Poka Poka ~キャラメルフォンデュの奇跡2009年03月02日 23時56分47秒

毎日毎日適当なことを書いている私ですが、
こう見えても、読んだら「へー」と思うとか
「ね、これ良いんじゃない?」と言いたくなるとか
少しでも何か得た気がするものを書けないか考えるものです。

結局のところ、良いものを読んで血肉にして
記事の数をこなしてやっと出てくるかこないかの、
砂金取りみたいなことを続けるしかないのですが。


そんな私のまだまだ駆け出しのカフェ散歩。
さる2月28日の夜。夜カフェ再びです。

今回のお店は、えりさんが雑誌で発見した
「キャラメルフォンデュ」が食べられるお店。
仙台フォーラス裏の路地に立つ小さくかわいいお店。
Poka Poka(ポカポカ)」です。



なんかですね、我らの席の反対側では結婚するお二人を
友人同士で囲むお祝い会が催されておりまして、
ちょっと照明を落とす演出とか、おめでとうケーキとか、
二人を慕う後輩からのメッセージとか、
この上ない和やかなムードでございましたよ。
全くの他人ですが、お幸せに~。


そんな我ら、タマさん、えりさん、私は。
皆、目下のところ青い鳥を虎視眈々探しております(笑)。


さてさて、このお店、調べてみますと以前にこのブログで紹介した
コンコンブル」と姉妹店だそうで、
他に「noon~DINETTE FOR HAPPINESS~」「Bevitore」という姉妹店があります。
この4店舗が、飲食店コンサルティングを行っている
こちらの会社の協力を得ているとのことで、
外観などがなんとなく似ています。
もちろん、お店に入ればお店の人の個性で違ってきます。

「コンコンブル」は女性の家庭料理的な雰囲気でしたが、
「PokaPoka」は男手オンリーのようです。
でも素敵な内装でとても男だけのように見えません(笑)。


キャラメルフォンデュはコース料理なので、
まずは前菜です。これは3人分三皿出てきました。
これですね、侮れません。
チーズ入りのパウンドケーキ(ケーク・サレ)に乗せて食べると・・・ふふ。


次はトマトソースのパスタ。
とろけるチーズが絡められていて香が良い~!


パスタorピッツァ、と書いてあった気がするのですが、両方でてきました。
まあ、良いや。とにかく得した感じです。
4種類のチーズを使っているというので「クワットロ・フォルマッジ」。
4種のチーズの詳細については聞きませんでしたが、
モッツァレラ、ゴルゴンゾーラ(青黴のね)は大体入ると思う。
底はカリッと。周りはもちっと。イタリアンですな。


これはコース外の単品。オススメ!
「モッツェラチーズのスティック春巻き」。
モッツェラチーズをシソで巻いてパリパリの春巻きに。
ソースがね、甘辛くて美味しいのですが、
材料について3人で議論しても答えは出ず。
意外とベトナム方面とか・・・。

ほーれ。チーズがびろーんと延びますよ。美味すぎ~!
(注:食べ物で遊ばない!)


次もコース外。若鶏Asianジューシー唐揚げ。
これもお勧めです。
衣が私好みのザクザクしたタイプ。
肉もギッシリ、ジューシー。


こちらは、ぐるなびのクーポンでサービスのデザート。
1枚のクーポンで、ちゃんと3人分出ましたよ~。

しっかりした手作り感で、しかもかわいい~。
もう一度言いますけど、厨房は男たちです。

ちょっと残念なのはスウィーツのテイクアウトはできないのだそうで。
テイクアウト狙いならば姉妹店の「コンコンブル」ですよ。


さて、お腹が膨らんだところで真打登場!
本日の主役!デザートにしてメインデッシュ!
我等、この瞬間のために生きてきた!
「キャラメルフォンデュ」登場っぉ!!

あまーい香が空間にいっぱい~!
思わず眠ってしまう?(DQ)
トッピングはパンに、クッキー、苺にバナナとスウィーツ揃い。

もっと寄りますか?しょうがないな~!

ほれ、ご覧あれ。この煌めく褐色の飴。
その輝きは星屑の瞬きの宝石の如く。
麗しき香を、味を想像したまえ!


いや~っん!!!!!この瞬間!もう最高!
期待以上の甘さ!甘党には至上の愛!
どうか神様!あと一秒!長く味あわせてくだされ!


という祈りに答える神の右手の力か、最後に味わうは、
フォンデュの器として登場したパンのポット。
ただの余りものとは違うのだよ。
キャラメルが染みに染みたこの極上のパン!
ジュワ~と染み出すこのキャラメルと言ったらもう!
至福の味わい。



キャラメルフォンデュは2月の限定メニュー。
食べられるのはまた来年のお話。
いやー、2月の最後に良い思い出となりました。
駆け込みで行って正解!
お店の雰囲気も、一人で入っても良さそうなところなので、
今度はランチに行きましょう。
ランチタイムがですね、17:00までと長くて、
17:00以降は間髪いれずにディナータイムに移行するのですよ。
中休みが無い。これって重宝しますよ。

という分けで今回の夜カフェも終了!
皆さんありがとうございました!
早速、次回はどこかな~?

