クライヴ・オーウェンという男 ~ザ・バンク/堕ちた巨像 ― 2009年04月18日 23時02分03秒

クライヴ・オーウェン主演サスペンス
「ザ・バンク/堕ちた巨像」についてのこと。
出演作も主演作も日本公開されているのに、
日本ではいまいち一般客には知名度が高まらない
クライヴ・オーウェンですが覚えていて損はない、
彼の名をキャストに見つけたらとりあえず鑑賞して良い。
といっても安全パイのスターではなく、
きっちりどころかがっちり、いやどっかりと
期待以上の演技を見せてくれる確かな実力派。
ショーン・ペンのようなカメレオン型に
バンデラスのような艶っぽさを2、3滴足した様な
顔はやや汚れ気味というか香が漂いそうなオッサンですが、
これでも40歳前後の時には次代ジェームズ・ボンドの
オファーが来たくらいのイギリスから来た伊達男です。
結局、ボンド役はクライヴではなくクレイヴに行ったわけで。
ちょっと苦しいか。
で、今度の「ザ・バンク」はそのクライヴ・オーウェンが、
欧州の巨大銀行IBBCの違法取引を捜査する、
インターポール捜査官サリンジャーを演じる。
ボンドの様なスパイではないものの、
発表時からこれはクライヴ版「007」ではないか?
との見方が囁かれていました。
確かに物語は銀行の違法取引から裏世界の武器取引に及び、
首筋に毒、長距離からの狙撃等プロの仕事人の様な殺し屋、
終盤のNYグッゲンハイム美術館での吹き抜けで
天上からガラスが降り注ぐ銃撃戦は、
「007/慰めの報酬」の冒頭アクションを思わせます。
クレイヴのボンドも妄想したくなりますが、
しかし彼はカメレオンなのでやはり実際には
「ザ・バンク」とは違った独特のボンドを作るはず。
カメレオンの変色も様々ンですがクレイヴの化け方は
相手役にあわせてぴったり合致する様な変化だと思います。
「シューテム・アップ」では肉感的な
モニカ・ベルッチ相手に艶っぽく、
「エリザベス:ゴールデン・エイジ」では猛々しい
ケイト・ブランシェット相手に粗野な魅力を、
「インサイド・マン」ではデンゼル・ワシントン
ジョディ・フォスターを相手に心の見えぬ男を・・・
七変化でも相手を受け止め作品やからは逸脱せず、
さらに相手の魅力をも引き出すのです。
そのクライヴの今回の相手はナオミ・ワッツ。
彼女はオーストラリアから出てきた女優で
(生まれはイギリス)同じく豪州の出の
ニコール・キッドマンと親交が深い。
付き合いは15歳の頃からだそうだけど、
ニコールが早くから芽が出たのに対し、
ワッツは長らく不遇の時代が続きます。
意思を持った殺人エレベーターの話などと言う
お世辞にも褒め辛いものにも出演。
しかしながら、キッドマンが大作の後に
数本の小品に出演するサイクルで活動しながらも、
その小品も脇道のA級ともいうような、
所謂芸術作品や気鋭の新人を選んでいる一方、
ワッツが長い下積み時代が良い意味で
B級色を身に付けさせる様になっています。
だからキッドマンだと別世界のファンタジーになるところ、
ワッツは親近感と現実感を抱かせてくれます。
もちろん、キッドマンの自身のオーラを消す力や、
ワッツのデビット・リンチワールド民になる力もあるけれど。
「ザ・バンク」でのワッツの役どころは
NY検事局のホイットマン検事。
知的で繊細な美貌の正義感の強い役を好演。
クライヴと彼女の背中を預けあうような捜査が魅力。
一瞬、二人が深い関係になりそうな描写があるものの、
この映画にそんな甘さは許されず、また互いに立ち入らない。
それでも悉く遮られ息詰まる捜査に焦燥を抱き、
法を超えて裁きを下すために一人旅立つクライヴが
ワッツに別れを告げる場面では深い信頼が感じられます。
最後まで悪の根源をクライヴの手で絶てないラストには、
現実の重さと巨像達の巨大さを示されますが、
ワッツが先頭に立ち追求を続けていく終わりに、
やはり二人の人間の信頼の強さを感じずにはいられないのです。
「ザ・バンク/堕ちた巨像」についてのこと。
出演作も主演作も日本公開されているのに、
日本ではいまいち一般客には知名度が高まらない
クライヴ・オーウェンですが覚えていて損はない、
彼の名をキャストに見つけたらとりあえず鑑賞して良い。
といっても安全パイのスターではなく、
きっちりどころかがっちり、いやどっかりと
期待以上の演技を見せてくれる確かな実力派。
ショーン・ペンのようなカメレオン型に
バンデラスのような艶っぽさを2、3滴足した様な
顔はやや汚れ気味というか香が漂いそうなオッサンですが、
これでも40歳前後の時には次代ジェームズ・ボンドの
オファーが来たくらいのイギリスから来た伊達男です。
結局、ボンド役はクライヴではなくクレイヴに行ったわけで。
ちょっと苦しいか。
で、今度の「ザ・バンク」はそのクライヴ・オーウェンが、
欧州の巨大銀行IBBCの違法取引を捜査する、
インターポール捜査官サリンジャーを演じる。
ボンドの様なスパイではないものの、
発表時からこれはクライヴ版「007」ではないか?
