誰もがどこかで2006年08月17日 22時12分35秒

本日の鑑賞映画、「ステイ」です。


精神科医のサムは決意のつかぬまま、自殺から救った
恋人のライラに婚約指輪を渡せずにいた。
ある日、彼はヘンリーという未来を予言する
不思議な青年を診察することになる。
ヘンリーは21歳の誕生日に自殺すると予告して姿を消す。
自殺を止めるため、ヘンリーの足跡を追うサムは
現実とも虚構ともつかぬ迷路に入り込んでいく。


ああ、そうだったのか、と思う感覚は「アザーズ」「シックスセンス」
などと似ていますが、全編を通じて切ないヒューマンドラマ
という雰囲気が漂っており、怖いドラマではありません。

登場人物の中でもヘンリーとサムは鏡のような存在として描かれます。
ともに想い人への想いと伝えられずにいるヘンリーとサム。
ヘンリーとライラをめぐり合わせたのがサムであり、
サムを救うのがヘンリーであり、サムに救われるのがヘンリーである。

ラストシーンで判明する、偶然皆そこにいた人間であるということ。
都会を舞台に描かれるこうした群像劇は
現代の街で生きる身には爽やかに流れ込みます。

救いを求めて彷徨い始めたサムの魂が、という見方もあれば、
人生に迷ったヘンリーがサムに救われるという見方もできます。
誰も彼も迷う、彷徨い。生きているもの。霊のような存在。
その中心で一瞬の間皆を繫ぎとめたサムは天使のような存在です。

想いの連鎖、螺旋、点在、表現はいろいろありますが、
人間の想いがそこにもそこにも存在していること、
それが「ステイ」のテーマだと思います。

スリラーとして期待して見るのはいけませんが。
不思議なヒューマンドラマとしてみてください。

スターウォーズ/エピソード1のオビ・ワンのユアン・マクレガー
と言えばアイドルっぽい響もありますが、
わりと不思議不思議な映画にも縁ある人でもあります。

サム役のライアン・ゴズリングの寂しく儚げな眼差しと、
レオン博士が向う、光の道というべき橋が印象に残ります。
本作を見て残る温もりというべき印象は後まで忘れずにいたいです。
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