静流河深

7月16日。
その日、石巻にまたひとつ映画の灯が燈った。
この街のあった映画館・岡田劇場が3月11日に津波にのみこまれてから4ヶ月。
跡地からは木材や畳などは撤去され、石片と土だけが残されています。

その岡田劇場を「閉館を余儀なくされた」などと言う向きがありますが、
当ブログをお読みくださっている皆様はご存知の通り。
岡田劇場の魂は決して死んでいないどころか、県内各地で無料上映活動に奔走。
むしろ、よりどこへでも飛んでいける様になったという印象すらあります。

震災からこれまで、映画業界の方から個人の映画ファンまで、
本当に多くの人のご協力を頂くことができました。

大手映画会社各社からの協力も徐々に実を結びつつあり、そのひとつとしてこの日、
石巻市中瀬の石ノ森萬画館にて野外無料上映会が開かれた！

松竹の協力にて上映された、その作品は！

「こちら葛飾区亀有公園前派出所　THE MOVIE　勝どき橋を封鎖せよ!」

8月6日に封切り前の新作！しかも！

主演の香取慎吾他、速水もこみち、香里奈の主要３人が挨拶に集結！！！

良いぞ！慎吾ちゃん。よく来てくれた！！

6月の終わりには東宝の「ロック　わんこの島」の無料上映とともに、
主演の佐藤隆太さんが駆けつけてくれています。
それもまた、岡田劇場の館主・菅原さんを初めとする、
映画を見せたいという多くの方々のご尽力で実現したものです。
着々と、映画に関わる皆が引き寄せられ、何かが起ころうとしているかのようです。

これだけのことを、起こせるならば失われた"映画館"というハコとは何者なのか？
ハコやお金ではなくやはり、人が動けるかの心ひとつにかかっているのか。
ここで目の当たりにした、集った皆さんの熱きパワー。
さあ、他の皆さんはこれからどう動くのか。

野外上映の機材はトレーラーのコンテナが開けば巨大スクリーンが現れるという、
昼間の野外でもバッチリの強力設備を松竹方面から用意。
この日も暑い日でしたが、炊き出しのボランティアの皆様も負けじと熱く、
集まった皆さんは思い思いに映画を見ていました。

遠くにはまだ瓦礫と粉塵の残る街が見えます。
風向き次第では魚の腐敗臭が漂っています。そこで皆が戦っているのです。
そこで、映画は何ができるのか。各々自問自答を繰り返しました。
今は、皆様が少しでも楽しんで頂けてるなら何よりと思います。
そして復興に向う気持ちの活力になっていくことを願って。

この街には沢山のヒーローがいます。
彼らも心に何かを残してくれるはずです。

岡田劇場の皆さんのように、倒れても立ちあがり前よりも強くなり、
物の全てを失っても心に燃える魂は失うことなく誰かのために動く、
そんな人がいる限り、この街は必ず活気を取戻す。

この日は菅原さんにもまたお会いすることができました。
先日もお会いしたばかりでしたが、また元気を頂けました。
今後も夏真っ盛りに向っていろいろ増えていくようです。
お体に気をつけて、皆を楽しい嬉しい気持ちにしてください。

そして、それには皆様のご協力と応援も必要です。
すでに、ヒーローは目覚めています。
その力添えをどうか、よろしくお願い致します。