山形国際ドキュメンタリー映画祭 邂逅2011年10月16日 23時59分21秒

先日、9日は山形国際ドキュメンタリー映画祭に行ってまいりました。

「山形国際ドキュメンタリー映画祭」は、2年毎に山形市街で開催される、
世界中から集まった「ドキュメンタリー映画」を中心に上映する映画祭で、
世界三大ドキュメンタリー映画祭のひとつと呼ばれています。
今年は10月6日から13日までの間の開催でした。

■山形国際ドキュメンタリー映画祭 YIDFF 公式サイト
 http://www.yidff.jp/home.html

以前にも行ったことはありますが、今回は作品鑑賞がメインではなく、
事務局のボランティアスタッフとしてお手伝いを。
他に仙台短篇のスタッフ1名とともに9日早朝に山形へ。

仙台から1時間弱の高速バスで山形駅前に降り立つと天気は快晴。
空気も気温も温暖でお祭り日和でありました。

映画祭は山形市中央公民館、山形美術館、山形まなび館、
山形市民会館、山形フォーラム(映画館)の五つの会場を使い、
山形市街を取り囲むように開催され、商店街も出店や音楽イベントで賑わい、
町全体を巻き込んで活気に溢れた8日間が続きます。

僕らがお手伝いに向ったのはその賑わいをやや遠くに望む、
緑の杜に囲まれた公園のなかにある山形美術館。

表から公園に入ると最上義光記念館があり、美術館はどこじゃいな、
と思いますが構わず奥に歩を進めると巨大な美の館が現れます。
ここでは映画祭期間中、3つのホールを使った、作品上映やシンポジウム、
ワークショップなど、多彩な企画を楽しむことができます。

今回のお手伝いは「音声同調」というもので、スクリーンに投影された映像と、
英語の翻訳音声を画面にシンクロさせるというもの。
この映画祭は「国際」と名を冠する通り、海外からのゲストと観客も多いのですが、
英語字幕をつけることができない作品もあります。
そこで登場するのが、翻訳者が話した録音をイヤホンから聞くというシステム。

音声同調は、基本的には翻訳者の話す音声データと映画の尺を併せてるので、
最初の方だけ歩調を合わせればあとはそのまま見守っている、ということですが、
ときには画面と音声が離れていくので、そのときは音声を巻き戻したりします。

これは日本語作品に対する英語音声だけではなく、
外国語作品に対する日本語音声という上映形式も勿論存在します。
通常の映画館ではまず無い上映方式なので、一度経験してみると良いです。

ただ、翻訳者の音声は通常、抑揚の無い語りで感情を籠めてはいないため、
ずっと聞いていると睡魔が誘いをかけてくる闘いに挑むことにもなります(僕だけか?)。
映像に躍動感があるものは良いですが、人物がひたすら話しているものは辛い・・・。
このあたりは翻訳者のスタンスとして致し方ないかもしれないものの、
台詞・語りも音楽同様に作品を構成するリズムの一部と考えれば、
被写体がむき出しにした感情部分をそのまま伝えきれないのは勿体無い気もする。


僕が担当したのはその様な感情は抑えた3本の教育映画だったので、幸いと言えば幸い。
日本の映画に英語の音声を重ねる方のパターンです。

しかし淡々とした映画と思えば、上映前の作品紹介で初めて知らされる事実、
2本目の特撮監督が円谷英二、音楽が伊福部昭とくればナニやら血が沸き立つ。

1本目は「民主主義を担いで」という、戦後のGHQの民主主義教育映画の
上映に携わった人達へのインタビューで映画の一面を戦後の歴史に垣間見る作品。
3本目は1967年頃の作品で巨大タンカーの製造過程を映したもので、
巨大な怪物とその時代背景と低いナレーションに妙な威圧感を感じた。

注目の2本目の作品は、「台風の目」という1954年頃に制作された、
世界で初めて台風の目の中に入って撮影されたというもの。
天候を予測することの困難さ、それでも人類の進歩はそれを可能にする、
やがては支配することさえ・・・というような含みを帯びた幕引きには、
1954年頃の時代と関わったスタッフからの、希望とも警鐘ともとれる印象を残す。
それはまた「ゴジラ」以降、円谷・伊福部コンビの関わる作品にも通ずる様で、
それぞれが進む道への奇妙な暗示とも思えてもきます。

思わぬところで収穫を得ましたが、そんな接続の発見もまた映画の楽しみ。
貴重な映像を観るとともに、普段あまりできない経験を頂いたありがたい時間でした。

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