「映画が目にしみる」2007年04月11日 22時04分21秒

お泊り勤務の帰りにふらりとお店に寄ろうものなら、
ついついひょいひょいと買い物をしてしまいます。
先日はそんな調子で一冊の本を。
まあでも、以前から雑誌の紹介欄でチェックしていた本ですから。
「映画が目にしみる」著:小林信彦

批評家・作家の小林信彦氏の新聞のコラム連載をまとめた一冊。
「映画」と銘打つものの、TVや舞台など度々脱線します。
一つの作品について3ページ。全部で100編ほど。
少しづつ気軽に読んでいける一冊です。

気軽に、というのはエライ先生なのに全然構える必要がないということ。
特に難解な言葉はありませんし、文体も読みやすい。
でもズバリと核心をつかれて頷いてしまう。

批評本の類は往々にしてこの逆が多く、小難しい単語と
専門用語を知っていて当然のように並べられてガチガチになったり、
あるいは抽象的な詩情表現で煙に巻かれて
著者自身がトリップ世界の住人になっているような、
どちらも異世界の説法を聞かされるようで興が醒めることがあります。

このコラム集はちょっと息抜きに読むときに、と力を抜いたのか
それとも才能と年の功からくる悟りの境地のようなものか。
普通の人の側にたって素直に感想を述べた、
その上に豊富な知識と経験から滲み出るプラスαが感じられます。
ああ、こういう文が本当はいいのかもしれないと思いました。


ところで。小林先生にあまり畏怖を感じないことがもう一点。
この本を読んでいくと非常に女の子好きというのがよく分かります。
木村佳乃に大塚寧々、米倉涼子、長澤まさみに掘北真希、
相武沙希、沢尻エリカなどなど、
「この手の作品は見ないが彼女が出ているから見た」
そんな話ばかりです(笑)。ヤラしくなく純粋なるファン心理であるのが凄い。

でもそれ大事。こういう方、長生きします。
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