女達の赤壁 ~レッドクリフ PartII ― 2009年05月11日 23時30分14秒

三国志演義の屈指の見せ場、赤壁の戦いを映画化した
ジョン・ウー監督作「レッドクリフ PartI」の完結編、
「レッドクリフ PartII -未来への最終決戦」についてのこと。
「PartI」にて曹操軍による劉備軍への追撃、
単騎で阿斗を救出する趙雲の活躍を描く長坂の戦い編、
孔明の提案による劉備軍と孫権軍の同盟と、
周瑜と孔明の腹の探り合いと友情めいた信頼の構築において、
男達のドラマを描きだしたのならば、
「PartII」は「女達のレッドクリフ」と言いましょうか。
周瑜の妻、小喬を林志玲(リン・チーリン)が演じ、
その心の強さが女性ファンからの支持を得ている
らしいことを先日お伝えいたしましたが、
空を紅く染め上げるほど盛大に曹操水軍を燃やし尽くす炎、
そのための敵側へ吹く風の変わる時を稼ぐため、
曹操が自分を略奪しようと知っている小喬は
自らの意志で夫に黙って単身、曹操の下へ乗り込んでいく。
そうして彼女が時間を稼いでいるとき、
男達は草原の中でじっと風が変わる時を待ち続ける。
敵側へ向かう風が吹いた瞬間、はためく衣がこの上なく美しい。
戦う女、待つ男。一般的な図式には逆らう構図とはいえ、
双方の場面が緊張を生み、そして
お互いの信頼と絆の確信に変わっていく。
リン・チーリンは噂に違わぬ魅力でしたが、
私がより好きなのは孫権の妹・孫尚香を演じる
ヴィッキー・チャオでございます。
日本では「少林サッカー」が最初のメジャー大作ですが、
この時はチャウ・シンチーの例の如くのセンスで、
クリクリ頭になって「火星に帰れ」と言われる
太極拳の使い手の少女役で、素の魅力が感じられるとは言い難い。
むしろ、後作のスタイリッリュにして任侠的アクションにて、
スー・チー&カレン・モクと堂々渡りあった「クローサー」、
中井貴一と共演した歴史大作「ヘブン・アンド・アース」、
そして殺人的なまでの可愛さを発揮した、
「夜の上海」(本木雅弘と共演)などこそ本領と言って良いです。
リン・チーリンはいかにも大人の女性であるわけですが、
ヴィッキー・チャオはやや童顔でありながら
(30歳過ぎで女子高生役も演じるのがそう無理でもない)
達観したような物言いもするギャップが魅力。
と、評するのはオタク思考っぽい言い方なのですが。
今回のヴィッキーはちょっと老け顔気味で
いつもの可愛さが拝みきれずに残念なことこの上ない。
これで「クローサー」の頃の魅力を発揮していれば、
この「レッドクリフ PartII」は
私の中で今年のベスト10最有力候補であります(言いすぎ)。
まあ、それだけヴィッキーの担う役は重要で、
敵陣に男装して潜入し、敵の動きを随時孫権軍に報告するスパイ役。
そして、連絡手段はジョン・ウー御馴染みの"鳩"!
これだけで、ある意味でリン・チーリンより格上の扱い(笑)。
その潜入任務から帰還し、男装用のサラシを、
小喬に引っ張られてクルクルと回りながらはらりと脱ぎ、
(丁度、お代官様が芸者の帯を解く様な、あの動き)
そのサラシに敵陣営の地図が詳細に書かれている大手柄。
このヴィッキーがクルクル回る様を、
男達が赤面しながら顔を隠し、ヴィッキーが溌剌とした笑みで
男装から尚香に戻っていく様子がはっとするほど可愛い。
"いつもの可愛さが拝みきれずに残念なことこの上ない"
と前述したものの、このシーンで面目躍如と言いたい。
何しろ、完全に尚香に戻るとまた男勝りの女傑なのですから。
"瞬間に除く女の子らしさ"、それに男は弱いことを力説しておく(笑)。
その大手柄を認め、「怒ってすまなかった」と、
妹を優しく両腕で包みこむ兄・孫権との兄妹愛も麗しい。
うーん、代わりたい、そう思ったことは素直に告白しよう。
二人の強き女優たちに、金城武もトニー・レオンも、
「PartI」であれだけアクの強かった中村獅堂らも、
一挙に霞んでしまった感は否めませんが、
もともと「PartI」「PartII」は一本の映画であることを考えて、
二つで一つの作品を鑑賞したとすれば構成には
なんら無理はないかと思います。
今の時代は先人達の築いた歴史の上に成り立っている、
とジョン・ウーはメッセージを寄せていますが、
まさに、歴史は戦う理由、退かぬ理由、前進する理由、
その陰に男達から女達への想いあり、
女達から男達への想いあり、とすれば、
男と女のそれぞれの戦いを「レッドクリフ」1作に収めたのは、
