偉大なる作品を受けて立つ ~ターミネーター4 ― 2009年07月03日 23時18分38秒

ターミネーター・シリーズ最新作
「ターミネーター4」についてのこと。
ジェームズ・キャメロン監督の
「ターミネーター2」は偉大すぎる作品でした。
「ターミネーター(1)」は低予算映画という関係上、
傑作でありながら「2」と見比べるとまだ
80年代の濫造B級映画のカラーがまといつきます。
「2」から待ち望むこと12年の「ターミネーター3」。
悪くは無かったものの、監督が前2作と違うという以上に、
作品として前2作より見劣りしてしまう感は否めませんでした。
「3」の後、シュワちゃんはカリフォルニア州知事として活動。
「4」の企画は直ぐに立ったものの、「シュワちゃん抜きでもやる。」
という「3」の監督ジョナサン・モストゥの発言に、
「シュワちゃんで支えてきたシリーズなのに正気か?」
と、カフェオレからコーヒーを抜くに等しい(?)衝撃を感じたものです。
時は流れ、どうやら本気でシュワちゃん抜きで作っていたらしく
予告編も約半年ほど前から劇場で流れ初め、
いつの間にか監督はモストゥからMcG(マック・ジー)へ。
ジョン・コナーは大人になり、実力派のクリスチャン・ベイルへ。
その公開前からシリーズの構成について、
「『3』は無かったことにして『2』から『4』へ直接続くらしい、」
という「3」がいまいちだっただけに分からなくもない噂があったり、
(実際、アン・リー監督の「ハルク」を無かったことにして、
「インクレディブル・ハルク」から仕切り直すとか、
「スーパーマン・リターンズ」も仕切り直すとか、とにかく、
前作の不興でシリーズを仕切り直すことが目立った時期でもあり。)
ちょっと、裏話の方が面白そうなことになりました。
「3」の脚本を観て「この脚本にはドラマが無い」と一蹴したらしい
リンダ・ハミルトンに次回作への出演をMcGが希望しているとか、
「3」に対して不快に思っているキャメロン監督にMcGが相談に行き、
励ましと好意的な言葉を頂戴したとか(アドバイザーかは不明)、
クリスチャン・ベイルが「3」だけは好きになれないと語るとか、
(パンフレット掲載のインタビューより要約)
確かに「3」は置いていかれている様子が伺えます。
まあ、作品ごとに別時間軸の話となると、
シリーズ物の完璧な年表作成マニアや、時代考証マニア等が
年表をパラレルワールド式に分岐させる必要があるためだったり、
「4」の直前から始まった海外ドラマ「サラ・コナー・クロニクル」も
時間軸を別にする話であり、「2」の後から世界が一気に
三分岐するなどという可能性があるわけで。
そんなことを調べられるのも、このシリーズの人気であるわけで。
(「2」以降の小説版の分岐もあるので、さらに世界は生まれている。)
おそらくこの先、DVDやBDにてメイキング映像やら未公開シーンが
公開されれば、またそのあたりも見解に変化が現れるでしょう。
で、肝心の本編。
予告編で心配した映像に関しては大丈夫。
明暗のコントラストを強くしてさらに彩度も落とした、
近年の戦争映画のような映像ですが、映像を加工しすぎると
折角のメカニックデザインが見えにくくならないかと、
(失敗例が「エイリアンVSプレデター2」等)
危惧していた点については要らぬ心配でした。
キャメロンのブルー基調の「2」とは大分印象が異なるものの、
審判の日以降の新三部作という、壮大な第2部のカラーと
考えればこれも悪くはありません。
実に様々な敵メカが登場し、バイク型や飛行型、
さらにモンスター型として海蛇のようなタイプが登場。
水中からウヨウヨ湧いてきて人間を噛み千切るわけですが、
これがキャメロン監督の長編デビュー作
「殺人魚フライングキラー」を思い起こさせて、
キャメロンへのMcGからのオマージュの一つと観るのは
幾らなんでも考えすぎか?
