誰かがどこかで2010年11月27日 23時54分53秒

読むヒマがなくて積みあがっているキネマ旬報を、
資格試験も終了しましたので、つらつらと読みふけっている今日この頃。
読んでいる号では「ハートロッカー」のオスカーの話題にふれているので、
かなり前の話だということになります。


毎度、人のことをネタに引っ張り出して申し訳ないですが、
香川照之さんの秀逸な「日本魅禄」、立川志らく師匠の「シネマ徒然草」
鬼塚大輔先生の「誰でも一つは持っている」に並び、楽しく拝読している
片桐はいりさんの映画エッセイ「もぎりよ 今夜も有難う」を観て「おや」と思う。

ちなみに、今挙げた連載はこんな文章を書きたいなあと日々思うリストでもあります。
川本三郎先生の「映画を見ればわかること」も追加。

この号では、はいりさんが活動弁士の仕事のために日夜特訓中のために
ぜいぜい言っている様子が面白おかしくも焦りが手に取るように感じられますが、
その中で、ちょっとしたことで友だちになったという長野の映画館ということで、
長野松竹相生座の名前が登場してきます。
創業90周年記念企画の中で活弁ライブをやるという映画館からのお誘いを頂いて、
長野まで新幹線で観に行き、観客と劇場が大いに沸いた様子に感銘を受けた
というくだりが熱を籠めて書かれており、そのときの活弁士というのは澤登翠先生だったそう。

長野松竹相生座も、澤登翠先生の名前も、僕がつい先日長野に行ったときに
目にした耳にしたばかりの名前に違いないものでした。
そして、善光寺仲見世通にある、がらん餅に舌鼓をうったお菓子屋さん、
「菓心美和」さんには、片桐はいりさんのサイン色紙(自画像似顔絵入り)が
田中要次さんらの色紙とともに飾られていました。

ああ、そういう繋がりだったのかなあと自分では勝手に解釈してしまっている。
たぶん、映画館に来た際に善光寺に立ち寄ったのではないか(逆かもしれないが)。
サイン色紙の日付とメッセージがその可能性を強く示唆している。
あのお店の噺家風のオモロイ調子のおっちゃんとならばウマも合うことだと思う。


別に、だからどうしたという話でございまして、
はいりさんの行動を特別気になるわけでも何でもないのですが、
グルメ番組とかロケで立ち寄ったとか、まあ仕事上のご挨拶みたいな感じで・・・と、
立ち去ったらもとの他人~と、芸能人をドライに解釈してしまうところ、
こんなエピソードで点と点が繋がっている可能性を想像すると、
その土地の人達と心と心でしっかり繋がっている心情が感じられて
ほっこりとした気持ちになるような温かみが感じられまいか。

人生の旅の途中途中でそんなほっこりを蒔いていきたいものです。

相生座は活動写真以前からの劇場で、はいりさんの記述によると二階席があるらしい。
仙台ではそのような映画館は今のところお見かけしないのでちょっと見てみたい。
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