当然のことなのかもしれません。
ジョン・ウー監督作「レッドクリフ PartI」の完結編、
「レッドクリフ PartII -未来への最終決戦」についてのこと。
「PartI」にて曹操軍による劉備軍への追撃、
単騎で阿斗を救出する趙雲の活躍を描く長坂の戦い編、
孔明の提案による劉備軍と孫権軍の同盟と、
周瑜と孔明の腹の探り合いと友情めいた信頼の構築において、
男達のドラマを描きだしたのならば、
「PartII」は「女達のレッドクリフ」と言いましょうか。
周瑜の妻、小喬を林志玲(リン・チーリン)が演じ、
その心の強さが女性ファンからの支持を得ている
らしいことを先日お伝えいたしましたが、
空を紅く染め上げるほど盛大に曹操水軍を燃やし尽くす炎、
そのための敵側へ吹く風の変わる時を稼ぐため、
曹操が自分を略奪しようと知っている小喬は
自らの意志で夫に黙って単身、曹操の下へ乗り込んでいく。
そうして彼女が時間を稼いでいるとき、
男達は草原の中でじっと風が変わる時を待ち続ける。
敵側へ向かう風が吹いた瞬間、はためく衣がこの上なく美しい。
戦う女、待つ男。一般的な図式には逆らう構図とはいえ、
双方の場面が緊張を生み、そして
お互いの信頼と絆の確信に変わっていく。
リン・チーリンは噂に違わぬ魅力でしたが、
私がより好きなのは孫権の妹・孫尚香を演じる
ヴィッキー・チャオでございます。
日本では「少林サッカー」が最初のメジャー大作ですが、
この時はチャウ・シンチーの例の如くのセンスで、
クリクリ頭になって「火星に帰れ」と言われる
太極拳の使い手の少女役で、素の魅力が感じられるとは言い難い。
むしろ、後作のスタイリッリュにして任侠的アクションにて、
スー・チー&カレン・モクと堂々渡りあった「クローサー」、
中井貴一と共演した歴史大作「ヘブン・アンド・アース」、
そして殺人的なまでの可愛さを発揮した、
「夜の上海」(本木雅弘と共演)などこそ本領と言って良いです。
リン・チーリンはいかにも大人の女性であるわけですが、
ヴィッキー・チャオはやや童顔でありながら
(30歳過ぎで女子高生役も演じるのがそう無理でもない)
達観したような物言いもするギャップが魅力。
と、評するのはオタク思考っぽい言い方なのですが。
今回のヴィッキーはちょっと老け顔気味で
いつもの可愛さが拝みきれずに残念なことこの上ない。
これで「クローサー」の頃の魅力を発揮していれば、
この「レッドクリフ PartII」は
私の中で今年のベスト10最有力候補であります(言いすぎ)。
まあ、それだけヴィッキーの担う役は重要で、
敵陣に男装して潜入し、敵の動きを随時孫権軍に報告するスパイ役。
そして、連絡手段はジョン・ウー御馴染みの"鳩"!
これだけで、ある意味でリン・チーリンより格上の扱い(笑)。
その潜入任務から帰還し、男装用のサラシを、
小喬に引っ張られてクルクルと回りながらはらりと脱ぎ、
(丁度、お代官様が芸者の帯を解く様な、あの動き)
そのサラシに敵陣営の地図が詳細に書かれている大手柄。
このヴィッキーがクルクル回る様を、
男達が赤面しながら顔を隠し、ヴィッキーが溌剌とした笑みで
男装から尚香に戻っていく様子がはっとするほど可愛い。
"いつもの可愛さが拝みきれずに残念なことこの上ない"
と前述したものの、このシーンで面目躍如と言いたい。
何しろ、完全に尚香に戻るとまた男勝りの女傑なのですから。
"瞬間に除く女の子らしさ"、それに男は弱いことを力説しておく(笑)。
その大手柄を認め、「怒ってすまなかった」と、
妹を優しく両腕で包みこむ兄・孫権との兄妹愛も麗しい。
うーん、代わりたい、そう思ったことは素直に告白しよう。
二人の強き女優たちに、金城武もトニー・レオンも、
「PartI」であれだけアクの強かった中村獅堂らも、
一挙に霞んでしまった感は否めませんが、
もともと「PartI」「PartII」は一本の映画であることを考えて、
二つで一つの作品を鑑賞したとすれば構成には
なんら無理はないかと思います。
今の時代は先人達の築いた歴史の上に成り立っている、
とジョン・ウーはメッセージを寄せていますが、
まさに、歴史は戦う理由、退かぬ理由、前進する理由、
その陰に男達から女達への想いあり、
女達から男達への想いあり、とすれば、
男と女のそれぞれの戦いを「レッドクリフ」1作に収めたのは、
当然のことなのかもしれません。
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