心のアクション ~新宿インシデント ― 2009年05月12日 23時23分46秒

ジャッキー・チェン主演バイオレンス作品
「新宿インシデント」についてのこと。
アクション&コメディの"いつものジャッキー映画"である、
「タキシード」や「ラッシュアワー2」の頃の
プロモーション活動の中でジャッキーが、
「ラッシュアワー2」のようなアクションはもううんざり
というようなことを語っていました。
その後、「ラッシュアワー3」の契約書に
ジャッキーがなかなかサインをしないという噂があったり、
また日本の番組の中で、これまでの活動の中で体に受けた傷が、
毎朝の様に体が軋む様な痛みとなって襲ってくると語り、
心身ともに、長年のアクション俳優としての活動に
悩む時期に差しかかっているのだなと感じたものです。
ジャッキーの場合、もちろん周囲からの期待が
未だに根強くアクション・コメディ方面に向いており、
それと、俳優としての自分の活動の幅を広めたいという
長らく一定のイメージが固まった俳優のほとんどが
悩む壁にぶつかっていたということでしょう。
日本ではかつて「幸福の黄色いハンカチ」以前の
高倉健さんがそうであったと言います。
自身の主演作の中で一番好きな映画は?
と聞かれて監督・共同脚本・主演を務めた
アクションと言うよりもヒューマンドラマ
「奇蹟(ミラクル)」をあげている点からしてもそうでしょう。
(作品の評価自体は芳しくなかった様ですが)
それより少し前、現在とは違う脚本だった「ランボー4」において、
敵側の麻薬組織のボスの役のオファーが来たらしいけども、
「さすがに悪役はファンの(特に子供達の)夢を壊す」
という理由でジャッキーは断ったのだとか。
その話が本当だとしたら、もしかすると勿体無い話だったかも。
現在では「ドラゴン・キングダム」等での際には、
アクションをこれからも続けることについて、
憑き物が取れたようなスッキリした物言いをしていましたが、
(ジェット・リーの様な極上の俳優と共演すれば当然かも)
あくまで、アクション「も」である様で、
例えば同じ作品内で演じた老人役の演技には、
新境地の開拓を狙う野心が光っている様に見受けられます。
そんなジャッキー55歳の主演した、
シリアス、バイオレンス、ダーティな今回の映画。
日本に海岸から集団で不法入国した仲間達と、
新宿歌舞伎町周辺でコミュニティを守り、
清潔とは言い難い環境で不法労働を続ける鉄頭(ジャッキー)。
彼が日本に来た最大の目的は、
先に来ていたが音信不通となった幼馴染の秀秀を探すこと。
盛り場で仕事をするうちに日本の黒社会を覗き見ることになり、
一大勢力の三和会の幹部・江口をあるきっかけで命を救い、
以来、江口と関わり黒社会の勢力の中心へ呑み込まれていく。
そして、秀秀は江口の妻となっていたのであった。
これまでのジャッキーを捨てたというものの、
幼馴染の秀秀を演じるシュー・ジンレイが35歳では、
何故かヒロインがいつも若くて可愛いこれまでのと変わらず、
香港映画流に編集も荒いところが多々ありますが、
(怪我が直ぐに治っている、同じ場所ばかり登場する等)
それを補ってありあまる魅力と気迫、いや鬼迫が感じられます。
アクションを封印したとは言え、バイオレンス映画であるため、
それに伴う殴り合いや手に汗握る展開はあります。
特にラストの駅までの果てしない逃走、
秀秀の元へ辿り着くまで死んではならないという一念、
打ち付ける鉄パイプ、切りつけられるナイフ、そして銃弾。
避け、殴り、押し退け、ひたすらに、走る。
映画の、ジャッキー史上でも屈指のシーンです。
表面はアクションではなくとも、精神は闘いに満ちている。
精神の伴わないアクションが空虚なのは明白なのだから、
心の闘争にシフトしたジャッキーのオーラ溢れる勇姿には
ファンならば心打たれるべきです。
無論、これまで全くシリアスなジャッキー映画が無かったわけではなく、
近年の「香港国際警察/NEW POLICE STORY」も、
過去の「少林寺木人拳」「新ポリス・ストーリー」等も
個人の印象の差異はあれど、シリアスではあったと思います。
ただ、香港映画独特の荒唐無稽さ等も手伝って、
真面目が裏返って笑いに変わる面も無きにしもあらずでした。
日本のヤクザ、というこれまた間違えば
笑いに変わる要素を取り込んだにも関わらず、
(これまでも香港映画×日本ヤクザでは荒唐無稽なものがあります。)
荒さはあるものの、「新宿インシデント」はこれまでのところ、
最近また日の当たり始めた、香港映画の甚く真面目なノワールの面と、
ジャッキー・チェンのハードかつウェットな一面を
絶妙なバランスで融合させている良い作品だと思います。
最近は「エグザイル/絆」他ジョニー・トー作品で
漢レベルがうなぎ登りのラム・シュー、
ジャッキーと奇妙な友情で結ばれる刑事・竹中直人、
そして威厳と存在感たっぷりの故・峰岸徹・・・。
脇を固める男達が素晴らしい。
「新宿インシデント」についてのこと。
アクション&コメディの"いつものジャッキー映画"である、
「タキシード」や「ラッシュアワー2」の頃の
プロモーション活動の中でジャッキーが、
「ラッシュアワー2」のようなアクションはもううんざり
というようなことを語っていました。
その後、「ラッシュアワー3」の契約書に
ジャッキーがなかなかサインをしないという噂があったり、
また日本の番組の中で、これまでの活動の中で体に受けた傷が、
毎朝の様に体が軋む様な痛みとなって襲ってくると語り、
心身ともに、長年のアクション俳優としての活動に
悩む時期に差しかかっているのだなと感じたものです。
ジャッキーの場合、もちろん周囲からの期待が
未だに根強くアクション・コメディ方面に向いており、
それと、俳優としての自分の活動の幅を広めたいという
長らく一定のイメージが固まった俳優のほとんどが
悩む壁にぶつかっていたということでしょう。
日本ではかつて「幸福の黄色いハンカチ」以前の
高倉健さんがそうであったと言います。
自身の主演作の中で一番好きな映画は?