合言葉は、Shall we カフェ?(笑)

あの男2009年03月03日 22時06分51秒

今日の休日も朝から仙台コロナワールド(泉ではない)、
セントラルホール、TUTAYA、と動き回りました。
過去3番目の暖冬、とか新聞では報じながらも
またなんか寒くなってきましたね。明日は雪ですってよ。


しかし、気温の寒さなど人生の寒さに比べれば大したことはない。
人生に嵐吹荒れる男の真実と虚構の映画、
「その男、ヴァンダム」についてのこと。

ヴァンダムとは、もちろん、ジャン=クロード・ヴァン・ダム。
かつて空手チャンピオンの名を引っさげて
ベルギー・ブリュッセルから渡米し、下積みから
1980年代、ハリウッド・アクションスターに上り詰めた男。

しかし、寄る年波には勝てず、体の動きは鈍り息も切れる。
良い仕事も減り、作品は劇場公開されずパッケージのみ。
4度に及ぶ結婚・離婚。積み重なる慰謝料。
娘の親権を巡る裁判の弁護料も払えない。
ついには金を払わなければ降りる!と弁護士がキレる。
気の乗らない作品のオファーを受けてギャラを前借りし、
郵便局に送金してもらい、下しに行ったら強盗に人質に捕られた!

腐ってもアクションスターなら強盗の2、3人なんて軽く・・・
おいおい!パシリに使われているぞ!
しかも、住民と警官はどん底のヴァンダムが
ヤケになって襲撃したと思い込み・・・


というのは映画の中の"虚構"のヴァンダム。
しかし、郵便局強盗疑惑と一部を除いて限りなく"現実"のヴァンダム。
ちょっと、現実のヴァンダム像を誤解しないか不安になるほど。
でも、ヴァンダム自身が製作総指揮を務め、
監督との厚い信頼関係を築いたと言うのだから感服の自虐。
いやいや、自虐を力に変えた繭からの羽化と言ってもいい。

もっとも、鑑賞しに行った動機としては落ち目のスターの
この面白すぎるシチュエーションを観たいという
極めて野次馬根性的な失礼なものであるのですが。
それでも、かつては「ユニバーサル・ソルジャー」
「ダブルインパクト」「サドン・デス」「ハード・ターゲット」等々、
1990年代半ばまでのアクションと言えば
意識しなくともヴァンダム兄貴に触れる機会は多く、
つい先日もTVで放送していた「ファイナル・レジェンド」を
結構面白く鑑賞していた次第でもあります。

ゲーム作品の映画化の「ストリートファイター」には、
「ドラゴンボール」に対する鳥山明並に「えっ?」と思ったものですが。


単にアクションスターの寿命を延ばすならば、
カメラワークやCG技術による"修正"手術でなんとかなる。
ジャッキー・チェン、スティーブン・セガール等は最近はこれ。

全盛期に伝説を作り上げた人間は強い。
シルベスター・スタローンは人生そのものが映画の奇跡となった。

アクション以外にも活動の場を見出した者。
シュワルツェネッガーは政治家・実業家等の活動が広い。
ブルース・ウィリスは元々がコメディアン。
前述の俳優達もプロダクション経営なり後進の指導なりに務めている。

ヴァンダムとて、脚本を書き監督も務めた経験があります。
しかし、彼の場合なんと言っても仕事のそれ以上に、
私生活を巡る"あれやこれ"が仕事の足も引っ張っています。
私の鑑賞動機も失礼なものでしたが、
ちょっとヴァンダム兄貴に対する愛着も出ました。
ゴシップを巡る周囲の奇異の目が変わることが
ヴァンダム兄貴復活の鍵ではないでしょうか。


現在、世界各地でアクションスターは枯渇状態。
毎度毎度、期待の新人と言われる小童が、5年ぐらいで忘れる。
スポーツ選手のような短距離勝負なので、最初の2~3年が勝負。
脂の乗っているジェイソン・ステイサムもあと10年で、
今のヴァンダム兄貴の年に迫る!

「48歳、そろそろアクションがきつい」とは、
何もアクションスターのみならず、アラフィフ・アラフォー・アラサー
節目近づく年には誰でも抱く不安であります。
一般人も笑ってはいられないのですよ。
力を着実につける後輩は追い上げてくる。
人生において様々な重荷・足枷・垢が付いてくる。
普通の人には「プロジェクトX」のような栄光もないのだよ。
ただ、霧の中を歩き続けるのみ。

ヴァンダムの現実とダブる独白シーンを、笑わずに共感して観よ!
そして心の中で拍手し、握手を交わせ!

