活動をやろうとしてもどうやったいいか分からない。
同族と括られるフリーターは将来について「別にどうでもいい」とのたまう。
仲間と顔をあわせれば仕事の愚痴ばかり。
で、いつの間にか辞めて行く者もいる。
なんとかしたいけどお金が無い。とりあえず働く。
その繰返し。休日も不安から完全には抜け出せない。
いつも頭の中に目の前に、うっすら霧がかかったような日々。

我々はどこへ行くのか。我々は何者なのか。
って、この引用は違う。

なんてことはない。この青年は数年前の私でした。


今大変なことになっている某アルバイト派遣会社の紹介で
携帯電話やらデジカメの部品を作っていた頃は全くこの青年状態でした。
ただ救いは実家にいるので家賃は安く上がること。
何よりの救いは映画という楽しみがあったこと。

無論、趣味の楽しみは前者の家賃が抑えられていたことが
影響しているものの、この青年は大した夢も趣味も無い。
とりあえずお金が欲しく、とりあえず東京や正社員への漠然とした
憧れだけで動いている、いや動かされている、というより踊らされている。
お金は無いけれどもお金第一。ヒルズの魍魎と同じ。

この青年、ひょんなことからサンプル・フリーターとして
メディアへ露出することとなるのですが、それも長くは続かない。
フリーターの代名詞として記号となり、
悲劇のヒーローとなるのが嫌だったようです。
勿体ない話。というよりそれは自惚れ過ぎではなかろうか。
結局のところ、威勢の言いことを言いながらも
いざというとき保身にまわるタイプで、小さい考え方なのだ。


このみみっちいタイプがフリーターの大部分。
私だってかつてこの青年だったし、
いざという時の度胸が据わらないのは今でもそう。
でも、昔ほど目の前の霧は濃くは無い。
別に明るい希望ができたわけではないのだけれど。
いつからなのだろう?あの言いようのない不安を意識しなくなったのは。

というより仕事がある日はそれに忙しく、
休みはほぼ90%は映画脳になっているものだから、
それ以外のことを考えないうちに
いつの間にやら不安も忘れたのかもしれない。

なんとかなるんじゃないの?
全然大丈部!
いや、それは来月の映画の話。

とにかく不安を忘れるくらい夢中になれるもの見つけたらどうか?
それこそ「潜水艦」を作るとかね!!
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