私とスパロボ ~心にそびえる鋼鉄の城・出会い篇2010年12月09日 23時34分53秒

数多くのロボットアニメが1つのゲームの中で共演する作品、
バンプレスト、バンダイナムコゲームスが誇る長寿シリーズ
「スーパーロボット大戦」は来年2011年で20周年を迎えます。

僕が最も好きなゲームというよりも、もはや好きを超えた血肉と言っていい。
好きなゲームシリーズは他にもあるものの、休止期間をおかずに現在まで
付き合い続けているのはこのシリーズだけであります。

このシリーズは基本的には、味方軍を操作して敵軍を倒していき、
その戦闘を行うミッションパートと、物語を語るシナリオパートで形成されます。
普通のゲームでは全て設定はゲームオリジナルのものになるところを、
味方軍・敵軍ともに実在のロボットアニメを用いて、つまりは、
ガンダムを操作してザクを倒す、というアニメの世界に倣うことを繰り返す。
そして、物語面もガンダムの話、マジンガーZの話、ゲッターロボの話等々を
巧みに融合させて1つの物語を綴っていき新しい物語を作りあげます。

完全にイコールではないものの、それは能動的に観賞するアニメに対して、
積極的に操作していくゲームの特性を加えることで、
自分が操縦しているとまではいきませんが、追体験する様な特殊な感覚を味わう。
さらに、戦闘時には「空にそびえる鉄の城~♪」と歌うことができる、
主題歌をアレンジしたBGMが使用されることが定番であるため、
人によっては(僕もですが)歌いながらプレイするという、
実に奇妙なな高揚感覚が伴うことは否めません。


そんな魅力にやられてはや幾歳月。

最初に僕が手に取ったのはSFCで発売された「第3次スーパーロボット大戦」。
発売は1993年7月23日となっていますが、僕が買ったのはその年の12月頃。
当時、僕は高校受験を控えた中学の3年生だったでしょうか。
映画にも目覚めていない、漫画とアニメは好きでもオタク世界も知らない、
ただ少しのゲームと絵を描くことと、プラモを作ることが好きな、
ごくごく普通の(当時を知る人からは否定されるでしょうが)少年でした。

きっかけは当時存在していたゲーム雑誌「電撃スーパーファミコン」で
掲載されていた攻略記事を読んで買いたくなったため。
この雑誌を何故買ったのか、今思い出しました。
当時この雑誌では3号連続別冊付録で裏技本が付いていたはずで、
本来はその付録が目的だったはずでした。

この「電撃」の「第3次」の記事は他の雑誌の記事と違って、
各ロボット、キャラクター、アニメに対する執筆者達の妙な思い入れが篭められ、
文字量が他に比べて半端ではなく独特の雰囲気を醸し出していました。
その中で、子供の頃から頭にこびり付いて離れなかったアニメ
「超電磁ロボ コン・バトラーV」が登場しているという事実は、
購入動機となるきっかけのひとつでありました。

また、同じ号に掲載されていた裏技コーナーでは隠しMAPに触れており、
何やらやたらと超難易度らしいことが書かれており、
真のラスボスというゲームオリジナルのロボット「ネオ・グランゾン」
そのパイロット、シュウ・シラカワという存在とその言葉自体が
力持つ言霊のように僕をひきつけたことは否めません。

そして、MAP紹介を読んでいると「ガンダム」のエピソードが数多く登場する様子。
折りしもこの頃、僕の住んでいる地域ではこの2年前より、
「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」が再放送され、
終了とともに「機動戦士Vガンダム」の本放送に流れていったという時期で、
僕の中ではガンダムブームが燃えに燃えていた頃でした。

今でこそ、ガンダムなどはほとんどの作品がレンタルショップで手軽に
全て観賞できますが、当時レンタルは劇場版ぐらいのものでTVシリーズは無し。
DVDではなく、VHSの時代で、LDが現役だった頃の話です。

また、現在のガンダムゲームの1つ「Gジェネレーション」シリーズも存在せず、
当時はまだプレイヤー対戦式のゲーム「SDガンダムX」(SFC)などで、
原作のストーリーを追体験するようなものではありませんでした。
(FCの「ニュータイプストーリー」もキャラクターの会話等は皆無。)
そんな、原作を再現したゲームもまだあまり無かった時代。

だから僕は、ガンダム達の、その他ロボットとキャラクター達の
「物語」に再び出会いたかったのかもしれません。

そうして手に取った「第3次スーパーロボット大戦」。
それは驚きと笑いと感動の連続でした。
まずパッケージからして妙に力が入っている。
というよりも、変なところに"有益な無駄"といえる力が入っています。
映画のポスターやVHSを意識した様なパッケージ。
表面にポスター、背の部分に「劇場未公開作品」という文字、
裏には登場原作として、キャスト表のような一覧。



参考までに登場するロボットアニメは・・・
1. 機動戦士ガンダム
2. 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
3. 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
4. 機動戦士Ζガンダム
5. 機動戦士ガンダムΖΖ
6. 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
7. 機動戦士ガンダムF91
8. 無敵鋼人ダイターン3
9. マジンガーZ
10.グレートマジンガー
11.UFOロボ グレンダイザー
12.ゲッターロボ
13.ゲッターロボG
14.超電磁ロボ コン・バトラーV
15.勇者ライディーン
16.魔装機神サイバスター

実にシンプルだと思います。当時、僕にとっては
昔のロボットアニメは"昔あったもの"であり、
再びスポットが当てられるなどとは思っていなかった頃。
これで十分に懐かしいし十分に新鮮でありました。

この頃、システム面はまだ十分に洗練されてはおらず、
1個のユニットに指令を出せずに、全軍一律の指令しか出せない、
敵から攻撃を受けても任意に回避・防御命令を出せない、
武器を強化できない、レベルアップ以外に能力値を強化できないなど、
ゲームバランスはかなり厳しいものでした。

しかし、それを補ってゲームオリジナルのカッコいいBGM、
よく観ると兵士が飛んでいる等の細部にこだわったグラフィック、
アニメーションと言うには今では程遠いくらいに動きが少なく、
キャラボイスも皆無でも、当時出来うる限りの"頑張っている"演出の数々。
それより先にやらねばならないことがあるだろ?とつっこみつつ、
「"ここまで"やるか」と確かに感じ、十分に笑い、十分に楽しみました。

ジオングを倒すと首だけで復活するところと、
コン・バトラーVの合体シーン、
アナベル・ガトーがアトミックバズーカを放つ場面は忘れられない。

昔の特撮番組・映画等を観ていても、制約の多い現場では
"もうやれない"を、バネにして"もっとやれるぞ"という、
せめぎ愛、もとい、せめぎ合いからアイデアが生まれてきます。
そして情熱が焼き付けられ、得体の知れないものが籠められます。

後のインタビュー記事を読み、この「第3次」が、
売れなければシリーズ最後の作品になるつもりで作ったということを知り、
その土壇場の喰いしばりが快作を生み出したのだと思います。

ゲームとしては難点が多い、しかし魅力は溢れんばかりにある。
そう魅せられて、僕はシリーズを追いかけていくことになったのであります。

「あれは・・・良いものだ」
Loading