旅の後の心地よさ2006年09月16日 22時05分38秒

2日間休日でしたがなぜかバタバタしましてあっというま。
そんな中ではロードムービー「トランスアメリカ」を鑑賞。

男性であることに違和感を感じ、女性として生きる道を選んだブリー。
女性として生まれ変わるための手術を目前に控え、
L.A.で暮らすブリーのもとに一本の電話が入る。
NYの拘置所に入れられた少年が実父を探しているという連絡だった。
かつてブリーが男性として一度だけ関係を持った女性が
子供を生み、息子・トビーは17歳に成長していたのである。
トビーを迎えに行ったブリーは父親であることを言い出せず、
教会のボランティア女性だと名乗る。
それが親子のN.Y.→L.A.という大陸横断の始まりだった。


手術まであと一歩のトランスセクシャル(TS)の男性のもとに
存在も知らず急に成長した息子が現れ、
真実を言い出せないままに絆が生まれていく、
ちょっと聞けばコメディのネタになりそうな話です。

しかしそこはユーモアに止め、シリアスなヒューマンドラマとして完成。
それどころか実にスッキリ後味の良い気持ちよい映画。
もちろん、真実を打ち明け苦悩と悲痛とボロボロになるシーンもありますが、
鑑賞後の爽やかな印象は過去のTSがテーマの
作品にはあまりないものです。

あの心地よさは充実していた旅行の終了後の感覚に似ています。
良い旅と良い出会いは人を成長させ精神の栄養となる。
まさにロード・ムービーに相応しい印象です。
父は母となった、いやいや大きな違いのようで些細なこと。
人間の信頼はそんな次元を越えると思わせてくれます。


ブリーを演じるフェリシティ・ハフマンは女優さんです。
女性にギリギリのところでなりきる男性、
というブリーの映像は本当に混乱してくるほど凄いです。
そしてトビー演じるケヴィン・ゼガースも目を惹く存在。
昔不良っぽかった頃のディカプリオと
「エリザベス・タウン」のオーランド・ブルームを思わせます。
要するにこれから楽しみな良い男なんですな。

「ブロークバック・マウンテン」など性の描き方は着実に変化しています。
映画やドラマは多大な影響を与えて世のイメージを固めるので、
こんな爽やかな作品がさらに増えればいいなと思うのでした。

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