機械のカラダ2007年10月16日 23時32分24秒

近ごろ最も気になる映画はそのタイトルからして秀逸
「0093 女王陛下の草刈正雄」です。
ギャグか本気か、シリーズ化を狙っているそうな。

さて今夜はSF映画「ダフト・パンク・エレクトロマ」。
音楽に疎い私はダフト・パンクを知らず、
松本零士とコラボしていたことでようやく思い出した次第。
そのダフト・パンクが監督し、カンヌ映画祭に出品された話題作。

<物語>
人間になりたいと思う2体のロボットが車で荒野を走る。
自分たちと同じヘルメットを被る人々(ロボット?)がいる田舎街を訪れ、
科学者に人間の顔を作ってもらうが・・・・。


セリフは一切無く全て映像と音楽で語られる形式。
それでいてミュージック畑の監督作にありがちな
安易なCGと色の叛乱にはならず、
大陸の荒野とロボットのデザインで魅せる心意気がかえって新鮮。
それが主人公達の内面を想像し覗き見ていくようにさせます。

科学者の技術(というほどではないのですが)で手に入れた顔は
なんと太陽の熱でドロドロに溶けてしまいます。
すると、自分たちと違う顔の主人公達を周りの住人達が
排除しようと襲い掛かります。

突出した相違点を奇異の目で見る人間の悪い面にも見えます。
また全て同じ風貌の機械の住人達、
というのも没個性や機械社会の一部といった現代人の比喩にも見えます。

というように本作は近未来SFのように見えて、
現代社会と照らし合わせる深読みができる内容になっています。

人間になるためまず「顔」というみかけから入ること。
願いが叶わないのなら自殺(自爆)してしまうこと。
実はその悩む悲しむ感情こそが人間になる
ということとも言えますがそれに気づかないこと。
それもまた現代の人間の特徴でもあるのではないでしょうか。

その思考の迷路にはまったままさらに進めるならば
マイナス面に人間性を感じるとすれば、
現代の人間は負の側面ばかり表に出ているかもしれず、
その警告とも受け取るべきではないでしょうか。

そこから抜け出し、我々が人間に戻りたいと思うのはいつの日か?
本作は鑑賞者を無限の思考の海へ誘います。
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