と聞かれて監督・共同脚本・主演を務めた
アクションと言うよりもヒューマンドラマ
「奇蹟(ミラクル)」をあげている点からしてもそうでしょう。
(作品の評価自体は芳しくなかった様ですが)
それより少し前、現在とは違う脚本だった「ランボー4」において、
敵側の麻薬組織のボスの役のオファーが来たらしいけども、
「さすがに悪役はファンの(特に子供達の)夢を壊す」
という理由でジャッキーは断ったのだとか。
その話が本当だとしたら、もしかすると勿体無い話だったかも。
現在では「ドラゴン・キングダム」等での際には、
アクションをこれからも続けることについて、
憑き物が取れたようなスッキリした物言いをしていましたが、
(ジェット・リーの様な極上の俳優と共演すれば当然かも)
あくまで、アクション「も」である様で、
例えば同じ作品内で演じた老人役の演技には、
新境地の開拓を狙う野心が光っている様に見受けられます。
そんなジャッキー55歳の主演した、
シリアス、バイオレンス、ダーティな今回の映画。
日本に海岸から集団で不法入国した仲間達と、
新宿歌舞伎町周辺でコミュニティを守り、
清潔とは言い難い環境で不法労働を続ける鉄頭(ジャッキー)。
彼が日本に来た最大の目的は、
先に来ていたが音信不通となった幼馴染の秀秀を探すこと。
盛り場で仕事をするうちに日本の黒社会を覗き見ることになり、
一大勢力の三和会の幹部・江口をあるきっかけで命を救い、
以来、江口と関わり黒社会の勢力の中心へ呑み込まれていく。
そして、秀秀は江口の妻となっていたのであった。
これまでのジャッキーを捨てたというものの、
幼馴染の秀秀を演じるシュー・ジンレイが35歳では、
何故かヒロインがいつも若くて可愛いこれまでのと変わらず、
香港映画流に編集も荒いところが多々ありますが、
(怪我が直ぐに治っている、同じ場所ばかり登場する等)
それを補ってありあまる魅力と気迫、いや鬼迫が感じられます。
アクションを封印したとは言え、バイオレンス映画であるため、
それに伴う殴り合いや手に汗握る展開はあります。
特にラストの駅までの果てしない逃走、
秀秀の元へ辿り着くまで死んではならないという一念、
打ち付ける鉄パイプ、切りつけられるナイフ、そして銃弾。
避け、殴り、押し退け、ひたすらに、走る。
映画の、ジャッキー史上でも屈指のシーンです。
表面はアクションではなくとも、精神は闘いに満ちている。
精神の伴わないアクションが空虚なのは明白なのだから、
心の闘争にシフトしたジャッキーのオーラ溢れる勇姿には
ファンならば心打たれるべきです。
無論、これまで全くシリアスなジャッキー映画が無かったわけではなく、
近年の「香港国際警察/NEW POLICE STORY」も、
過去の「少林寺木人拳」「新ポリス・ストーリー」等も
個人の印象の差異はあれど、シリアスではあったと思います。
ただ、香港映画独特の荒唐無稽さ等も手伝って、
真面目が裏返って笑いに変わる面も無きにしもあらずでした。
日本のヤクザ、というこれまた間違えば
笑いに変わる要素を取り込んだにも関わらず、
(これまでも香港映画×日本ヤクザでは荒唐無稽なものがあります。)
荒さはあるものの、「新宿インシデント」はこれまでのところ、
最近また日の当たり始めた、香港映画の甚く真面目なノワールの面と、
ジャッキー・チェンのハードかつウェットな一面を
絶妙なバランスで融合させている良い作品だと思います。
最近は「エグザイル/絆」他ジョニー・トー作品で
漢レベルがうなぎ登りのラム・シュー、
ジャッキーと奇妙な友情で結ばれる刑事・竹中直人、
そして威厳と存在感たっぷりの故・峰岸徹・・・。
脇を固める男達が素晴らしい。
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