金曜夜の映画小噺2006年06月09日 22時08分08秒

嵐の研修が続いており、一週間が終了するとほっとしますよ。
現在の勤務は平日9時5時勤務の休日土日。
でもこれが終了すると勤務時間が24時間シフト体制に組み込まれ、
モダンタイムズかメトロポリスの労働者のように
ぐるぐる使われていき、夜勤とか泊り勤もでてくるのです。
もっとも、工場労働ではなくデスクワークなんですが。

ちなみに「メトロポリス」はアニメではない方ですよ。
人造人間マリアが登場するクラシック映画です。


さてさて、最近は観たい映画が少ない時期に入っています。
今年に限ったことではなく、毎年の傾向としてこの時期は
GWと夏休みの二つの映画強化期間に挟まれた小休止期間のようです。
休日も無い6月ですからな。

でも、明日は観たい映画が5本も同時に封切りとなるので、
映画日記も再開します。稚拙なもので恐縮ですが。


それでもレンタルは週2本というペースは相変わらずです。
この間、「ミクロの決死圏」を鑑賞しまして。
先ほどこの監督が亡くなったので見たわけですよ。

この作品、簡単に言うと人間がミクロの大きさになって、
病気の患者の体内に入り込んで、治療を行うというSF映画です。
私は大いに好きな映画なんですが、これが元ネタではないか、
と見られるアニメや漫画がそれ以後に随分あると思います。
ちなみに、この映画は1966年制作。

まず、有名な「ドラえもん」。かなり初期のエピソードで、
しずかちゃんが間違って飲み込んだママのオパールを取り出すために、
のび太とドラえもんがしずかちゃんの体の中に小さくなって入るという話。
これなどは、「ミクロ~」のように初めは潜水艦に乗り込み、
その潜水艦を段階的に小さくしてミクロになるという、かなり似た話。

蛇足ですが、しずかちゃんはピーナッツと間違ってオパールを
飲み込んでいます。赤ん坊じゃないんだから、わかるだろ!?

他にも「小さくなって人間の体の中を探検しよう!」というような
冒険スタイルの学習マンガはかなりの数描かれていたと思います。

特撮の世界ではそれより2年後、「ウルトラセブン」で
人間の体の中に入り込んだ「ダリー」という怪獣と
ミクロ化したセブンが体内で戦うという話が制作されます。

さらに「ミクロ~」では患者の流した涙の流れに乗って、
体外に脱出するというラストですが、これと同じようなことが
「キン肉マン」の悪魔将軍編(黄金のマスク編)で描かれています。

小さくなってウォーズマンの体内に入り込んだ、
悪魔騎士と正義超人たちが最後はウォーズマンの涙に乗って
体外に脱出するというもの。(アニメ版。漫画は未確認)
小さくなれる時間制限というものも同様に存在したと思います。

ハリウッド映画では後に、スピルバーグ製作総指揮で
デニス・クエイド、メグ・ライアン出演の「インナースペース」という、
人間の体内で冒険を繰り広げるアドベンチャー映画が作られています。

人や動物を小さくするという考えなどは手塚治虫先生も
考えており、一概にルーツとか元ネタとも断言しかねますが、
こういう共通点を考えて、「うん、そうかもしれない」と
一人でニヤリとするのがオタクでございます。

それを自慢げにペラペラダラダラ述べるのも悪い癖でございますが、
金曜の夜、少々長話にお付き合いいただければ幸いです。

誤差1ミリ秒2006年06月11日 23時18分33秒

新聞のテレビ欄で映画番組の出演者の表記を見ていると、
外国の俳優の名前が略されている場合がよくあります。
例えば「A・シュワルツェネッガー」「J・チェン」というように。

先日の深夜映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/鬼脚」
での俳優名表記も同じように略されていたのですが。

「Y・ピョウ」。

正式なお名前は「ユン・ピョウ」です。

1文字しか違わないだろ!(笑)。

グラフィック1ドットやメッセージ1文字で容量稼いでいた
時代のゲーム製作者ですか、あなたは!

