ショウタイム2007年04月20日 22時35分09秒

TVで「ザ・コア」が放送しています。
シナリオはそれほどでもないので埋もれてしまいましたが、
俳優はアーロン・エッカート、ヒラリー・スワンクや
ブルース・グリーンウッドら実力派なのでそこに注目して欲しい。

さて今週のDVDは

「16ブロック」(2006)
くたびれた刑事(ブルース・ウィリス)がある囚人の護送を任されたが、
その囚人は悪徳警官の悪事を証言するための証人だったが故、
抹殺しようとする警察仲間から狙われながら裁判所を目指すドラマ。
ブルースのくたびれ具合が実に良い。彼が正義感に目覚める様は
黒沢明の「生きる」を思い出してしまいました。
EDは2バージョン収録されていますが、どちらもブルースが良い中年です。

「オール・ザッド・ジャズ」(1980)
病魔に冒されながらも芸術家として破天荒に生きた劇作家の物語。
ミュージカル・ダンス映画とジャンル分けされて娯楽を予感させるものの、
精神世界と現実が交互に展開する構成が
頭に早く適応しないとやや難解です。
舞台のシーンの肉体美と主人公の純粋な作家魂が、
時間の長短に関わらず、人生を充実させようと感じさせられます。
「ショウタイム!」と言って始まる朝が素敵。

「砂の器」(1974)
言わずと知れた松本清張の同名小説の映画化で
「張込み」「鬼畜」の野村芳太郎監督版。
この監督は悲しくも美しい情感溢れる作品なら天下一品。
社会的主題としてはハンセン病差別ですが、
それを基点とした犯人のこれまでの人生を綴る終盤約50分こそ映画の肝。
後にも先にもこれほど犯人の描写に魂込めた作品も珍しい。
苦難の物語、美しい日本の四季、俳優の熱演、哀しいピアノの旋律、
松本清張が「小説では書けないよ、凄い」と賛辞するように、
映画でできる全てのことに力を注いだ一級品。
日本映画の奇跡と言っても良い過ぎではないと思う。
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