ちなみに、「殺人魚フライングキラー」で準主役で出演した
ランス・ヘンリクセンは「ターミネーター」製作当初、
シュワちゃんの前にターミネーター役に決まっていた人。
勿論、ドクロの様な人体骨格型(エンドスケルトン)も大量に登場。
T-600、T-700とバリエーション豊かに登場し、
旧式はボロボロのゴム製皮膚を纏ったゾンビの如し。
荒野を彷徨うはぐれターミネーターとかいるのか?
そして、鍵を握るのがマーカス・ライトなる、
半人間・半ターミネーターなる存在。
別系統の開発とはいえ、液体金属タイプのT-1000や、
T-800型(シュワちゃんが演じてきた型)のロールアウト以前で、
このタイプは少々早すぎるのではと思うけれども、
与えられた役目は「俺は何ものか?」という
アシモフの「われはロボット」のような
ロボットから人間を問うかの如く哲学的なものの様。
ジョン・コナーはマーカスの正体を知ったとき、
敵の戦力だと思い敵対するのですが、
10歳の時に純正ロボットのT-800と擬似父子的関係を育んだ記憶は
闘いの中で既に彼方へと消え去ったのか。
和解するときにも思い出した様子はありません。
スカイネット基地へと乗り込んだジョンとマーカスは、
最新型ターミネーターT-800と対面します。
その顔は若き日のアーノルド・シュワルツェネッガー!!(CG)
「よ!待ってました!」と思わず拍手をしてしまう。
この場面でのマーカスはかつての「2」でのT-800の役割で
一時の機能停止から蘇生までオマージュされる周到ぶり。
全体として「3」のハート型サングラスの様な
たちの悪いパロディは無く、正統派オマージュでシリアス、
ドラマにも重点を置き、キャメロン監督への敬愛が感じられ、
シュワちゃん抜きでよくやったと思います。
しかしながら、最近放送した「ターミネーター2」を
やはり食い入る様に鑑賞してしまったこと。
それを思うとそのクオリティの壁はまだ超えられない。
これからの2作品に期待しましょう。
「ターミネーター4」についてのこと。
ジェームズ・キャメロン監督の
「ターミネーター2」は偉大すぎる作品でした。
「ターミネーター(1)」は低予算映画という関係上、
傑作でありながら「2」と見比べるとまだ
80年代の濫造B級映画のカラーがまといつきます。
「2」から待ち望むこと12年の「ターミネーター3」。
悪くは無かったものの、監督が前2作と違うという以上に、
作品として前2作より見劣りしてしまう感は否めませんでした。
「3」の後、シュワちゃんはカリフォルニア州知事として活動。
「4」の企画は直ぐに立ったものの、「シュワちゃん抜きでもやる。」
という「3」の監督ジョナサン・モストゥの発言に、
「シュワちゃんで支えてきたシリーズなのに正気か?」
と、カフェオレからコーヒーを抜くに等しい(?)衝撃を感じたものです。
時は流れ、どうやら本気でシュワちゃん抜きで作っていたらしく
予告編も約半年ほど前から劇場で流れ初め、
いつの間にか監督はモストゥからMcG(マック・ジー)へ。
ジョン・コナーは大人になり、実力派のクリスチャン・ベイルへ。
その公開前からシリーズの構成について、
「『3』は無かったことにして『2』から『4』へ直接続くらしい、」
という「3」がいまいちだっただけに分からなくもない噂があったり、
(実際、アン・リー監督の「ハルク」を無かったことにして、
「インクレディブル・ハルク」から仕切り直すとか、
「スーパーマン・リターンズ」も仕切り直すとか、とにかく、
前作の不興でシリーズを仕切り直すことが目立った時期でもあり。)
ちょっと、裏話の方が面白そうなことになりました。
「3」の脚本を観て「この脚本にはドラマが無い」と一蹴したらしい
リンダ・ハミルトンに次回作への出演をMcGが希望しているとか、
「3」に対して不快に思っているキャメロン監督にMcGが相談に行き、
励ましと好意的な言葉を頂戴したとか(アドバイザーかは不明)、