まあ、この映画はタイトルだけでもかなり長い映画なので、
僅かでも削らないといけない気持ちも分かりますけどね。
ちなみに、ユン・ピョウはジャッキー・チェン、サモ・ハン・キン・ポー
とならぶ香港アクション映画界のベテランスター。


さらにちなみに。日本で公開された映画の中で
かなり長いタイトルの映画を見つけましたよ。
その名も

「マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者に
よって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺」

映画評の一文をそのまま使ったようなタイトルです。
1968年くらいの映画ですが私は観たことがありません。
ビデオも見つけたことがありません。
なんだかドキュメンタリー映画のような感じでもありますが。
こんな長いタイトルをテレビ欄に書いた日には
担当者が発狂しますな(←大袈裟)。

ちなみに私は結構長いタイトルでも、チケットを買う時に
なるべく全文言ってのけるようにしています(←どんな自慢だ)。


さてさて、土日には劇場で「インサイド・マン」「ぼくを葬る」
「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」を鑑賞しました。
感想は後日。「トリック劇場版」は来週に。
でもその代わりに「LOVE SONG」という仲間由紀恵が
高校生役を演じる映画を観ましたよ。なかなか瑞々しい。
なお、相手役はこれまた若々しい感じの伊藤英明。
なんだか自分に説教されているような印象でした。
そんな映画の出会い旅。どこへと続くシネマ道。

力と技の結晶2006年06月13日 22時55分14秒

完全犯罪モノ「インサイド・マン」を鑑賞。
社会派監督スパイク・リー、オスカー俳優デンゼル・ワシントン
ジョディ・フォスター、オスカーノミネート俳優クライブ・オーウェンという
豪華キャストの娯楽大作映画です。

設定はシンプル。巨大銀行に銀行強盗が人質をとって立て籠もり、
刑事との駆け引きを経て、脱出・逃走に至るまでの完全犯罪。
これまでに何度も使われた定番ネタです。

スパイク・リーという監督はアフリカ系の黒人監督で、
その立場から人種問題など社会的テーマを題材に取り続けていた方です。
「マルコムX」などの作品を撮った、と聞けば大体想像できることでしょう。

公開前には、そのスパイク・リーにしては随分とありふれた、
悪く言えば重みのなさそうな作品を撮ったのではと感じたものです。
しかし、実際に見てみるとやはりできる人が作れば違うものだ、
と感じる重厚なドラマでありました。

デンゼルやクライブらの存在感が素晴らしいです。
メインの他にも名の通ったキャストが勢揃いしていますが、
大抵このくらい豪華キャストなら、淡白なお祭り的映画になるものです。
それが、クライブはダルトンという人間として存在しているかのようで、
これこそ役者の演技と脚本の力でありましょうか。

社会派の色は表立っては出てきませんが、解放された人質の
アラブ人に似た外見に過剰反応する警官や、
銀行設立の影に見え隠れする旧ナチスとユダヤの財産などは
物語の暗部や裏側を想像する楽しみでもあり、
やはりそうでなくてはという、監督に対する安心感も感じます。

「インサイド・マン」というタイトルの意味が分かる謎解きのラスト、
見事に完全犯罪を成立させた、単純であり巧妙でもあるその手口に、
苦笑しつつもやられた!と思い、犯人側を応援してしまいます。
この感覚が味わえてこそ完全犯罪映画としての完全犯罪成立です。
鮮やかに軽やかに、そして相手が巨大な権力(この場合、銀行)
であればあるほど我々はそれに向う悪の美学に魅了されることでしょう。

そう考えると社会的に弱い立場を見つめて描いてきた
スパイク・リーが、巨大権力に一矢報いる者たちを描いたことは、
商業的に娯楽的に作っただけではなく、これまでの社会派の
作品群と同様に考えても良いのかも知れません。


それにしてもジョディ・フォスターがどんどん老けていきますな・・・。
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