との見方が囁かれていました。
確かに物語は銀行の違法取引から裏世界の武器取引に及び、
首筋に毒、長距離からの狙撃等プロの仕事人の様な殺し屋、
終盤のNYグッゲンハイム美術館での吹き抜けで
天上からガラスが降り注ぐ銃撃戦は、
「007/慰めの報酬」の冒頭アクションを思わせます。
クレイヴのボンドも妄想したくなりますが、
しかし彼はカメレオンなのでやはり実際には
「ザ・バンク」とは違った独特のボンドを作るはず。
カメレオンの変色も様々ンですがクレイヴの化け方は
相手役にあわせてぴったり合致する様な変化だと思います。
「シューテム・アップ」では肉感的な
モニカ・ベルッチ相手に艶っぽく、
「エリザベス:ゴールデン・エイジ」では猛々しい
ケイト・ブランシェット相手に粗野な魅力を、
「インサイド・マン」ではデンゼル・ワシントン
ジョディ・フォスターを相手に心の見えぬ男を・・・
七変化でも相手を受け止め作品やからは逸脱せず、
さらに相手の魅力をも引き出すのです。
そのクライヴの今回の相手はナオミ・ワッツ。
彼女はオーストラリアから出てきた女優で
(生まれはイギリス)同じく豪州の出の
ニコール・キッドマンと親交が深い。
付き合いは15歳の頃からだそうだけど、
ニコールが早くから芽が出たのに対し、
ワッツは長らく不遇の時代が続きます。
意思を持った殺人エレベーターの話などと言う
お世辞にも褒め辛いものにも出演。
しかしながら、キッドマンが大作の後に
数本の小品に出演するサイクルで活動しながらも、
その小品も脇道のA級ともいうような、
所謂芸術作品や気鋭の新人を選んでいる一方、
ワッツが長い下積み時代が良い意味で
B級色を身に付けさせる様になっています。
だからキッドマンだと別世界のファンタジーになるところ、
ワッツは親近感と現実感を抱かせてくれます。
もちろん、キッドマンの自身のオーラを消す力や、
ワッツのデビット・リンチワールド民になる力もあるけれど。
「ザ・バンク」でのワッツの役どころは
NY検事局のホイットマン検事。
知的で繊細な美貌の正義感の強い役を好演。
クライヴと彼女の背中を預けあうような捜査が魅力。
一瞬、二人が深い関係になりそうな描写があるものの、
この映画にそんな甘さは許されず、また互いに立ち入らない。
それでも悉く遮られ息詰まる捜査に焦燥を抱き、
法を超えて裁きを下すために一人旅立つクライヴが
ワッツに別れを告げる場面では深い信頼が感じられます。
最後まで悪の根源をクライヴの手で絶てないラストには、
現実の重さと巨像達の巨大さを示されますが、
ワッツが先頭に立ち追求を続けていく終わりに、
やはり二人の人間の信頼の強さを感じずにはいられないのです。
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