国際社会の抜け穴2007年04月22日 01時18分55秒

夏に職場を移る可能性が濃厚になってきました。
就業条件の詳細は不明ですが、今より楽になればいいです。
なんにせよシネマ環境も大事です。
そんな今日はぐっと社会派「グアンタナモ、僕達が見た真実」です。

<物語>
2001年9月、アメリカ9.11テロの直後。
パキスタン系イギリス人青年のアシフはパキスタンで結婚式を挙げるため、
やはりイギリスに住むパキスタン系の友人らを招待する。
パキスタンで合流した彼らは米軍の空爆による
アフガニスタンの惨状を聞き、自分の目で確かめたいと国境を越える。
しかし、現地でアメリカ軍に拘束されテロリスト容疑をかけられ、
グアンタナモ収容所に移送されてしまう。
直ぐに無実と分かる、そう考えていた彼らはその後、
2年以上に渡り拘束され米軍の尋問と拷問を受けることになるのである。


グアンタナモ収容所とは。
キューバ東部にあるアメリカが約100年前に締結した条約で
半永久的に借用している敷地で、キューバは返還を求めている。
アフガン侵攻の際に捕らえた500万人のテロリスト容疑者を収容。
ほとんどが正当な司法手続きをとらずに拘束されているとされる。
キューバ・アメリカ間に国交がないためアメリカの法律、
国際法が適用外となることから、アメリカは意図的に
無法地帯として置いておきたいのではないかと考えてしまう。


実際に起こった事件であり、実際に拘束された本人達も出演。
彼らのインタビューと再現ドラマを交互に見せる、
半ドキュメンタリー形式で構成されているだけに、
言葉に重みがありドラマ部分も真に迫る迫力。
同じ形式は別作品「運命を分けたザイル」などでも成功しています。

日本においてはやはり「自分の目で確かめたい」と渡航した民間人が
現地で拘束され(あれは米軍ではないものの)、
解放され帰国した後に周囲がバッシングを行うという、
非常に民度の低い恥部を露呈する事件がありましたが、
この映画の青年達の帰国後、「歓迎」のネオンが輝き、
念願の結婚ができたことが本当に喜ばしいと思います。
日本よりも余程立派な国民だと感じます。

そこに至るまでの2年以上の長い拘束。生活などではありません。
手足を縛られ目隠しをされ、牢屋というよりも檻に入れられ、
およそ人間的扱いとはかけ離れたものです。

それを「人道的に扱っている」「拷問はない」と
しゃあしゃあと言ってのける、ブッシュとブレアの面の皮の厚さ。
「華氏911」よりも遥かにコノヤローと感じます。

パキスタン系ということが明らかに災いしているものの、
ごく普通の青年が拘束されることの怖さ、
しかし、その普通の青年達が耐え抜く人間の強さにも恐れ入ります。
そして「決して謝らなかった」という軍人達、
過ちを認めることができない国家は未成熟であります。
人種的偏見がいかに危険であるか、
ニュースを鵜呑みにすることがいかに恐ろしいか痛感させられる作品です。

アメリカだけはなく、我々の思想にも問いかける重要な課題です。
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