クリスチャン・ベイルが「3」だけは好きになれないと語るとか、
(パンフレット掲載のインタビューより要約)
確かに「3」は置いていかれている様子が伺えます。
まあ、作品ごとに別時間軸の話となると、
シリーズ物の完璧な年表作成マニアや、時代考証マニア等が
年表をパラレルワールド式に分岐させる必要があるためだったり、
「4」の直前から始まった海外ドラマ「サラ・コナー・クロニクル」も
時間軸を別にする話であり、「2」の後から世界が一気に
三分岐するなどという可能性があるわけで。
そんなことを調べられるのも、このシリーズの人気であるわけで。
(「2」以降の小説版の分岐もあるので、さらに世界は生まれている。)
おそらくこの先、DVDやBDにてメイキング映像やら未公開シーンが
公開されれば、またそのあたりも見解に変化が現れるでしょう。
で、肝心の本編。
予告編で心配した映像に関しては大丈夫。
明暗のコントラストを強くしてさらに彩度も落とした、
近年の戦争映画のような映像ですが、映像を加工しすぎると
折角のメカニックデザインが見えにくくならないかと、
(失敗例が「エイリアンVSプレデター2」等)
危惧していた点については要らぬ心配でした。
キャメロンのブルー基調の「2」とは大分印象が異なるものの、
審判の日以降の新三部作という、壮大な第2部のカラーと
考えればこれも悪くはありません。
実に様々な敵メカが登場し、バイク型や飛行型、
さらにモンスター型として海蛇のようなタイプが登場。
水中からウヨウヨ湧いてきて人間を噛み千切るわけですが、
これがキャメロン監督の長編デビュー作
「殺人魚フライングキラー」を思い起こさせて、
キャメロンへのMcGからのオマージュの一つと観るのは
幾らなんでも考えすぎか?
ちなみに、「殺人魚フライングキラー」で準主役で出演した
ランス・ヘンリクセンは「ターミネーター」製作当初、
シュワちゃんの前にターミネーター役に決まっていた人。
勿論、ドクロの様な人体骨格型(エンドスケルトン)も大量に登場。
T-600、T-700とバリエーション豊かに登場し、
旧式はボロボロのゴム製皮膚を纏ったゾンビの如し。
荒野を彷徨うはぐれターミネーターとかいるのか?
そして、鍵を握るのがマーカス・ライトなる、
半人間・半ターミネーターなる存在。
別系統の開発とはいえ、液体金属タイプのT-1000や、
T-800型(シュワちゃんが演じてきた型)のロールアウト以前で、
このタイプは少々早すぎるのではと思うけれども、
与えられた役目は「俺は何ものか?」という
アシモフの「われはロボット」のような
ロボットから人間を問うかの如く哲学的なものの様。
ジョン・コナーはマーカスの正体を知ったとき、
敵の戦力だと思い敵対するのですが、
10歳の時に純正ロボットのT-800と擬似父子的関係を育んだ記憶は
闘いの中で既に彼方へと消え去ったのか。
和解するときにも思い出した様子はありません。
スカイネット基地へと乗り込んだジョンとマーカスは、
最新型ターミネーターT-800と対面します。
その顔は若き日のアーノルド・シュワルツェネッガー!!(CG)
「よ!待ってました!」と思わず拍手をしてしまう。
この場面でのマーカスはかつての「2」でのT-800の役割で
一時の機能停止から蘇生までオマージュされる周到ぶり。
全体として「3」のハート型サングラスの様な
たちの悪いパロディは無く、正統派オマージュでシリアス、
ドラマにも重点を置き、キャメロン監督への敬愛が感じられ、
シュワちゃん抜きでよくやったと思います。
しかしながら、最近放送した「ターミネーター2」を
やはり食い入る様に鑑賞してしまったこと。
それを思うとそのクオリティの壁はまだ超えられない。
これからの2作品に期待しましょう。
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