よっしゃあ!!2007年06月10日 23時16分36秒

「憑神」の主題歌はなかなか面白い歌なので聞いてたもれ。
石井竜也名義ではなく米米CULB名義なのがよろし。

さて井筒和幸監督「パッチギ!LOVE&PEACE」鑑賞です。

<物語>
前作「パッチギ」から6年後の1974年。
アンソンは筋ジストロフィを患う息子のチャンスのために東京へ引っ越す。
ここでも因縁のライバル近藤と出会い大乱闘に発展する。
そこで助けられた国鉄職員の佐藤と妙な縁で親友となる。
妹のキョンジャは芸能界にスカウトされ、
チャンスの治療費を稼ぐためアイドルとしてデビューする。
息子の命を救うためにヤバイ仕事に手を出すアンソン。
一方、芸能界の差別と陰謀の中で苦闘するキョンジャ。
キョンジャの映画が完成した時、壮大なパッチギがかまされる。


1974年の話を描きつつもアンソンの父達が大戦を生き抜く様も
間に挿入され、かつ息子チャンスも本筋に据えられる三世代の物語。
この大戦時の1944年の物語の挿入は後半のクライマックスに
大きな意味を持ってきます。

劇中映画として製作される特攻隊の雄姿を描いた映画。
日本を護るために雄々しく散っていく特攻隊員達。
隊員を褒め称え映画の完成を誇らしく語る製作者達。
その言葉のバックに挿入される1944年の父達。
日本軍の凄惨な爆撃。死んでいくパラオの村人。
虚しく聞こえる1974年のセリフ。

そこで一撃を降すのはキョンジャの涙の訴え。
「私は愛するもののために死にに行くよりも
愛するもののためになんとしても生きて帰ろうとした父を
恥ずかしいと思ったことはありません!」

ヨッしゃぁーーーーーーーーーーーっつ!
と叫んだのは私だけではありますまい。
誰がどう見ても「俺は君のためにこそ死にに行く」への一撃。
これだよ!これが言いたかったんだよ!という痛快さ。
「そりゃ国は護ったかもしれんが
今の日本があるのは生きている人間の血と汗の結果に決まってるだろ!」
という叫びがズガンとつんざいて届いてきます。

「俺は君のためにこそ死にに行く」を観て
もやもやしたものを抱いた人は「パッチギ」も観るべしかますべし。
2作品はシネコンでほぼ同時に鑑賞可能でした。
是非2作品を見比べて欲しい。あなたの選ぶ答えはどちら?

無論、一本の映画に喧嘩を売るために作られたような
ケチな作品ではないことは付け加えておかなくてはなりません。
がんじがらめの閉塞状況でもありったけのパワーで
泣いて笑って殴って蹴散らして生きていく。
生まれも育ちもあるものか。戦う姿が美しいとはこういうことです。

隠さず言いますが昔は井筒監督が嫌いでした。
だから「パッチギ!」も観るのが遅れましたが良い作品です。
監督の信念にちょっとだけ好感を持ちました。
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