ある朝の空気2006年09月22日 23時38分44秒

連休は彼岸に仕事でできない墓参りをしました。
秋風が吹いて心地よい季節になりました。
朝8時から石巻まで車を飛ばして昼までに帰還。
三陸道を利用すると近い近い。

そして午後には映画鑑賞。
ロッキー山脈に実在する狩人が主人公・主演映画
「狩人と犬、最後の旅」です。

カナダ・ロッキー山脈で妻と犬たちと共に、
「最後の狩人」としてノーマン・ウィンター。
森林伐採が進み、動物が減り、先住民すらも
スノーモービルなど文明の利器に頼る現在。
ノーマンは今年の冬を最後に山を去ろうと決めていた。
そんな折、長年の相棒だった犬ぞりのリーダー犬・ナヌークが死ぬ。
代わりにと友人が連れてきた子犬、アパッシュとの出会いが、
消えかけたノーマンの人生を変えていく。


寒い朝、寒いことは困ることなのに気持ちが清清しくなる、
そんな感覚を思い出す映画です。
また、狩人の生き方に熊谷達也氏の著書
「まほろばの疾風」に登場する蝦夷アテルイを思い出しました。
古代の祖先の感覚を現代社会との境界線で保っているかのようです。

太陽が、雪原が、木々が、水が、全ての自然が美しい。
しかし、そこらの動物・自然鑑賞ドキュメンタリーとは違います。
美しさと厳しさが一体であり、そこで生きる動物とノーマンの
生命力、まさに自然の「息吹」と呼ぶべきものが伝わってきます。

「人間も自然の一部である」と語るノーマン。
そこに生きる人間が感じる恵と危険。
ときに挑み、ときに感謝をし、ときに協力しと
自然と共生する姿に自然と人間の双方の美しさを感じます。

犬ぞりを引く犬達もまたノーマンとともに実在する者達です。
その眼差しのなんと凛々しいこと。
役者犬などは人間顔負けの表情をするものですが、
そんなものとは格が違うということを見せつけられます。
彼らは人間以上に自然と一体であり輝いている生命です。

森林伐採により去らざるを得ない人間。
自然を舞台にした他作品のように社会性を帯びているようですが、
伐採業者も登場しませんし、訴訟もありません。
ただ、シンプルに自然を追うことが一層考えさせるのです。

このように文明の産物の映画を楽しみとする都会暮らしが
自然の素晴らしさを訴えるのは苦笑するように思えます。
しかし、自然に対し感動する感情は持っていたい、
都合の良いようですが我々は共生を望まれているのですから。
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