牟田刑事官去る2010年09月19日 23時02分21秒

小林桂樹さんと言えば、推理サスペンスドラマ好きの僕としては、
「弁護士・朝日岳之助」シリーズ23作、
「牟田刑事官事件ファイル」シリーズ33作の主演の人です。

映画監督の小林正樹と縁があるのかと思っていたら、
まったく関係はないそうです。

1980年代から続くこの長期シリーズは、
大体小学校高学年から中学校では既に見ていたものの、
「浅見光彦シリーズ」「金田一耕介シリーズ」「赤い霊柩車シリーズ」
「名探偵キャサリンシリーズ」「地方記者・立花陽介シリーズ」
「警視庁鑑識班シリーズ」「十津川警部シリーズ」等々、
僕が大体見ている長期2時間サスペンスシリーズをざらっとあげてみても、
これらの作品とはさらに趣の異なる印象であり、
他の作品よりもやや背伸びしてみないといけない気がしました。

タイトルもそうですが、固い印象だったわけです。
浅見光彦のような華やかさもなく、十津川警部のような活劇性も薄く、
不気味でもなければ爽やかでもなく、オタク的難しさでもない。
とにかく、直球の堅物ドラマだったという印象でした。
だからこその他にはなかなかできない固有の魅力がある。

喜劇映画の、社長シリーズに全て出ていても、
演じていたのは真面目な秘書の役でした。

そんなドラマに主演していたものだから、
小林桂樹自身も堅い人かと思ったら、抜群のユーモアを持っていたそうな。
真面目でありユーモアセンスもあるなど、益々好人物ではありませんか。

もっとも社長シリーズの様な場合、
真面目なほどに周りとのズレから笑いが生まれるので、
それはそれでユーモアのセンスを要求されるものではあったはず。
頭の優れた人だったのだと思う。

ワイドショーで映った生前の公の場の最後の様子は、
まるで森繁久弥を思い起こさせました。
森繁もまた、ユーモアと洒落と真摯な人だったと言う。
そういう人達こそが最後まで長く長く続けられる。
愛されていくのだと思う。だから。

谷啓もクレイジーキャッツの長期にわたる映画シリーズを持っていたし、
釣バカ日誌も途中退場したものの長年続いたシリーズ。
長く長く続くのはマンネリや惰性ばかりではない。
求められ、いや、親しまれているから続くこともある。

長く長く支えてきた御二方に、恐縮ですがお疲れ様です。
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