森は静かに2007年04月19日 21時49分02秒

漫画作品の実写映画化「蟲師」を鑑賞です。
監督は「AKIRA」でお馴染み大友克洋、
出演は私の御贔屓、オダギリジョーと蒼井優。

原作漫画は漆原友紀師の同名漫画。
ちなみに女性だということを今回初めて知りました。
映画は原作のエピソードをいくつかあわせて構成。
雪深き山郷で蟲を鎮めていく蟲師のギンコの旅と
その誕生にスポットが当てられています。


「AKIRA」でやりたい放題の作品を完成させ、
「スチームボーイ」でレトロながらも冒険活劇を展開し、
今も「フリーダム」を制作していることから大友氏のSF活劇魂が
今も変わらず燃焼中と思い、「蟲師」と聞いた時に?と思いました。

上記作品の反動なのか求めている以上に大自然の描写が圧巻。
ロケということですがまだこんな景色が日本にあるんだな
と月並みですが感心させられます。
湿気や風を感じる映像が心地よく感覚を刺激。
しかし、緑は多いものの華やかさもっと欲しい気もします。
時代や場所も深く語られない世界ですから、そこはもっと遊んでもいいかも。

この映画で語られる「蟲」とはどうも
人間の内面のトラウマなどの具現化された存在のようで、
自然現象の具現化の妖怪と微妙に異なります。
このことはギンコの幼年期体験が中心になる中盤以降に顕著です。

その辺りから抽象的哲学的になってきて
映像も暗めになってくるのでややウトウト感有り。
「AKIRA」は映像が激しいので場が持ちますが蟲師はちょっと眠い。
オダギリジョー目当ても「ジョー君寝てばかりジャン!」です。

公開時期がアクション満載予感の「ゲゲゲの鬼太郎」の
広報が重なっていることは不利かもしれません。
中身は似て非なる漫画ですが、活劇を期待する人はいますぞ。

漫画原作の映画化としては少々物足りない感じですが、
「やがてここにも電気が通って夜も明るくなる」という台詞があります。
どこかその言葉に失われつつある昔の風景を感じます。
日本に残る自然とかつて病気や現象を蟲に例えた、
畏怖の念を思い出して欲しいという作品かもしれません。
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