罪に生き信念に生き ~「24 -TWENTY FOUR-」Season 72010年03月25日 23時32分04秒

フジテレビで深夜放送されていた
「24 -TWENTY FOUR-」Season 7を全話鑑賞終了しました。
僕は「24」は全てこの地上波放送で鑑賞しているので、
各シーズン鑑賞し終わるのに約半年。
ジャック・バウアーの声は小山力也でインプットされています。


さて、相変わらず根強い本シリーズでもSeason 4あたりからは
マンネリの印象があり、初期のディビット・パーマー大統領を初め、
数々の仲間が退場(多くの場合、戦死)していった後、
それを受け継ぐだけの存在感ある登場人物が不足してくるなど、
僕はとりあえず鑑賞しておく作品として扱っていましたが、
今回のSeason 7は久し振りにヒットでした。

今回は舞台設定も大きくかわり、
それまでジャックが所属する、またはサポートする
CTUという組織を中心に動いていた物語を、CTUを解体。
さらにそれまでもあった各シーズンを繋ぐ短篇にあたる
前日談の「リデンプション」をクローズアップし、
遠きアフリカの地からジャックをスタートさせる。

これを仕損じるとただバラバラにしただけで散漫になるところ、
今回、ビル・ブキャナンとクロエ・オブライエンという
これまでで最も信頼できる二人によるコンパクトなチームを結成。
さらに謎多き復活を果たす戦友トニー・アルメイダ、
戦火の中で信頼を築いていくFBI捜査官ルネ・ウォーカーらが
全ての元凶に迫る目的の下、ピシッと強靭な糸で繋ぎとめます。


また、シリーズ初の女性大統領アリソン・テイラー、
パーマー大統領以降、強力な指導者がいなかったこのシリーズに、
久し振りに鋼鉄の意志を持ったリーダーが誕生しました。
さらに親子と夫婦の情を抑え付け最後まで大統領であろうとする姿勢には、
むしろ人間としての厚みを感じさせ、強い信頼と尊敬を抱かせます。
振り返れば「Season 1」では合衆国初の黒人大統領を誕生させた本作。
(当時はオバマ大統領の誕生可能性など、予想もできませんでした。)
近い将来、彼女の様な鉄の女が指導者になるのはもはや必然でしょうか。


しかし、なんと言っても今回はジャック・バウアーの描き方に惚れます。
今回のジャックはある意味で集大成であり終着点であり始まりと終わり。
彼は過去の自分の行いを合衆国を国民を守るための正しい判断と信じ、
その上で自分が巻き込んだことにより多くの人を死なせた罪を
誰が責めるよりも強く自分を責め、全て背負っています。

その背中が大きな存在感を放つことに気づいたのは、
序盤でルネに自分の信念を語るシーン。

これまでのジャックは「もう少し周囲と協力すればいいのに」とか、
少々呆れてしまうような猪突猛進型でありすぎ、型に嵌っていたのですが、
ここへ来て、一気に人間的に厚みを増した姿になりました。
その行動の裏で誰よりも自分を責めていたこと、
そして砕けそうな心を不屈の意思で支えていたこと。
弱さに裏打ちされた強さという複雑ですが信じられる存在です。

妻を亡くし、最愛の娘を何度も危険に巻き込み、
恋人に裏切られ、尊敬できる指導者を失い、絆で結ばれた仲間を失い、
愛する人を廃人にしてしまったこと、多くの人命を巻き込んだこと・・・
彼女達に対する自分の罪を逃げることなく肯定し、
だからこそ、傷つけたことを死なせたことを無駄なものにしないため、
自分の取った行動に意味があるものにすべく信念を貫く。
それが弔いであり、やるべき償いであると信じて。


最終話、巨悪を拘束し自分の側に踏み込もうとするルネに対して、
ジャックが寄せる「自分が納得できる道を探せ」という言葉は、
これまでの彼を全て見てきていれば、とてつもなく重い言葉です。


ジャックの心情を受ける前半のルネを後半は娘のキムが引き継ぎ、
一方では鉄の意志により崩壊していくテイラー大統領の家庭と、
対して鋼の意思によりさらに強まるバウアー親子の絆、
それぞれが下す決断には思わず厳粛な気持ちになってしまいました。


僕は今回のジャックが非常に好きになりました。
一度死んだ彼が次回、どんな心を持って再生するのか。
既にアメリカでは開始されているようですが、
ここ日本ではせめてもう暫し、戦士に休息を・・・・。

罪を背負い信念に生きることを選択した彼に僅かな安らぎを。
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