若者の力2006年09月30日 02時56分27秒

先日は凄い雨で出不精になったのではないかと思いますが、
そんな間隙を縫って映画館へ出陣。
「出口のない海」を鑑賞しました。

あまり知られていない、というよりある種のタブーではなかろうか、
という人間魚雷に乗った若者たちの青春の日々を描いた作品。
原作:横山秀夫、脚本:山田洋次などビッグネームが並びます。

戦争が無ければ夢を恋人を追えたであろう若者達。
いや、戦争があっても生き残りさえすれば
その後の復興の大きな力となったであろう若い力。
勝っても負けても人間がいなければ国は成り立ちません。
特攻精神という覚悟はすごいと思いますが、
戦争終結後のことをまるで見ていません。

一時の休息に普通の青春を送る若者が戻る場所が、
帰れぬ戦場とはあまりに酷な話です。


ただ、青春の描写が目立ちすぎる感がありまして、
生命を散らせるしかない若者達の悲壮感が足りない気がします。
その時代の背景や厳しい戦況が映像から伝わってきません。
戦っている相手の姿もほとんど出てこないのも原因かと思います。
十数年前に「君を忘れない」というやはり物足りない邦画がありましたが、
今回似たような印象を受けました。

当時を知る人達は分かるのでしょうが、
戦争を知らない世代に伝えるにはもう一歩足りないのではないでしょうか。

しかも私たちが一番見たいのは主人公・並木が
最後の出撃を果たすシーンであると思うのですが
それがはっきり描かれないのはどうもしっくりきません。
小説としてはありでも絵的には物足りませんよ。

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