転換点との再会 ~青春ラジメニア 20周年記念アルバム2009年05月03日 23時07分51秒

Amazonをぷらぷら眺めていたら、
「青春ラジメニア 20周年記念アルバム/
アニソン玉手箱~ひねくれの逆襲」
というCDがあったので注文しました。

アニメソングが20曲収録されたアルバムですが、
購入の決め手は「まんが水戸黄門」の主題歌
ザ・チャンバラ」の原曲フルコーラスが収録されている点。

あの「トリビアの泉」でも紹介された歌なので
ご存知の方も多いかと思いますが、
これは私の知る限りでは初のCD化であったはず。

「まんが水戸黄門」の音楽を担当した、
巨匠・羽田健太郎が手掛けたTVドラマ・アニメ・映画の曲を収録した
ハネケンランド~羽田健太郎 その映像音楽の世界~
が2003年に発売された際に、「ザ・チャンバラ」が
収録されなかったことが残念だったと、
ファンの間からは聞こえてきて私もその一人でしたが、
今回のこのアルバムでとりあえずの溜飲が下がりました。


しかし、いざ手元に届いてみると、その喜びよりも
青春ラジメニアの想い出の日々の方が
より深い感慨を持って迫ってきました。


青春ラジメニア」とはAM神戸にて放送されているラジオ番組。
私が聞いていた頃は1993年頃から2000年ぐらいまでの
高校から大学卒業までの時期だったと思います。

ウィキペディアのデータによると、
2007年9月29日までは土曜日24:00-26:00
一時期、金曜日23:00-25:00、同22:00-24:30、
土曜日24:30-26:30の時間帯で放送。
とのことですが、私の記憶では木曜日の深夜だったように思う。
まあ、古い記憶なのでよく分からない。


私がアニメソング、略して"アニソン"に踏み込んだのも
大体1995年前後の中学生後半期から高校にかけての頃でした。
どこの業界でもそうですが、当時はアニメ界にも
何年かに一度やってくる激動の変動期だったように思います。

「機動武闘伝Gガンダム」「新機動戦記ガンダムW」の新生代ガンダム、
現在までに至る「新世紀エヴァンゲリオン」の登場、
あるいは、「スラムダンク」「幽々白書」等の作品群で、
特に美声・萌声(当時まだ「萌え」はなかったと言って良いが)の
声優達を強調した何期目かの声優アイドルブームが旋風を巻き起こる。

そして、ゲーム界より当時まだプラットフォームがSFCだった
「第3次スーパーロボット大戦」から「第4次スーパーロボット大戦」への
懐かしアニメがVHSやLD(まだDVDではない)で発売される
リバイバルブームが起こり、そこから水木一郎やささきいさお等の
1970年代にアニソンで活躍した歌手達もまた復活。

一方で、「るろうに剣心」とJUDY AND MARYの組み合わせで
一気に加速し始めるメジャーアーティストとの主題歌タイアップ。
これは良くも悪くもアニメファンの裾野を拡大することに。

また、ゲームではPS・SSが発売され、
アニメーションや声優によるCV(キャラクターボイス)が
頻繁にゲーム内の演出として取り込まれるようになり、
「ときめきメモリアル」の移植版が登場してブームを起こす。


と、同時多発的に様々な動きが起こりそれが大きな波となって、
アニメ界を揺るがしていった時代だったように思えます。
その流れの中で雨後の筍のように大量生産されたのが、
主に声優がパーソナリィを務めるアニメ関連のラジオ番組。

ほとんどがTVの新番組と連動したもので期間限定でしたが、
中には純粋な声優のトークを楽しんだり、
(林原めぐみの「ハートフル・ステーション」「東京ブギーナイト」等)
ラジオの特性を活かしてアニメソングを存分にかける番組もあり、
(冨永みーな&椎名へきるの「マルチメディア・カウントダウン」等)
それらは声優の人柄や会話のセンスも良く生き残ってくことになります。

その中で異彩を放っていたのが「青春ラジメニア」。
何しろ、多くの番組が30分程度の番組だったにも関わらず、
深夜とは言え2時間の番組でアニメソングを、
リスナーからのリクエストによってかけまくる、
しかも基本はフルコーラス、選曲も今の主流に習わず、
新旧はもちろんOP・ED以外に挿入歌と縦横無尽に、
という点で、私の中では他の番組を追随を赦しませんでした。


当時も今も、アニメソングの(特に昔の曲)CD化は
一般曲に比べれば恵まれておらず、レア曲が数多く存在します。
それが「青春ラジメニア」を注意深く聞いていると、
ほぼ完全な形で曲がかかることが、たまにある。
そのため、放送は毎回録音・保存が当たり前となり、
そうして曲を抽出して編集したレア・トラックが10巻程完成しました。

私もそんなファンでしたが性能の良いラジオが壊れてから、
どのラジオを使用しても今ひとつであるため、
やむなく卒業していった経緯があります。


リスナーのリクエストに支えられてここまで来た20年だと思いますが、
選曲を巡ってはパーソナリティの"岩ちゃん"、"かおりん"の二人が、
イマドキのアニソンは・・・、と歯に衣着せずに言うので、
リスナー間との物議も醸しだした番組でもありました。
それでいて、普通の番組ならばメジャーな主題歌をかけるところを、
挿入歌やイメージソング、B面曲を流したりと王道を避けるところも。
今回のアルバム副題に"ひねくれ"とついている所以です。

それはそれで興味深い内容でありましたし、
何より、たかだかアニメという一般のオトナの見解ではなく、
されどアニメであり、その魅力や存在意義を真剣に考えていたことが、
私のアイデンティティーにも影響を与えてくれたように思えます。

かくいう私も、ラジメニアにリクエスト葉書を送り、
それがお便りとともに読み上げられた経験があります。
もちろん、それも録音していたはずなので、今もあると思う・・・。
あれは石ノ森章太郎先生の何回目かの追悼特集で、
リクエスト曲は「チックンタックン」のOPでした。


ラジメニアに出会い、以降、私のアニソン熱は益々燃え盛り、
同時に「スーパーロボット大戦」にハマってオタク道を歩き、
その加速に乗って大学では漫画研究会に入会することとなります。

それが無ければ少なくとも漫研の面々には会っていなかったかも。
また、昔ほどアニメや漫画には詳しくないものの、
そのオタク気質は現在は映画愛好の面で発揮されています。
そこからまた現在の自分を形作るものが生まれ・・・。


何が自分の人生に影響を与えてくれるかは分からない。
それは振り返った時に初めてわかることもある。
少なくとも「青春ラジメニア」も自分にとって
運命の出会いだったのかも。

まだ行ったことのない神戸の空へ向けて、感謝をこめて・・・。

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