ナルシズムなどと野暮なことを言いなさんな。
クレーンでセット外に上昇するのは少々鼻白むものの、
自己の歪みも含めて男が人に心情を告白するとき、
その後ろに多大な勇気と踏ん張りがあるのです。
その男の、言葉では語られぬ部分をも含んだ
告白を真剣に受け止めましょう。

ヴァン・ダム!男だ!

埋れた歴史2009年03月04日 23時19分11秒

ダニエル・クレイグ主演・エドワード・ズウィック監督作
「ディファイアンス」についてのこと。

1941年、ナチスドイツの政権下、ユダヤ人に対する
圧力・迫害は強さを増し、ポーランドまで及んでいた。
両親を殺されたユダヤ人達、
トゥヴィア、ズシュ、アザエルのビエルスキ三兄弟は
近隣のベラルーシの森に逃げ込み潜伏する。
しかし、他にも逃亡してきたユダヤ人たちがおり、
彼らを守っていくうち、彼らは共同体を形成していく。
食糧を調達し、木を切り住居を立て生活を始めるが、
それは自然の厳しさ、ナチスの追撃、
そして、彼等自身の人間の業との戦いであった。
逃亡と抵抗を続けた結果、終戦時には
約1200人のユダヤ人が生き残ったのである。


ナチスドイツに武器を取って果敢に抵抗したユダヤ人達。
多少なりとも存在したであろうが、まさかこれほどの集団が!
これはフィクションか?
と思ったほどに現実にあったこととは俄には信じがたい実話。
余程の研究家でなくては、ほとんどの人がそうだと思う、
それほどまでに、ユダヤ人はこの時代も、
過去の歴史上も虐げられていたというイメージが強いです。

ユダヤ人が活躍すると言えば経済界か映画界か、
はたまたそれこそフィクション中におけるフリーメーソンか?

12年前からこの作品に携わったという
エドワード・ズウィック監督は(「戦火の勇気」の頃!)
その他の監督作「ラストサムライ」「ブラッド・ダイヤモンド」
等と同様に厳しい状況下における男たちのドラマを、
社会派作品としての重みと、ウェットな心情描写と、
ここぞという時には血が熱く滾るヒーロー性の全てを捉えます。
(クライマックスで戦車隊に囲まれたトゥヴィアのピンチに
駆けつけるズシュ達は「駅馬車」の騎兵隊そのもの!)


ときにはそれが、社会派として観たい観客を遠ざけ、
娯楽として楽しみたい観客に敷居を作ることもありますが、
全体をまとめきれない中途半端な力では決してなく、
また、力技でゴリ押しすることも無く、器用貧乏でもない、
高次元でバランスを取りつつも角は研ぎ澄ませているという、
なかなか複雑でだからこそ魅かれる監督です。

トゥヴィア、ズシュ、アザエルの三兄弟が中心となり、
共同体を率いていく困難な道のり。
約1200人を救った偉業があっても彼らは聖人や英雄として描かれず、
最初はギラギラした復讐と憎悪から始まり、
それが森での過酷な生活から神経がおかしくなった
同胞のエゴと醜悪さを見せ付けられ、自らの業と戦いながら
共同体をまとめていかなければならぬことを自覚していく。
食糧の奪い合い、リンチ、反抗者の銃殺・・・
一握りの強者により共同体は良く統率される、
そんな一見悪役の思想のようなものでなければ維持できない世界。

個性の違う三兄弟が、ときにライバル、ときに相棒と、
お互いが欠けても成り立たない半身のような存在であるのが、
彼らの弱き不完全さとだからこその奮い立つ闘志が、
現実感と人間臭さを持って親しみも尊敬も沸いてきます。

ズウィック監督は「少し歴史の見方が変わるかもしれない」と
語りますが、確かに歴史にはまだまだ埋れた話があるでしょう。
そしてイメージはいつひっくり返るか分からない。
踏み込んでみなければ分からないのは、歴史も人間も同じ。


ダニエル・クレイグは「007/カジノロワイヤル」以来、
私が贔屓目で見ている俳優ですが、今回の映画では、
トレーラーからも街からも遠く離れた森の奥深くでの
自然と戦う過酷な野外ロケ撮影という状況で、
「出番が終わるとすぐにトレーラーに戻るような俳優ではなく、
皆に手本を示すような人間だった」と、監督が語っています。

その話を聞いて「八甲田山」の高倉健さんを連想します。
雪深い山の中での過酷な撮影だったこの映画において、
当初、寒さで俳優たちはなかなか動かなかったそう。
そこで、撮影の木村大作が凍った池の中に入りカメラを据えたところ、
さすがに俳優たちも慌てて動き出したのだが、
その際に、高倉健さんが皆の前で校長先生のように、
「これからはあのカメラマンの言うことは何でも聞くように」
と先頭に立って言ったのだとか。
(キネマ旬報連載中の木村大作の回想録より)

まさか、ダニエル・クレイグが後年になって
雪深い無人駅の駅長役とかはやらないでしょうが、
頼もしく敬意を覚える人間性を持った俳優であることに、
ますます贔屓目に見てしまうのでありました。
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